オンラインマーケットプレイスの大規模セラーは、オンラインプラットフォームにおいて重要な役割を果たしており、今年の第1四半期には、マーケットプレイスの流通総額(GMV)の88%を占めた。まさに、8:2の法則が体現されている。一方、中小規模セラーも増加しており、彼らの占めるGMVの割合は、今年の第1四半期では倍増。過去一年間でみると3倍にもなっている。

 

中小規模セラーは、今後も勢力を保ち続けるだろう。

 

これは、Mirakl(ユーザーのeコマースウェブサイト上でマーケットプレイスの立ち上げと管理を支援するフランスのスタートアップ)が発表した「2021 Enterprise Marketplace Seller Report」(2021年エンタープライズマーケットプレイス販売者レポート)が示す主要な調査結果の一つだ。本レポートでは、世界70以上のeコマースマーケットプレイスでビジネスを行う5万人のサードパーティセラーの活動を調査した。

 

過去15か月間にマーケットプレイスに参加した販売者は36%

本レポートにおける重要な調査結果の一つは、現在のマーケットプレイスの勢いが販売者を惹きつけているということだ。販売者の36%は、過去15か月の間にオンラインマーケットプレイスに参加している。Miraklは、小売業者が独自の商品セレクションを求めていることから、中小規模セラーは今後も勢力を保ち続けるだろうと考えている。

 

同社の共同最高経営責任者であるAdrien Nussenbaum氏は次のように語る。「エンタープライズマーケットプレイスモデルが勢いを増すなか、既存の小売業者とサードパーティセラーが共に協力し、競争の激しいeコマース環境で成功する機会が拡大している。新規サードパーティセラーから新たなGMVを獲得できるだけではない。セラーは、小売マーケットプレイスが、従来型eコマースモデル単体よりも、より迅速に、より差別化し、より高い顧客満足度で品揃えを拡大するための鍵となる」。

 

マーケットプレイスは、サードパーティセラーによって急速に拡大することが可能だ。

 

Miraklによると、エンタープライズマーケットプレイスには、3つの主要なビジネスモデルを代表する三つのタイプの販売者がいるという。それは、マーケットプレイスのネイティブセラー(今年の第1四半期にすべてのマーケットプレイスにおけるGMVの63%を占めた)、ブランドセラー(同20%)、そしてeコマース小売業者(同17%)だ。「このようにビジネスモデルが多様化することにより、小売業者は、自社マーケットプレイスの構成をより正確に調整し、キュレーションを行うことにより、買い物客のニーズにさらに適切に応えることができる」。

 

47%の販売者が複数のマーケットプレイスで活動

本レポートにおけるもう一つの調査結果は、全販売者の約半数が複数のマーケットプレイスでビジネスを行なっているということだ。「セラーは、大手小売業者と提携することによって拡大の機会を模索し、実際に見い出しているため、複数のマーケットプレイスで活動するケースが増加している。こうしたパートナーシップでは、マーケットプレイスごとに異なるカタログが提供される場合が多く、セラーは各小売業者パートナーのニーズに合わせて品揃えを積極的に差別化している」。

 

サードパーティセラーは、オンラインショッピングの利用者に人気がある。

 

サードパーティセラーは、オンラインショッピングの利用者に人気がある。このことは、彼らの品揃えの質やカスタマーサービスが、従来のeコマースのベンチマークを上回っている事実からもうかがえる。これらのセラーは、買い物客から5点中4.5点の評価を得ており、返金率も低く(従来のeコマースに比べて50%低い)、各注文あたりのカスタマーサービスの問い合わせ件数も、ファーストパーティセラーより少ない。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News Europe」の7/16公開の記事を翻訳・補足したものです。