アメリカのモバイルマーケティングプラットフォーム「StepsAway」は、ショッピングモールのゲストWi-Fi上にモバイルショッピングポータルを構築した。同社は各小売業者に向けて店内Wi-Fiを基にしたソリューションを提供。CRM(顧客管理システム)のデータベースと連携し、モール内の買い物客へ向けてより個別化されたプロモーションを展開できるようになった。

同社主力のサービスでは、第一に買い物客がWi-Fiに接続する必要がある。(この際電子メールアドレスは不要。)Wi-Fiにアクセスするとポータルサイトが表示され、ユーザーはその場で商品カテゴリや、商品、店舗を閲覧したり検索したりできるようになる。現在このStepsAwayはアメリカの150のショッピングモールで展開されている。

新製品は既存のサービスに類似するが、個別の店舗レベルでの使用も可能に。小売業者のデータベースを含むより多くのデータを活用する。最終的な照合のためこちらは電子メールアドレスが必要だ。

一旦「store WiFi」に認証されると、買い物客はwebアプリにリダイレクトされる。買い物客は、小売業者のCRMデータベースに蓄積されている購入履歴やエンゲージメント履歴に基づいてリアルタイムにカスタマイズされたオファーを受け取り、小売業者は買い物客の前回の店舗訪問、端末のタイプ、居住地などWi-Fiのストリーミングデータを活用し、マーケティングキャンペーンの効果も測定することができる。

例としては、ある買い物客が小売店のウェブサイトに登録し、すでにオンラインショッピングのカートに靴を入れたまま来店すると、SAKairos(顧客情報をWi-Fiストリーミングデータと照合し、来店時リアルタイムで顧客別のお得情報を自動生成するプラットフォーム)経由で自動的に20%オフにするというお得情報を受けることなどである。

StepsAwayのCEO、Allan Haims氏は「これによって、パーソナライズされたコンテンツのためにゲスト用Wi-Fiを活用し、店内でデータを収集することができる」と説明する。消費者がゲスト用Wi-Fiにサインインしていなくても、分析ツールとしての使用も可能とのこと。「電子メールによって顧客を店舗に呼び込めたかどうか、またその頻度や滞在時間まで把握することができる」。

また「店舗やオンラインでの過去の消費行動によって、その顧客への(お得な)オファーの内容を決定し、顧客が店内でサインインした際にそのオファーを見るよう促す」と、同氏。店舗内の行動は後に、メールキャンペーンや、顧客がインターネット接続時に表示される広告にフィードバックすることもできる。彼は、小売業者がパーソナライズの仕方を決定する必要があると述べたが、この技術によって“放置されているオンライ上の買い物かご”の内容に結び付く店内オファーを示すといったようなことができるという。

同社はまた、買い物客のプロファイル作成のために第三者データも含める予定だ。

これらは全て魅力的で、Beacon(近距離無線技術。ビーコン)が店内のマーケティングツールとして最大限の能力を発揮するのを妨げる障害(たとえばアプリのダウンロードやハードウェアの導入など)を克服している。しかしここでもまだいくつかのハードルが存在する。

多くの小売業者は内部用のWi-Fiを持っているが、そのほとんどはゲストに提供していない。これに対しHaims氏は、既にWi-Fi環境があるなら一般的なアクセスを有効にするのにそれほどコストはかからない、と説明している。Wi-Fiへのアクセスに電子メールアドレスを要求すると、買い物客の一部は途中でやめてしまう可能性がある。彼によるとその割合は50%とのこと。

しかし、電子メールと店舗両方における適切なメッセージは潜在的なプライバシー侵害を克服できる。買い物客が割引やよりよい顧客体験のためには個人情報を共有するということをデータは示しているのだ。小売業者は、店内での顧客体験の向上やお得なサービス、個別化したサービスのツールとして、テクノロジーの中でも特にモバイルテクノロジーを活用していかなければならない。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の5/26公開の記事を翻訳・補足したものです。