コラムニストのMike Sands氏は、マーケティング担当者が2018年に心に留めておくべき重要な目標を掲げる。

2018年になり、マーケターとして何か改善できることはないかと2017年を省みた。そこで「顧客データの扱い方」について思い直してみた。つまり、いかに私たちマーケターが顧客データを活用し、調整し、共有することで、よりスマートな顧客へのアプローチとビジネス成長を促す事ができるかということについてだ 。

ここに挙げるのは、私が考える2018年にマーケターがすべき3つの事項である。

 

1.真のカスタマーファーストの追求

多くの小売業者は、“カスタマーファースト”に則って行動していると信じている。しかし実際には、顧客以前にビジネスを先攻してはなかろうか。

マーケティング担当者の多くは、顧客データの管理をベンダーに委譲することで、(カスタマーファーストにおける)最前策を講じていると思いたい状況だろう。しかし、そのデータから浮かび上がるブランド全体で共有すべき解決策が、そのベンダーから返ってくる事は稀であり、顧客についての見識は深まる事もない。

顧客を本当に理解するためには、すべてのデータを分析し易くするために一か所に集約するべきである。組織のどこからでもそのデータにアクセスでき、良い計画が練れるような環境を整えるべきだ。顧客サービスの問題や電子メールの不具合、不良品、Webサイトの機能性―。こうした情報はすべて、ブランドと顧客の関係における次の論理的ステップは何かを提示してくれる重要な情報なのである 。

真に顧客中心主義を実現するためには、技術的な側面だけでなく、企業全体でこの価値観を共有する必要がある。つまりビジネスにとって“お客さま”が一番重要だと全社員が確信する必要があるのだ。可能な限り最高の顧客体験を提供したいと考えている会社についての“ミッションステートメント”を読むのは良いことである。しかしこれを実現するために時間とリソースを実際に投資するのは別の話なのだ。

 

2.新規顧客の獲得をやめる

新規の顧客を得ることは、骨が折れる上に大きなコストを費やす。もちろん新しい顧客を見つけることは明らかに必要なことだ。しかし、質の高い顧客を見つけることがもっとも重要で、結局のところ、質の悪い顧客はリピート顧客にはならないのである。

顧客のアイデンティティ・ソリューションの進化により新規顧客の集客をより大きな戦略に結びつけることで、マーケティング担当者は顧客を維持し、企業にとっての高い「生涯価値」を生み出すことができる。顧客をあらゆる側面から認識することで、顧客洞察とターゲット設定のための質の高いアイデンティティグラフ(顧客と相関する識別子のデータベース)を構築することが可能なのだ。

つまり新しい顧客の獲得時に自社のデータを使用することで、自社のチャネルの他、有料メディアなどを通じて顧客との初めての取引を生み出せる。そして長期的で価値の高い関係を築くことができるのである。

 

3.データの共有

私たちは「データ共有」について、考え方を変える必要がある。

顧客データがビジネスの基盤を構築する時代、例えばAmazonやAirbnb、Uberにとって、消費者の欲求を素早く認識する(さらには発明している)ことが成功の要因になっている。自前のデータ資産を持たないブランドは、単独で競争することは難しいのだ。

ブランドが苦労して手に入れた独自のデータを共有する、という考えが、ブランドの競争力を増すことに直接繋がるのだろうかという疑問は理解できる。しかし、分析しきれない膨大なデータを保持し続けることは結局のところデータの価値を損なってしまう。

独自のデータを戦略的、かつ安全な関係性で共有することにより、ブランドは規模を拡大し、顧客データという資産を強化し、競争力を身につけ、新しいビジネスチャンスを生み出すことにつながる可能性もある。

例えば、ターゲット層に共通点が多い日用品会社と大手小売業者、レストランチェーンと飲料メーカー、スポーツ用品サイトと男性向け生活雑貨ブランド、また、自動車、金融サービス、保険会社のデータを見てみると、これらのビジネスはすべてアクセス可能なさまざまなデータを持っており、それぞれのブランドが不足しているデータを補う事が出来る。こうしたデータ・パートナーにより、多くの顧客によりアプローチが可能になり、より膨大で貴重なデータプールを作成することができるのだ。

 

全てのビジネスがどの企業にも当てはまるとは限らない。もちろんAmazonにも不足している部分はある。新年を迎え、まだ(顧客情報の有効な活用戦略が)白紙の状態だとしても、顧客情報は、使い方次第で顧客との関係を構築し、売り上げを伸ばす事も期待できるものである。

2018年、マーケティング担当者が成功を収めるためには、ブランドの顧客データ資産の拡充がどれほどの利益を生むかについて今一度考えてみるべきなのだ。

 

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の1/8公開の記事を翻訳・補足したものです。