【鉄則】モールで月商100万円を目指すために行うべきこと(後編) - 楽天・Yahoo!ショッピングのページ作成と日々の業務
前半では、楽天・Yahoo!ショッピングの基本運用ステップと顧客認知獲得について見てきた。今回の後編では、モールで月商100万円を目指すための「ページ作成」「日々の業務」の2つの切り口を見ていく。「ページ作成」では、出店においてページを作成する上での基本的な注意事項と、気持ちの良いWeb接客をどのように実現していくのかを見る。最後に「日々の業務」では、これらの業務を1週間で見たときにどのように行っていくのかの一例を紹介する。
※この記事はネットショップマスター資格認定講座の講師(伊藤みゆき氏、菅原渉氏)、及び同講座へのカリキュラム監修を行っている株式会社ネットショップ総研代表の長山衛氏からノウハウ提供を受けて作成している。
※各ショッピングモールにおいて月商100万円を作る手法はこれ以外にも存在するが、広告投資を可能な限り行わず、各ショッピングモールの機能を最大限に活用した形での代表的な手法を紹介している。
<参考>
【鉄則】モールで月商100万円を目指すために行うべきこと(前編) - 楽天・Yahoo!ショッピングの基本運用ステップと顧客認知獲得
ページ作成
サイトページの作成はネットショップを開店する上で避けては通れない作業だ。サイトページはユーザーがお店を訪れた際の店構えに相当し、良い雰囲気を作れるかで売り上げにも大きく影響する。ここでは、ページを作る際のポイントを、「サイトページ全体」「トップページ」「商品ページ」「サイドメニュー」に分けて紹介する。
サイトページ全体
サイトページ全体としては、ショップ全体の雰囲気をうまく作っていくことに力を入れたい。そのために、以下のチェックポイントに注意を向けてほしい。
- ネットショップのカラーを決める
ショップ全体のコンセプトカラーを決めることで、サイト全体としての統一感を図っていく。また、随所にそのカラーを意図を持って配置することで、ユーザビリティを上げることも可能となる。
- にぎわい感・人け・活気を演出する
にぎわい感や人け、活気というのは以下のようにサイト内に人の写真を沢山使うことである程度演出は可能となる。
- 商品写真やキャッチコピー などの画像は大きく掲載する
以下のようにモールでは画面幅いっぱいの画像を用いる。またアップ画像を多用することも効果的だ。
- スマホページも作りこむ
スマホ用のページについては、何もしなくても自動生成されるが、代わり映えしないページとなってしまうため、しっかりと作りこみたい。そして作ったページをしっかりスマホ・タブレットの実機で確認することも重要だ。主に、ユーザー目線でページがわかりやすいか、ユーザーがランディングしてから商品を購入するまでの大きな流れにおいて、表現に齟齬がないか、訴求がしっかり行われているか、正常にリンクが機能しているかなどをしっかり確認していく。
トップページ
トップページでは、店舗全体で提供している全てのコンテンツをユーザーに総合的に提示する必要がある。ただし、トップページはユーザーにとって入り口となるケースは極めて低いという事実はしっかりと考慮したい。主にサイト内を移動する際の経由のページとして使われることを念頭に置いておくことが重要だ。そのためトップページでは、以下のチェックポイントに気をつけたい。
- あらゆる切り口で商品をピックアップし紹介
新着商品情報だけでなく、再入荷、予約販売、ラインキング、 他にも店長オススメ商品など異なる切り口で商品をピックアップ紹介する。
- 上部は一番のオススメ情報を
お得なセール情報やキャンペーンの案内・特集など、ユーザーにとって一番訴求力がある情報は、一番目にとまる上部に配置する。
商品ページ
商品ページはECサイトで最も重要となるページである。それぞれの商品に関する全ての情報をユーザーに提供する必要がある。基本的なスペックだけでなく、店舗からの熱い想いもそこかしこに詰め込んでいく。ユーザーが購入を決めるも決めないもこのページの出来によると言っても過言ではない。ここでのチェックポイントは以下のようになる。
- 商品ごとに商品キャッチコピーを作る
商品のキャッチコピーはなるべく短くし1つに絞る。また、顧客ターゲットに合わせたキャッチコピーにし、商品を利用することで得られるメリットをわかりやすくする必要もある。お客様の声をキャッチコピー作りに生かすことも効果的だ。具体的には、限定数・販売期間・感情への訴え・販売の 実績・メディアでの紹介・製造方法・他社商品との違いなどを活用していくといいだろう。特に美容健食、悩み系の商品はキャッチコピーが重要となる。薬事法もあるので文章にしにくいため、画像や写真で見ているユーザーにイメージしてもらえるようにしていく。(左:比較事例、右:好事例)
- 縦に長いページ
賛否があるものの、一般的にはモールにおいては、依然として縦に長いページの方がコンバージョンは高くなる。他のページに遷移させずに、そのページで全ての情報を提供し、訴求点を完結させることで、上手に売ることができるからだ。
- 回遊率のアップ
関連商品、セット、入数違いなどへのリンクも忘れずに掲載し、回遊率アップを図る。
- シチュエーションをイメージさせる
スペックだけの記載ではなく、利用するシチュエーションを具体的に記述することは、以下の比較を見ても有効なことがお分かり頂けるだろう。(左:比較事例、右:好事例)
- “見せる” より、いかに“魅せる”か
商品のパッケージと開梱後の様子を撮影するより、実際に商品を使った際の魅力的な光景を想起させることに重点を置いていく。(左:比較事例、右:好事例)
- ターゲットを意識する
商品の具体的なターゲットをイメージ出来るような表現やイメージを利用することも効果的だ。(左:比較事例、右:好事例)
- 食品のしずる感
特に食品は、生肉でも調理をしたイメージを使用することは鉄則。出来れば、口に入れる瞬間の写真を使い、見ている人の食欲を最大限に刺激する。(左:Before、右:After)
- サムネイル写真が重要
モールでは特に検索結果一覧画面で表示されるサムネイル写真が重要となってくる。検索をして、価格と画像でどの商品ページに行こうかを決めているからだ。同じ商品でも各店舗異なる見せ方を行っているケースも多く、以下では、ダイエット商品のため、商品の箱だけではよくわからない。
また、バックなどは一見してサイズが分かりにくい。特に小物入れかボストンバックかすらもわからないケースも多いため、可能な限りサイズをサムネイルだけで伝える必要がある。女性が持っていればそれでサイズ感がわかるなど工夫していきたい。(左:比較事例、右:好事例)
- ターゲット層によって異なる商品の見せ方
同一の商品でも、ターゲット層によってコンセプトカラー、画像、訴求メッセージを変える必要がある。
- 商品と一緒に写りこむ景色・背景などの演出
商品写真は、上述した好事例も全てうまく作られているが、写りこむ背景や景色をしっかり演出することで、ワンランク上の商品画像とすることができる。
- メーカー提供の写真をそのまま使わない
一般的にはメーカー提供の写真は質も高く使いやすいので、そのままサイトにも掲載してしまいがちだ。しかし、それは商品価格のみで比較される方向にユーザーを導いている形になってしまう。必ず何らかの加工を施し、出来ればオリジナルの写真を撮影してサイトには掲載していきたい。
- 送料無料の商品には商品名に送料無料を入れる
ページのヘッダなどに5,000円以上送料無料と記載があっても、思ったよりもユーザーは気づかない。特に検索結果一覧ページでは全く分からない。そのため、例えば6,800円の商品など、送料がそもそも無料となる商品については、送料無料を商品名やイメージ内に記載する方がいいだろう。
サイドメニュー
サイドメニューでは、主に、商品のカテゴリーリストや、営業カレンダー、メルマガ、twitterなどの登録、売り出し中商品のバナーを中心に構成されている。これらはいずれも、上部メニューに表示するほど重要ではないが、ふとしたときにあってほしいコンテンツと言える。サイドメニューについては、以下のチェックポイントを考慮したい。
- 商品メニューは分かりやすいようにカテゴリー毎にイラストや写真を使う
ショップの取扱商品の全体像が分かる商品メニューは、テキストで淡々と掲載するのではなく、カテゴリ毎にイラストや写真を使って一目で何の商品ジャンルかが分かるようにする。
- 用途別・素材別・カラー別価格別・特集やイベントなどによって分ける
通常のカテゴリーだけではなく複数の切り口を用意する。そうすることで、様々な切り口からユーザーも商品を選びやすくなるだけでなく、ページ数を増やすことができる。
- 店長紹介・スタッフ紹介で写真を掲載する
実店舗がある場合はお店の写真も載せる。そうすることで、初めてのお客様に安心感と親近感を与える事ができる。写真に抵抗がある場合はイラストでもよい。
- お客様の声は積極的に掲載する
初めて来訪するユーザーは、いくらあなたが誠心誠意ショップを運営していたとしても、多少の不安を覚えるものだ。そのようなユーザーの不安解消のため商品の感想やレビューの掲載は必須だ。お客様の声は、直接ユーザーへメールするだけでなく、サイト上で感想を依頼して収集する。その際に必ずサイト掲載の許可を得ることも忘れてはならない。新商品の場合はモニターから回収していく。集まったお客様の声は、感想をまとめて商品のキャッチコピーのように活用したり、写真(イラスト)・手書きの感想の活用するなど様々な方法がある。
- 商品ページ以外のプラスαのページのリンクを貼る
例えば、商品の選び方の紹介ページ、商品のお手入れ方法の紹介、商品の使い方の応用や賢い使い方の紹介、商品にまつわる単語などの辞典(解説)のページなど、製造過程を紹介しているページ、商品に関連する情報ページが挙げられる。また、購入されたお客様からの感想のページ(写真付きだとベスト)、売上ランキングのページ、特価品、セール品のページ、キャンペーン(特集)のページなど販促に繋がるコンテンツも提供しリンクを貼っていく。写真だけでなく、動画を活用することも効果的だ。
月商100万円を目指すための日々の業務
前編から解説してきた内容を日々の業務に落とし込み、モールで月商100万円を目指すためにはどのような1週間を過ごしていくべきか、ここではその一例を見ていく。大きな流れとしては、週の前半で、キャンペーン、リンク動作、SEO、広告の反響、イベント状況などのチェック。週の後半で、週前半のチェックで見つかった問題点の修正を実行することで、週末に勝負をもっていく。曜日ごとに見ていこう。
月曜
- 楽天およびヤフー等のポイントキャンペーンを確認し、新着あればメルマガ予定に記載の上、配信予定を修正する。
- モール内SEO状況、つまり、ターゲットキーワードごとの対象ページの検索順位状況をチェックする。
- 稼働中の企画の数字チェックと、モール内イベント状況のチェック。
- 前週の初回購入者を抽出し、リピート購入喚起のアプローチをする。
火曜
- 消費者視点の自身のサイト内巡回し、既イベント終了導線や、リンク動作チェック、買う側の気持ちでの巡回と修正する。 多店舗展開してるなら全て確認。
- 出稿済み広告の反響を確認し、反応が悪ければ遷移先ページの修正する。
- 前週のレビュー状況のチェックし、レビューアプローチをする。
- 定期メルマガ用の商品をピックアップする。
水曜
- 他社競合商材のチェックし、ランキング上位の競合商材ページの販売方法などを把握する。
- モール内イベント状況を確認し、稼働中イベントでの競合の出稿状況をチェックする。
- 販促企画をリサーチする。
- メルマガ配信
木曜
- ランキング入賞のアイテムに受賞掲載をする。
- モール内SEOを修正する。
- 稼働中企画のあおり(メルマガで煽る)
- レビューをページに反映させる。
金曜
- モール巡回。 各モールの検索ワードや無料イベントを確認し 週末売上に対応する。
- 広告出稿調査(他にエントリー出来るものがあるか?)
- 販促企画ページの作成
月商100万円の壁を越えるために
モールに出店し、売り上げを伸ばすためのステップやポイントを一通り見てきた。漠然と難しそうと感じていたモール進出が少しは具体的な形として見えてきたのではないだろうか。モール出店を視野に入れている方は是非とも参考にしていただきたい。
取り扱う商品にもよるが、依然としてモールも販売チャンネルとして魅力的だ。その一方で、やはりモールの避けられない難点もある。ある一定ラインまでの集客は可能だが、そこからより多くのアクセスと販売を目指そうという段階でどうしても店舗間の競争になる。ランク上位入賞のための価格競争や広告の競争が起きるため、コストをかけずにより多くの集客をすることが難しいのも大手ショッピングモールの特徴だ。また、楽天であれば初期費用や月額などそれなりの出店コストもかかる。ヤフーショッピングは 出店無料になったが、その無料化により出店数が増えた分やはり広告コストはそれなりに掛かってしまうのだ。
少し具体的に考えてみると、客単価5,000円で月商100万円を達成するには1日に6~7件の注文が必要である。それに加えてメルマガやブログなどの広告活動に加えて、モール店舗の広告のための費用、さらには手数料、税金などもかかってくることを考慮すると手元に残るお金はいくらほどになるか、ということになる。しっかりと店舗運営計画を立て、実行しなければならないだろう。
出店後間もない時期は、思うように伸びない売り上げや利益を気にして焦るか もしれない。しかし、そんなときでも忘れてはならない何よりも大切なのは「顧客との関係」だ。ショッピングモールもただオンライン上であるというだけで、 実店舗と本質的には何ら変わらず、顧客を大切にすべきであることに変わりはないのだ。常に対応は素早く正確に、そして、顧客からのメールには迅速に対応、 クレームには最優先で対応する。顧客を第一とした接客を心がけることで、少しずつではあるが自分の店のファンになってくれる顧客も増えていくことだろう。 そういった、すぐには利益に繋がらないが長期的に見ると安定した利益に繋がる地道な努力を惜しまないようにしたい。