パフォーマンストラッキングを始める時は、ターゲットとする地域それぞれの違いを観察し、地域ごとの特色に戦略を適応させる準備が必要である。

 

マーケティング活動を海外に広げることは、エキサイティングな一歩になるかもしれない。しかし、新しい地域にPPCを導入するには、単純にコピーしたり地理的ターゲットを変えたりするだけでは上手くいかないものだ。

予算、チャネルの割り当て、アカウント構造、ローカライゼーション、地域固有の問題を検討するまでは、国際的なキャンペーンの設定は慎重にするべきである。この記事では、海外をターゲットにし始める際に、必要になるフレームワークの確立についてのポイントを詳しく説明する。

 

国によって異なる予算

広告オークションで競合するCPC(クリック回数で発生する広告コスト)とCPM(表示回数で発生する広告コスト)は、国によって大きく異なる。Googleキーワードプランナーにキーワードを登録し、ターゲットにする国に地域を設定することで、Google検索にかかる費用の概算がわかる。しかし、この見積もりが外れている場合があるので、キャンペーンを始めてから実際の数値を確認し、平均的なCPCやCPMを把握していこう。

 

さらに、顧客獲得コストも国によって異なる。そのブランドが浸透していない地域で宣伝を始めたばかりであれば、CPA(コンバージョン単価)が上昇することが多い。

 

だが、その地域でのCPCが低い場合は、逆のことが当てはまると言える。最近開始した、ラテンアメリカのクライアントのLinkedIn(アメリカに本部を置く世界最大級のビジネス特化型SNS)キャンペーンでは、CPCが大幅に低く、CPAが米国の平均の半分以下であることがわかった。

 

また、リードの品質を測定するために、CRM(顧客関係管理)データに注目しなければならない。コストが安く見込み客の割合が低い地域ということは、潜在顧客が多い地域ともいえる。最終的には、質の高い見込み客1件獲得あたりのコストや、完了した売上げ1件あたりのコストなどの指標を確認して、キャンペーンで目指すCPAを決定すると良い。

 

地域のトップチャネルを調べる

ターゲットとする地域で、ユーザーが最もよく利用している検索チャネルやソーシャルチャネルを検討することが大切だ。Googleだけをターゲットにすると、かなりの数のユーザーが除外されてしまう国もある。例えば、ロシアではYandex(ロシアの検索エンジン)が市場の44%をカバーしており、中国ではBaidu(中国の検索エンジン)がシェア66%を占めている。

 

アクセス解析サイトのStatCounter(本部アイルランド)は調査に使用するのに適したサイトであり、ターゲットとする地域の現地担当者に直接コンタクトをとることもできる(統計が100%正確とは言えないので注意が必要)。また、広告プラットフォームの担当者は、地域の使用状況に関する統計情報を入手することもできる。

 

アカウント構造の計画を立てる

キャンペーンを国ごと、または地域ごとに分けると、入札価格を適切にコントロールでき、レポートを分割できる。また、この戦略はCPCが安価で広告ボリュームが多い国において、広告費を共食いすることを防ぎ、CPCは高くても、質の高いリードがある国でキャンペーンを行うことができる。

 

地域別にキャンペーンを分割することで、時間ベースの入札モディファイアをより正確に使うこともできる。ヨーロッパと米国をひとまとめにして同じキャンペーンを行うと、米国の夜間に入札単価を引き下げた場合、ヨーロッパの昼間の入札単価も下がってしまう。地域別のキャンペーンを行えば、数時間差があるタイムゾーンでのパフォーマンスの低下を気にせずに、時間ごとの入札単価を調整することができる。

 

アカウントのセグメント方法を決める時は、請求関連のニーズも考えなければならない。特に、規模の大きい会社の場合、地域ごとに異なる部門で支払いを行う必要があるケースが多い。部門ごとに異なる請求元にするために、個別の広告アカウントを使わなければならない可能性もある。

 

言語アセットローカライゼーションを含む

リーチしようとする人向けに、広告文をローカライズしよう。キーワード、広告コピー、トップページのコピーを別の言語に翻訳する必要も生じる。

 

また、英語を話しているが、地域方言によって使う言葉が違う場合がある。例えば、米国ではオムツは「ダイパーズ(diapers)」と言うがこれを売るとする。英国で広告するなら「ナッピーズ(nappies)」と表現しなければならない。下の図から、Amazon US(diapers)とAmazon UK(nappies)で同じ製品カテゴリで検索結果のページを表示した場合の違いを確認してほしい。

 

また、地域によって異なるスペルにも対応しよう。CTA(行動喚起)ボタンで例えると、米国では「View Our Catalog(カタログを見るにはこちら)」と表示するが、英国では「View Our Catalogue」と表記しなければならない。広告文の中に、ターゲットとする地域では意味をなさない言葉やスペル、話し言葉が含まれていないか、方言に詳しいコピーライターに確認してもらうと良い。

 

地域独特の問題を特定する

(ローカライゼーションプロセスを完了したとしても)あるキャンペーンを、ただコピーし、別の地域でそのまま実行しても効果が無い場合がある。世界の様々な地域では、セールスファネル(見込み客の絞り込みから受注に至る過程)において、独自のサービスや異なる行動へのニーズがあることもある。

 

例を挙げると、あるサイバーセキュリティ会社は、特定の国がサイバー攻撃を受けた後、DDoS攻撃(ウェブサイトやサーバーに対して過剰なアクセスやデータを送付するサイバー攻撃)対策サービスへの高まりをみるだろう。または、スキー用品店では、寒い季節が到来する地域での販売が増加するだろう。

 

こういった特色を見つけるには、その地域でビジネスを経験している企業と連絡を取ること、月別や地域別の検索傾向を調査することを組み合わせると良い。Google Trendsは、ある単語がGoogleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができるツールなので、包括的なシーズンごとの傾向を把握するのに役立つ。

 

例えば、下図のように、米国とオーストラリアでは「ヒーター(暖房)」の年間の検索ピークは逆の時期になっている。暖房ユニットを販売する場合、国際的なマーケティングの実行時に、地域ごとの天候を考慮しなければならない。

 

次に、異なる地域でのユーザー行動について考えること。営業担当といち早く話をしたいと考える文化もあれば、最初はただコンテンツを読みたいと考える文化もあるだろう。セールスファネルと、初期および中期フェーズおけるコンテンツ提供量を改善し、各地域で何が機能しているかを確認しなければならない。

 

このステップは、どの機能がベストかを決めるためのテストが必要な場合がある。結局のところ、ある地域で完璧に磨き抜かれたファネルであっても、別の地域にそのまま移行できると考えるべきではないのだ。

 

国際的なキャンペーンを計画し始めたら

母国でのマーケティングから次のステップに進む準備はできただろうか。国際的PPCへと拡張するプランを立てるには、このようなステップが必要だ。ターゲットにする地域の特色を徹底的に検討し、アセットを適応させなければならない。そして最後に、パフォーマンストラッキングを開始し、データを確認し、地域ベースの戦略を適応させる準備をしよう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の7/31公開の記事を翻訳・補足したものです。