2020年第2四半期に発生した新型コロナウイルスのパンデミックによる打撃を受けた広告費の回復が、予想を上回るペースで進んでいるようだ。世界の広告市場は、当初より健全な見通しとなっている。Zenithの最新の予測によると、世界の広告市場は、7月に予測した9.1%減少に対して、今年全体で7.5%減の5,870億ドルとなるとみられる。

 

2021年の世界の広告費は、夏季オリンピックとUEFA EUROサッカー大会の延期の影響もあり、2020年と比較し5.6%増加して6,200億ドルになると予想されている。それにもかかわらず、2019年の6,340億ドルをまだ下回っている。ただし、2022年には、広告費はさらに5.2%増加して、6,520億ドルに達し、2019年の支出を超えるとの予測だ。

 

アジア太平洋地域と中・東欧地域が支出の回復をリードするだろう。実際、この2つの地域は、2021年には2019年の水準まで回復すると予測されている。

アジア太平洋地域では、多くの市場がCOVID-19による健康被害や経済的被害を封じ込めつつあり、限定的に抑えることに成功するだろう点、また、中央ヨーロッパと東ヨーロッパは、他の地域に比べて広告市場が未熟であったことから、根本的な成長率が高くなるだろう点が起因している。

 

西欧では12.3%、中南米では13.8%、中東・北アフリカでは20%減であったのに対し、2020年の北米の広告費は、米国大統領選挙を中心とした政治的支出が多かったため、わずか5.3%の縮小にとどまっている。

 

広告市場全体と比較すると、デジタル広告費は今年1.4%の成長を見込んでおり、広告費全体に占めるシェアは2019年の48%から52%に上昇。デジタル広告、支出では検索が8%、ソーシャルメディアが14%を占めている。

デジタル広告は、2023年までに世界の広告費の58%を占める見込みである。

 

「世界の広告市場は、今年の残りの期間を通じて、第2四半期の落ち込みから回復するだろう」と、Zenithの予測責任者であるJonathan Barnardは述べている。「複数の有効なワクチンへの期待に後押しされ、2021年以降も広告支出の増加が継続し、2022年には、広告市場が2019年の水準に戻るという確信している」と続けた。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の12/7公開の記事を翻訳・補足したものです。