開封率やクリック率以外のビジネスに影響を与える重要な指標を紹介しよう。

 

クリック率や開封率などの指標は、キャンペーンのパフォーマンスを測定する上で非常に重要なものだ。しかし、この他に、ビジネスやマーケティング戦略により大きな影響を与える指標がある。

 

「メールサービスプロバイダーのダッシュボードに用意されているような、簡単にアクセスできる指標を使うことだけが目的ではない」と、ブティックコンサルタント企業Holistic Email Marketingの創設者兼CEOのKath Pay氏はThe MarTech Conferenceで述べている。「ビジネス志向の指標は、実際に効果をもたらしているかを確認するのに役立つものである」。

 

ここでは、マーケティングとビジネスの目的の核心に迫る、メールマーケティングの6つの指標を紹介しよう。

 

コンバージョン率

コンバージョン率を見ることで、開封やクリックだけでなく、カスタマージャーニーの全体像を把握することができる。

 

「もちろん、コンバージョン率はランディングページでより多く発生する。つまり、コンバージョン率は、メールジャーニーだけでなく、コンバージョンが発生するランディングページも考慮されている。多くの場合、メールではコンバージョンが発生しないことは、誰もが知っている」。

 

コンバージョン率は、通常、サイトのコンバージョン数を訪問者数で割って算出する。ビジネス全体に対するメールキャンペーンの効果を測定するには、マーケターはメールを含むカスタマージャーニー全体を計算に含める必要がある。

 

メールアドレスの価値

マーケターは、データベース内の各メールアドレスがどのような価値を持つかを測定する必要もある。

 

これは、他のチャネルで有料メディアキャンペーンを行う価値があるかを判断するのに役立つ。メールキャンペーンは、デジタルメディアや従来のメディアでの広告キャンペーンほど費用がかからない。つまり、投資対効果が高い可能性があるため、メールの価値は知っておくべき重要な指標なのだ。

 

また、他のメディアにおけるキャンペーンの目的が、顧客にメールでサインアップしてもらうことであるならば、メールの価値はキャンペーン全体の価値を測定するのに役立つ。

 

メールアドレスの価値を計算するには、まず、メールのライフサイクルの長さを知る必要がある。それがわかったら、年間のメール収益にメールサイクルの年数を掛ける。そして、その値を年間の平均リストサイズで割ればよい。

 

キャンペーンの背後にある顧客の行動

メールキャンペーンが顧客の行動に影響を与えることがあるが、それはあなたが意図した通りのものとはならない。そのため、メールを受信した顧客が取る行動に細心の注意を払おう。例えば、あなたのブランドのメールを開封した後、ウェブサイトをクリックする代わりに、購入決定前にまずGoogleであなたの製品について検索するかもしれない。競合他社を訪問することもあるかもしれない。あるいは、件名やアドレスであなたの社名を目にした後、それを開封せずにそのままGoogleにアクセスするかもしれない。

 

「顧客は開封もクリックもしていないが、実際には行動は起こしている。必ずしも顧客にクリックという行動を期待している訳ではないので、メールは一般的に帰属性が低いということが分かる」とPay氏。

 

メールキャンペーンが影響を与えるその他の顧客行動を把握することで、メールキャンペーンの重要性をより的確に提言できるようになる。

 

投資収益率(ROI)

上述したように、メールは非常に低コストで大きな成果を上げることができるマーケティングチャネルだ。そのため、ROIは企業内でそのビジネスケースを説明するための重要な指標となる。

 

「より多くの予算が必要な場合や(メールマーケティング)プロバイダーを変更したい場合、このビジネスケースを構築する必要がある」とPay氏は話す。

 

メールのROIを計算するには、メールによってもたらされた総売上からメールキャンペーンにかかったコストを差し引き、それを投資額で割る。その値に100を掛ければ、ROIが算出される。

 

開封率とクリック率

「開封率とクリック率は、キャンペーン以外でどれだけオーディエンスを惹きつけることができたかを測定するものだ。キャンペーンに関する報告だけではなく、マーケティングやメールプログラムの成功を測定することも重要だ」と、Pay氏は話す。

 

この2つの指標は、より購読者をベースとした指標であると、同氏は付け加える。この指標は、月単位や四半期単位など、組織にとって最適な方法で測定することができる。

 

特定のキャンペーン、あるいは1か月間のクリック率と開封率を測定することで、キャンペーンが有意義な結果を生み出す上で、どの程度効果があったかを明らかにすることができる。

 

開封率やクリック率は、長期的な累積効果を示すものだ。あるキャンペーンではメールをクリックしなかったが、別のキャンペーンではクリックした顧客も集計される。こうすることで、測定期間中の数値は100%に近づいていく。

 

開封率やクリック率は、特定のキャンペーンに対する指標というよりも、メールプログラム全体に対する効果をより適切に測ることができるものといえる。

 

顧客生涯価値

顧客生涯価値(CLV)は、キャンペーンの指標からかけ離れたものだとPay氏は話す。

 

しかし、メールキャンペーンは、新規顧客の獲得において重要な役割を果たすことができる。そのため、その顧客の全体的な価値は、顧客獲得と強い関連性を有する可能性がある。

 

CLVを算出するには、年間の平均顧客支出を計算し、それに平均顧客がブランドを利用した年数を掛ける。

 

これらの重要な指標はすべて、時間の経過とともに変化するということを肝に銘じてほしい。そのため、これらはベンチマークとして、ビジネスが全体的にどのように改善されているかを示すために使うことができる。

 

また、メールマーケターにとって最も重要なことであるが、指標はメールキャンペーンが長期的にビジネスにどのような影響を与えるかを示すことができるのだ。

 

「ここであなたが目にしているものはすべて、ベンチマークとして利用することができる」とPay氏は話す。「これは現在の状況だが、我々はメールプログラムを改善し、顧客獲得を改善する予定だ。さまざまな戦術を駆使し、さまざまなオファーを試して、顧客生涯価値を向上させるつもりだ」。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の11/8公開の記事を翻訳・補足したものです。