BASE株式会社が運営するネットショップ作成サービス「BASE」は、2020年現在の個人・スモールチームのネットショップ開設・運営の利用状況に関して、「BASE」加盟店を対象とした「オーナーズ調査2020」を実施した。その一部を紹介する。
「BASE」オーナーズ調査は、「BASE」加盟店を対象に2019年から開始したアンケート調査である。加盟店へのアンケートにより、個人やスモールチームのショップ運営の動向を公表することで、個人・スモールチームの経済活動に対する理解を促進し、その活動を広めることを目的として実施している。「BASE」は、自分の好きな生き方を選択する人々を「オーナーズ」と呼んでいる。
まずは、実際に「BASE」を利用しているオーナーズの最新の特徴を見ていく。
「BASE」は2012年11月にサービスをリリースして以来、ものづくりをしている個人やスモールチームが商品の製作活動に集中できる環境を作るため、製作以外の販売活動等をインターネットテクノロジーで解決することに注力し、サービス・機能の開発をすすめていた。
最新のオーナーズの利用状況でも、ネットショップの運営体制では、およそ8割が「個人」、2割が「法人」で個人の割合が多く、ネットショップの運営人数に関しても「1名」が全体の7割、「2名〜4名」は3割で、全体でも9割以上が4名以下の小規模な加盟店であり、MSMB(Micro, Small & Medium Business)によって利用されているサービスである。
次に、加盟店の商品製作やネットショップの運営状況である。
およそ8割がネットショップで自身のオリジナル商品を販売している。また、ネットショップを運営しながら自身で商品を製作している人が全体の7割で、大多数の人が商品の製作活動と並行して商品の販売活動も行なっている。
多くの人が小規模な運営体制のため、ひとりで担当する範囲が広く負担な面があることから、「BASE」はたとえひとりでも商品製作から販売まで対応できるように、常に販売まわりの利便性を向上する機能開発に取り組んでいるが、あえてこうした運営体制を取られる理由の一つとして、ショップオーナー自身が直接ファン(購入者)とのコミュニケーションを希望することが多く、自分のネットショップを持つことでダイレクトにファンに対して商品の魅力や価値を伝えやすいというメリットがある。
ネットショップ作成サービス「BASE」は、ショップオーナーが商品をショッピングモールに出品するのではなく、自身のブランドのネットショップを簡単に開設して、そこで販売できるサービスである。
このため、自身の表現したい世界観やコンセプトをネットショップで表現することが可能で、デザインやメッセージもブランドによって様々である。実際に7割の加盟店は自身のブランドとしてネットショップを運営され、「加盟店がネットショップ運営で最も重視していること」では、2019年に実施した「オーナーズ調査」につづき、2020年に最も多く選ばれた項目も「コンセプト・世界観」だった。
このように加盟店が自身のブランドの表現を重視していることからも、「BASE」では、2020年にネットショップのデザインまわりのカスタマイズ性と利便性向上を目的にショップデザイン機能の大幅なリニューアルに取り組んだ。テクノロジーによってノーコードで直感的に利用できる自由度の高い操作性にすることで、ブランドのコンセプト・世界観を重視する加盟店がこれまで以上にスムーズにデザインのカスタマイズを行うことを可能にしている。
個人やスモールチームに利用されている「BASE」では、実店舗をもつことのハードルの高さから、まずはネットショップで自身の店舗を立ち上げる人が圧倒的に多く、これまでも実店舗を持たないEC発ブランドとして多くの加盟店が注目を集めてた。現在も割合としては実店舗を持たない加盟店が7割超で大多数である。
今回実施した「ポップアップショップや催事等のリアルイベントへの出店経験の有無」に関する調査では、オフラインでの販売活動経験がある加盟店は3割程だったが、「出店経験はないが、今後やってみたい」という加盟店も3割で、EC初ブランドの潜在的なオフライン活動のニーズが顕著になった。オフラインでの活動に対する加盟店の関心については、今後新型コロナウイルス感染症拡大の警戒レベルが低くなることで、より関心が高まっていくことが見込める。
なお「BASE」では、ファンと直接コミュニケーションを取る機会や、リアルでのマーケティングの場として、加盟店が利用できるリアル店舗出店スペース「SHIBUYA BASE」や「BASE Lab.」を提供している。同スペースは、東京都内の一等地で出店できることが特長で、募集開始と同時に出店枠が埋まることもあり人気を集めている。
「BASE」では販促支援サービスを提供する「more BASE」を通じて、加盟店のオフライン活動のサポートにも取り組み、「SHIBUYA BASE」「BASE Lab.」をはじめ、全国の百貨店でのポップアップショップの予約受付や、オフラインでの販売時に必要となるオリジナル梱包素材の発注などを外部サービスと連携することで、加盟店がスムーズに利用できるように環境を整えている。
「BASE」は、2018年より「We are Owners.」というメッセージを発信し、オーナーズの働き方や生き方に注目している。今回実施した本業・副業(複業)に関する調査では、今の時代の働き方・生き方を象徴する興味深い結果が出ている。
まず、「BASE」を本業で利用する加盟店と副業(複業)で利用する加盟店の割合はほぼ同じだが、副業(複業)で「BASE」を利用する加盟店の半数が、今後本業にするためにまずは副業(複業)でネットショップを小さくはじめていることがわかった。
実際に加盟店からも、「“仕事”としての「副業」の側面もあるが、自分のやりたいこと(趣味)分野についても、うまく利用すれば、将来的に「本業」にも「副業」にもなり得る可能性がある。」といった声が寄せられている。現在運営されているネットショップを今後本業にするかどうかは、まずは挑戦してみてから決めていくというスタンスの人が多く、そもそも本業や副業(複業)といった区別をせず、自分の好きなことを小さく始めることから将来の選択肢や可能性を広げていくという価値観があることがわかった。
「BASE」に限らず、インターネットテクノロジーによって、これまで個人やスモールチームでは困難だったことが実現できる時代へと変化しているが、まさに今の時代を象徴する回答結果であるといえそうである。
加盟店の多くはSNS等で自身が直接、ブランドや商品、コンセプトや価値観を発信し、ファンに向けた情報発信やコミュニケーションを大事にしている。
個人・スモールチームが運営するブランドの傾向として、熱量高く応援するファンの存在がある。そのファンに対してブランドが特別な価値を提供することで、よりコアなファン層ができてブランドを中心としたコミュニティが生まれる。そして、そこでブランドとファンが価値を共有することでさらにブランドが成長していくというサイクルがある。こうしたサイクルを生み出すきっかけとして、SNSはもはや欠かせないツールとなっているが、加盟店の9割がPR・販売促進のためにSNSを活用されている。またSNSを利用する加盟店に最も多く利用されているサービスは、2年連続で「Instagram」だった。
「BASE」では、「Instagram販売 App」等により、加盟店がSNSを利用してPR・集客・販売促進に取り組みやすい環境を提供しているが、SNSとの相乗効果も含めて、ブランドとファンのコミュニティが活性化しやすい環境をさらにサポートしている。2020年9月には、コミュニティを作成して会員を募ることができる拡張機能「コミュニティ App」をリリースし、加盟店がご自身のブランドを応援するコアなファン会員だけに特典を提供できる仕組みも新たに提供している。
2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大により例年とは異なる年となった。その影響を受け、新規加盟店数が急増し、多くの人がオフラインでの営業活動の制限を補い、これまでとは形を変えてブランドや事業を継続・活性している。
そこで今回初めて、実際に「BASE」がどれだけ加盟店の経済活動に貢献できているのか、「BASE」が目指している個人・スモールチームのエンパワーメントというテーマについて現状の「BASE」に対する加盟店の率直な意見を調査した。その結果、「『BASE』が提供するサービスや機能は、あなたが望むネットショップ運営やビジネス活性化に役立っていますか?」という設問に対して、8割を超える加盟店が「はい」と回答した。
また、「ネットショップの開設を検討されている知り合いに、『BASE』をおすすめしたいですか?」と聞いたところ、実に9割の人が「『BASE』をおすすめしたい」と回答した。
今回の「オーナーズ調査2020」では、実際に「BASE」を利用している多くの個人・スモールチームの特徴について見てきたが、「BASE」はこうした最新の利用状況をふまえ、今現在必要とされているサービス・機能の利便性向上に加えて、すべてのシーンで加盟店の将来や成長を見据え、今後さらに必要となる機能や本質的なニーズを満たすサービスの提供に取り組んでいくとしている。