コンテンツは、クリエイティブで効果的な戦略を構築する上で、依然として強力な推進力となっている。ストーリーテリングに戦術を活用し、分析的なアプローチを維持することは、企業にとって、平凡なキャンペーンを「成功への起爆剤」に変えることができるのだ。

 

どう考えても、eコマース分野はますます競争が激化している。2023年に向けて競争の先を行くにはプレシジョン(正確さ)が必要だ。広告費は上昇しており、質を重視した顧客中心のコンテンツは、手っ取り早く儲けを出すことに重点を置くようになったことで減少傾向にある。

 

Shopify(カナダの多国籍eコマース企業)によると、eコマースの未来は、「獲得コストの上昇」、「サードパーティクッキーの消滅」、そして「ソーシャルコマースの力」にあるという。ブランドは、オーセンティック(正統的)で顧客がすぐに利用可能なだけでなく、オーディエンスを惹きつける能力も必要だ。eコマースがソーシャルプラットフォームに移行し続ける中、コンテンツはブランドの成功の原動力なのである。

 

ソーシャルメディアを活用したeコマースは、2023年に向けてますますポピュラーなものとなっている。実際に、ソーシャルメディアプラットフォーム経由の売上高は、世界規模で2025年までに3倍になると推定されている。さらに、米国在住のインターネットユーザーの約30%が、すでにソーシャルメディアプラットフォームで購入をしている。中国は現在、インターネットユーザーの約半数がソーシャルネットワーク上で買い物をしており、これは米国と比較しておよそ10倍に相当。グローバルリーダーとして機能している。

 

すべては、顧客の維持と獲得の価値に帰結する。eコマースのストアフロントが避けてはならないのは、新規顧客を惹きつけるだけでなく、ブランドに忠実な顧客を保持し続けるため、「上質」で「タイムリー」な「顧客中心」のコンテンツを構築することである。自問自答すべきは「私の会社は、顧客のためのエクスペリエンスを作り出すためにどのようなことをやっているか?」ということだ。

 

2023年、eコマースの成功を決定付けるのはコンテンツである

コンテンツは、クリエイティブで効果的な戦略を作成する上で、依然として強力な推進力である。ストーリーテリングに戦術を活用し、分析的なアプローチを維持することは、企業にとって「平凡なキャンペーン」を「成功への起爆剤」に変えることができるのである。

 

ブランドの使命と一致するストーリーを伝える能力は、オーディエンスを惹きつけ、ビジネスにとって価値のある、安定したリピート客として維持するための強力なツールになり得るのだ。しかし、その核にあるのは「製品」ではなく「人」であることを忘れてはならない。

 

2022年、ペイドソーシャル(ソーシャル・メディア上に、有料広告やスポンサードコンテンツを上部に表示させること)は、そのコンテンツがオーディエンスや顧客層の共感が得られない場合、バイヤーを惹きつけるための決定的な要因とはならなかった。それは2023年も同様だろう。コミュニティは、バイヤーが必要な一貫性を維持する気になる前に、個人的、さらにはインスピレーションを与えるレベルでeコマースビジネスとつながる必要がある。売上とトラフィックの両方が減少している場合は、コンテンツとリーチの両方がその目的を果たしていない可能性が高い。

 

2022年も残り約4か月。B2Cの成果にフォーカスせずにB2Cコンテンツの生産を停止するという、多くのB2C企業の傾向に逆らうことが重要である。言い換えれば、私たちが新年に向かって進むにあたり、企業は手っ取り早く利益を生み出すためのキャンペーンを行うのではなく、本質的に顧客やフォロワーに「ヒット」するキャンペーンや戦略を作成し始めるべきなのである。

 

コンテンツは、文字、ビジュアル、オーディオを使用して、関心、欲求、行動、意識を構築するためのマーケティングファネルを促進する必要がある。実際、2023年は、コンテンツが必ずしも顧客を購入に駆り立てるのではなく、むしろ、いかにコンテンツが顧客の生活を改善する機会を生み出すかが重要となる。

 

競合他社よりも優位に立つために、マーキー(ウェブサイトで文字や画像を流れるように表示させるためのHTMLタグ)コンテンツをどのように開発すればよいか自問自答しているかもしれない。考慮すべきことは、大きく分けて3つある。本来、デジタルでウィンドウショッピングをしている消費者が、あなたの店が提供する商品を立ち止まってもっと見たいと思うことが重要だ。ここでの適切なステップは、「惹きつけ」、「引き込み」、「ポジティブな結果を得る」ことである。

 

これは、魅力的な画像、動画、または短いコピーで、見込み客を止めるために注意を引くことによって行われる。特に2022年は、顧客が注目する持続時間が短縮しており、彼らにとって、誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのようにしたのかを、迅速かつスムーズに配信するかが重要だ。次に、顧客はエンゲージメントを感じる必要があるため、顧客の興味を喚起し、欲求を引き出す説得力が重要である。一般的に、最も多くの利益を上げている動画は3~5秒のFacebook動画やInstagramのリールであるが、YouTubeの30秒の「ショート動画」も同様に成功している。

 

2023年、eコマースストアの戦略にアプローチする際に考慮すべきこと

  • 広告を含むブランドマーケティングと顧客エンゲージメントは、基本的にソーシャルメディア中心のアプローチに移行している。
  • 動画、そしてそれほどではないにしても画像によって、eコマースでの販売にソーシャルな側面が加わることで、企業は消費者とどのように関わりをもつか再考している。
  • Instagramが普及しつつあるが、TikTokタイプの手法を採用することで、プラットフォームはソーシャルメディアのeコマースに関して、動画の力を見出している。コンサルティング、レコメンデーション、ライブストリーミング機能により、商品とエクスペリエンスは消費者向けにパーソナライズされている

 

2023年に向けた2022年の残り数か月間の教訓は、「顧客がナビゲートし、探索したいという願望を持つときにアクションが生まれる」ということだ。コンテンツは結果主導型である必要がある。結局のところ、それはeコマースの世界での販売に関することなのだ。

 

※当記事は米国メディア「Entrepreneur」10/3公開の記事を翻訳・補足したものです。