株式会社エルテックスは、「通信販売事業関与者の実態調査2018」を実施。「EC/通販事業者の悩み事・困り事」「通販支援ソフトやサービス導入時の重視点」「EC/通販事業者のビジネス課題」の調査結果を公開した。この結果、「商品開発」が事業者の悩みとして拡大している一方、ビジネス課題は安定して「売り上げの拡大」である事などが判明した。
調査は、年商規模3,000万円~100憶円までの通販事業に関わるマーケティング・広告・宣伝、業務(発注、決済、配送、その他の業務)、情報システムの職種に就く会社役員、社員、派遣社員、個人事業主を対象に実施。
EC事業者の悩み事、「商品開発」は5年連続で増加傾向
今回で11回目となる同調査だが、EC/通販事業者の悩み事や困り事に関する質問は調査開始年から実施している。最も回答者が多いのは、「新規客の獲得や集客方法(57.3%)」で調査開始時より回答者が最多の項目だ。だが、これまでの調査結果から目立つのは、「販売する商品の開発(マーチャンダイジング)」が5年連続で増加したことだろう。2013年で30.9%だったスコアは54.3%と5年間で23.4%も増加している。
この背景には、EC/通販市場は全体的にみると順調に成長を続けているものの、事業者間での競争激化により自社ストアで販売する商品で「売上を伸ばしたい」「自社の特徴を出したい」「競合他社と差別化したい」といった思惑が高まったことが考えられる。
一方、「システムの処理速度」「システムの安全性」「受注・決済・倉庫・配送・債権などのトラブル」といったフィルメントに関わる項目のスコア変動はあまり見られず、EC/通販事業者を支援するソリューション側のサービスは安定していることが伺われた。
通販支援ソフト・サービスに対するハードルは年々高くなっている
ECや通販パッケージを導入した経験があると回答した人を対象に、通販支援ソフトやサービスの導入を決定した際、重視した項目を複数回答してもらった結果、「導入や運用のコスト(74.6%)」が最も多く、「ソフトやサービスの機能の充実度(58.3%)」、「希望の納期や適応力(53.3%)」が続き、ソリューションを提供する会社への厳しい選択の姿勢が鮮明となっている。
さらに、調査対象の回答者300人が務めている、又は経営している事業者規模は売上5億円以上が81%、50億円以上は34.3%であることから、システムの新規導入というよりもリニューアルが多いと考えられる。また、「困り事・悩み事」でも伺われた、EC/通販事業者間での競争激化のため、コスト、パフォーマンス、納期等を重視していることが推測される。
6年前から変わらない課題NO.1は「売り上げの拡大」
前述の調査結果より、EC/通販事業者を支援するソリューションサービスの充実が伺えたが、事業者のビジネス課題に関してはここ5年で大きな変動はなく安定していることが明らかとなった。
「ビジネス課題」を問う項目においては、調査開始時の2013年より「売り上げの拡大」の回答が最も多く、80%代での推移をみせている。これに続くのが「新規の顧客の獲得」、「既存のお客様へのサービス向上」だ。どの項目においても大きな変動はなく、調査開始時より順位の変動は見られない結果となった。
今回の調査結果より、事業者の悩み事で最も多いのは「新規客の獲得や集客方法」であるものの、「商品の開発」がここ5年で最も伸びをみせている。これと併せて、事業者にとってのビジネス課題として「売り上げの拡大」が安定して重要視されている状況から、「商品開発」により競合サイト・サービスとの差別化を図ろうとする背景が伺われた。EC/通販事業者をサポートするサービスが充実し、誰もが「そこそこ」のサイト運営ができる今、自社商品の魅力を高めることが集客に最も必要なのかもしれない。