米国ニューヨークに本拠地を置くインタラクティブ広告業界団体IABと、ロンドンを拠点とする情報、分析ツール、ソリューション提供企業IHS Markit調査によると、2016年の全世界におけるモバイル広告収益は830億ドル(640億ポンド)に到達。対前年比60.5%増となった。

(Webサイトやアプリ上の広告枠に表示される)“ディスプレイ広告”がモバイル広告の主力となり、対前年比64.3%の伸びを記録。450億ドルに達した。これは、2016年のモバイル広告総支出の54%を占める。なお、2015年のシェアは、52.8%だった。

僅差で2位となった、(検索エンジンで一般ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示す)検索連動型広告は、対前年比61.1%増の360億ドルに達し、対前年比0.1%増となり総支出の42.8%を占めた。

モバイル広告の3本柱の最後の“メール広告”(メールマガジンなど、メール形式で消費者に送られる広告)は、徐々に減少傾向にある。 2016年のSMS(ショートメッセージサービス)とMMS(マルチメディアメッセージングサービス)からの収益は、11.2%増加し26億ドルに達したものの、他チャンネルの成長スピードに負け、シェアは2015年の4.5%から3.1%へと減少した。

エリア別にみると、トップの北米がさらに成長を遂げ、73.1%増の380億ドルに達した。これは全世界のモバイル広告収益の約半分を占める値。第2位のアジア太平洋は270億ドル、第3位のヨーロッパは160億ドルだった。

各エリアによって、チャンネル別の収益比率は大きく異なる(上記のグラフを参照)。 特に注目すべきは、アジア太平洋ではディスプレイ広告の比率が圧倒的に高い点。また、市場としては最小ではあるが、ラテンアメリカと中東とアフリカではメッセージング広告が非常に広く普及している点だ。

エリアによる違いはこれだけではない。IHSのシニアアナリスト、Qingzhen Chen氏は次のように述べた。「欧米市場は、複数の主要マーケット主導で成長したが、グローバル企業が独占した。一方で、アジア太平洋では、現地の企業が成長の大部分を担っている」

なおIABは、このグローバル・リサーチは他の各地域の個別レポートとは異なる調査方法を用いているため、統計データは一致しない可能性があると注釈を加える。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の7/10公開の記事を翻訳・補足したものです。