11月のeコマースは全体的に増加

 

米国に本社を置くソフトウェア企業のAdobeによると、2021年のサイバーマンデー(11月29日)におけるオンライン支出が107億ドルに達したことがわかった。これは、今年最大のeコマース売上を記録したものの、前年比1.4%ダウンとなった。2020年の同時期は108億ドルの支出であった。

 

昨年2020年と比較すると、ブラックフライデー(11月26日)には若干の逆風が吹いていた。今年のブラックフライデーの支出は減少、感謝祭(毎年11月の 4 週目)は横ばいとなった。今年のブラックフライデーのeコマース支出は89億ドルで、2020年の90億ドルから減少した。感謝祭は51億ドルで、昨年とほぼ同レベルとなった。

 

Adobeのデータによると、今年は消費者のオンライン支出時期が早まった。11月1日から28日までの期間の支出額は991億ドルとなり、前年比136億ドルの増加となった。

 

注目すべき理由

サプライチェーンの遅延に関する多くのニュースがあり、消費者も注目している。購入時期が前倒しとなり、割引やその他のプロモーションなどのマーケターの努力がホリデーシーズン支出に繋がっている。

 

eコマースは、1日だけのイベントが数日にわたる大規模なイベントに発展する傾向が顕著である。また、競合他社よりも早く前倒しでセールなどを始める小売業者が出てくる。そのため、ブラックフライデーより早く始まるセールもあった。また、サイバーマンデーはサイバーウィークへと変わりつつある。全体的にeコマースの売上は増加しており、タイミングを見計らった戦術が功を奏している。

 

サイバーマンスになる?

「11月において、支出が30億ドルを超えた日が21日もあり、サイバーウィークはもはやサイバーマンスとなりつつある」と、Adobe Digital InsightsのディレクターであるTaylor Schreiner氏は語る。参考までに、2020年には11月28日までの間、わずか8日しか30億ドルを突破しなかった。

 

サプライチェーンの問題、労働力不足、新しい消費者行動、さらに感謝祭前週のGoogleのコアアップデートなど多くの要因が小売業者の今年のサイバーウィークのパフォーマンスに影響を及ぼしたと考えられる。これらの問題が原因で、サイバーウィークの目標に届かない企業が出るかもしれない。しかし、Adobeは11月1日から12月31日までのホリデーシーズン全体の支出額は2,070億ドル(前年比10%増)になると予測している。その点を考慮して、キャンペーンやプロモーションの成果を明確に把握するためには、11月初旬からの長い期間の長期的な売上を評価する方が良いだろう。また、今年は消費者の買い物時期がかなり早まっているとみられており、前年との比較もしやすくなるかもしれない。

 

人気商品

2021年11月29日(月)時点では、おもちゃ、電化製品、テレビゲーム、テレビが売上の上位を占めた。おもちゃカテゴリの中では、Hot Wheels(ミニカーブランド)、Baby Alive(赤ちゃんの人形)、レゴNERF(銃型のおもちゃ)が売上上位となった。電子機器では、Apple WatchesAirPodsNintendo SwitchXbox Series Sが上位にランクインしたほか、HPLenovoDellのノートPC、SamsungSonyのテレビなどが売上を伸ばした。(米国に本社を置き、ストリーミングテレビやプラットフォームを提供するRokuストリーミングスティック もトレンド入りしており、広告主にとってストリーミングの人気が続いていることを示しているといえるだろう)。しかし、需要のある商品に対して、買い物客は柔軟に対応しなければならない。11月27日、28日には、前週と比較して「在庫切れ」の表示が16%増加した。

 

カーブサイドピックアップの利用は依然として多く、後払い決済サービス(BNPL)は減少

11月27日、28日の時点では、コロナ禍前と比較してカーブサイドピックアップが33%増加、同サービスを提供している小売店のオンライン注文全体の18%はカーブサイドピックアップを利用。2020年は、より多くの利用があり注文全体の25%であった。11月末の利用増加から、多くの消費者が店頭在庫を購入する際に、最も安全な方法を選びたいと考えていることがわかる。

 

消費者は安全性には慎重であるが、家計への見通しは明るいようである。後払い決済サービス(BNPL)での収益は前年比10%減で、受注総数は前年比23%減となった。Adobeによると、サイバーマンデーのBNPLの収益は前年比21%増だが、クリスマスが近くなるまでは再度の利用増はないだろうと予測している。

 

価格上昇と、割引の減少

米国に本社を置き、顧客管理ソリューションを提供するSalesforceの調査では、サイバーマンデーの売上高はAdobeの調査結果をやや上回る113億ドルであった。また、Adobeの調査と同様の傾向を示している。オンラインの買い物客は例年より高い価格で購入している。割引率低下とインフレが原因とみられる。Salesforceによれば、平均販売価格が2020年と比較して米国では11%、世界全体で5%上昇しているという。平均割引率は米国で26%、世界では24%低下している。

 

この記事の取材にはSearch Engine Landの編集者、George Nguyen氏の協力を得ている。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の11/29公開の記事を翻訳・補足したものです。