AIショッピングは、これまでのどのチャネルよりも速く普及した。この記事では、現在のAIの状況と今後の方向性について、押さえておきたい数字を紹介する。

AIは、これまでのどのチャネルよりも速いスピードで、ショッピングにおける主流の検索ツールとなった。本稿では、マーケターが押さえておくべき重要なデータと、組織内でAI対応を推進するための説得材料として活用できる情報を紹介する。以下の統計はすべて2026年に発表されたレポートから抽出したもので、消費者や企業の購買担当者が購買の意思決定においてAIチャットボットやエージェントをどのように活用しているかという観点から整理されている。

 

AIショッピングの利用状況

・米国のオンラインショッピング利用者の43%が、過去90日以内に商品リサーチのためにChatGPT(米国OpenAI社)、Gemini(米国Google社)、Claude(米国Anthropic社)、Perplexity(米国Perplexity AI, Inc.)、またはこれらに類するAIアシスタントを利用した。そのうち20%は、50ドルを超える直近のオンライン購入の際にAIを使用した。(米国のAIコマース調査会社Product.aiデータ)

消費者のAIツール利用状況
出典:L.E.K.による調査・分析


・顧客の4人に1人が、情報検索、購買意思決定、おすすめ商品を探す際の主要な情報源として、すでにAI搭載プラットフォームを利用している。これはブランドのWebサイトやオンラインレビューを上回っている。(米国のソフトウェア企業Adobeデータ)

・AIをショッピングに利用していない層のうち、24%はAIを利用しない主な理由として「使い慣れた情報源を利用したい」と回答し、次いで17%が「信頼していないから」と回答している。「過去に悪い経験をしたから」という回答は4%で最も少なかった。(英国に本拠を置く世界的な経営コンサルティング会社L.E.K. Consultingデータ)

・米国の消費者全体では、30%が購買の意思決定にAIツールを活用した経験がある。この利用は世代を超えて広がっているものの、若い世代に偏る傾向があり、Z世代で40%、ミレニアル世代で42%、X世代(一般的に1960年代中頃から1980年頃に生まれた世代)で28%、ベビーブーム世代(アメリカでは1946年から1964年)で13%となっている。(L.E.K. Consulting)

・商品リサーチにおけるAI利用は、44歳を境に急激に減少する。(Product.ai)


年齢別の商品リサーチにおけるAI利用率(左)、世代別のAIショッピング利用率(右)
出典:Product.ai(左)、L.E.K. Consulting(右)

 

購入ファネルにおけるAIの位置づけ

・現在、AI利用者の46%が、購入に向けたリサーチを独立系AIプラットフォーム(ChatGPT、Gemini、Perplexity、Claude)から始めている。これは2024年の25%から大幅に増加している一方、同期間において、従来型の検索は43%から24%へと減少した。(L.E.K. Consulting)

・AI利用者の53%が、主にオプションの比較や候補の絞り込みにAIを活用しており、最終的な購入意思決定(21%)や商品やブランドの発見(19%)を上回っている。(L.E.K. Consulting)

・顧客の49%が、パーソナライズされた商品のおすすめを探す際にAIを利用する意向を示し、44%は迅速なカスタマーサービスを受けるためにAIを利用したいと回答している。(Adobe)

 

AIの信頼と情報の確認行動

・商品リサーチにAIを利用した米国の買い物客の86%が、購入前にAIによるおすすめを別の情報源で確認していた。(Product.ai)

・AIツールは、最も信頼できる商品情報源のランキングで6位となった。AIより上位だったのは、家族・友人、オンラインの顧客レビュー、専門のメディア・専門家、ブランド・小売業者のWebサイト、Reddit(米国発祥の掲示板形式のSNS)などのオンラインフォーラムの順であった。AIツールが上回ったのはYouTubeのクリエイター・レビュアーのみである。(Product.ai)

・買い物客の42%が、50ドル未満の購入であれば、他の情報源で確認せずにAIを信頼すると回答した。一方、500ドルを超える購入の場合、AIを信頼すると回答したのはわずか5%だった。(Product.ai)

・AI利用者の66%は、AIが正確な情報を提供していると考えており、85%はAIによって総合的にショッピング体験が向上したと回答している。(L.E.K. Consulting)

・組織の68%が、エージェント型AIへの信頼を高める最も重要な要素は「AIが対応していることを明確に開示すること」であると回答し、61%が「人間の担当者へのスムーズな引継ぎ」を挙げている。(Adobe)

 

トラフィックへの影響

・米国の小売業者のWebサイトへのAI経由のトラフィックは、前年比で1,200%増加した。AI経由で訪問した買い物客は、他の流入経路からの買い物客と比べてコンバージョン率が31%高い。(Adobe)

・AI経由のWebトラフィックの年平均成長率(CAGR)は176%という驚異的な伸びを記録した一方、検索エンジン、SNS、直接流入のトラフィックはほぼ横ばいだった。(L.E.K. Consulting)

・2025年には、AI経由での小売サイト訪問数が月間11億件を超え、前年比で357%増加した。(L.E.K. Consulting)

・米国、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋地域の消費者の62%は、ショッピングで次の行動を決める際にAIを活用したことがあると回答。(L.E.K. Consulting)

・エージェント型AIによるショッピングは、2030年までに米国のeコマース支出の1,900億ドルから3,850億ドルを占める可能性がある。これはオンライン小売売上全体の10%から20%に相当すると見込まれている。(米国の市場調査会社NielsenIQデータ)

 

エージェント型AIと自律型ショッピング

・組織の78%が、今後18か月以内にエージェント型AIが顧客対応の大部分を担うようになると予測している。用途別では、カスタマーサービスへの問い合わせが78%、購入後のサポートが70%、営業に関するやり取りが69%となっている。(Adobe)

・エージェント型AIを支えるクラウドベースの技術を導入している組織はわずか51%にとどまるが、生成AIについては89%が対応済みである。(Adobe)

・組織の66%は、AI搭載の対話型プラットフォームがブランドの存在感や競争力を保つ上で重要だと回答し、60%がAI搭載の顧客体験(CX)は今後のCXに不可欠だと回答している。(Adobe)

 

カテゴリ別:AIによるリサーチが特に重要な分野

・消費者がリサーチにAIを利用するカテゴリは「旅行」が71%で最も多く、「家電製品」が65%、「金融商品」が62%となっている。調査対象となったカテゴリで利用率が47%を下回るものはなかった。(L.E.K. Consulting)

・AIでリサーチしたうえで購入した50ドルを超える直近の購入品について、カテゴリ別に見ると、アパレルが30%で単一カテゴリでは最も多く、家電・電子機器が20%で続いた。(Product.ai)

 

ブランドのサイトを訪問する前に購入を決めている買い物客

・AI利用者の31%は、ブランドや小売業者のサイトに到達する前に、購入の意思決定がほぼ固まっていたと回答しており、これは2年前の26%から増加している。(L.E.K. Consulting)

・2024年3月から2026年3月にかけて追跡した13のカテゴリ全体で、Webサイトの平均滞在時間は6%減少した。特に減少幅が大きかったのは、日用品(18%減)、ヘルスケアサービス(16%減)、美容・パーソナルケア(16%減)だった。(L.E.K. Consulting)

 

エージェント型AIに対する消費者の意識

・顧客の47%が、自分のパーソナルAIエージェントがブランドの人間の担当者と連携してやり取りすることに抵抗がないと回答している。一方、自分のエージェントがブランドのAIエージェントとやり取りしたり、個人情報を提供したり、購入を承認したりすることを許容する人の割合は、これより低い。(Adobe)

・顧客の40%は、パーソナルAIエージェントを作成すること自体、まだ検討もしていない。(Adobe)

・消費者の半数強が、クーポンやお得情報を見つける手助けをしてくれるAIツールには前向きだが、購入手続きそのものをAIに代行させることに抵抗がない人は、はるかに少ない。(IT分野を中心とした調査・助言を行う米国企業Gartnerデータ)

・消費者の57%が、実店舗での買い物を好んでいる。(Gartner)


※当記事は米国メディア「MarTech」の7/28公開の記事を翻訳・補足したものです。