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公開日2020/07/30

危機時に改めて考える、企業のオンラインブランド管理

ビジネスの評判と顧客へのアプローチを維持しながら、かつ、大幅に改善できる機会は、存在している。

企業ブランドを管理することは、たとえ「平時」であっても、ニッチや競合他社、現在の状況によっては困難となる。そして私たちのほとんどは、ブランドの一歩間違えた行動によって、その評判に関する深刻な問題が引き起こされたという例をどこかで聞いたことがあるだろう。(そのような経験をしていないことを望むが)。

COVID-19パンデミックによって生じている大混乱のように、状況が深刻な場合には、新たな多数の落とし穴が出現する。

 

今回は、企業が直面している可能性のある、特殊なリスク要因のいくつかについて、議論していきたい。企業のビジネスへのアプローチと顧客のアプローチの両方を変え、危機時に企業の評判を守りながら、さらに、それを大幅に改善できる多くの機会が存在しているのだ。

 

ビジネスの現状を把握する

どのようなプロジェクトでもそうであるが、まず始めに、出発点を明確にすることが重要である。現状では、企業は戦略策定のためのマーケティング活動の監査を四半期ごとに実施しているはずだ。しかし、危機的な時期には、監査を実施し、オンラインでのプレゼンスを向上させる方法を確認することが、さらに重要となる。

以下の項目に注目して、現在のブランドの状況を監査すべきである。

 

  • ブランドに関する言及
  • リスティングとソーシャルページ全体におけるレビュー
  • ソーシャルメディアのエンゲージメントとファン
  • ランキングとオーガニックトラフィックデータ
  • コンテンツ制作
  • 総合的なブランドに対するセンチメント(消費者の感想や感情)
  • 総合的なサイトのデータ

 

次に、これらのデータを、すべてのプラットフォームにおけるキーワードのパフォーマンスとコンテンツ(ユーザーのコメントを含む)と関連付け、パターンを探す。

ネガティブな指標を見つけることは比較的容易である。そして、ポジティブなシグナルを見つけることも同様である。これらを実行することにより、総体的に、自社ブランドが現在、オンライン上でどのような位置にいるかについて、一般的な概要がわかるはずだ。

 

次に、異常値を探す必要がある。ネガティブなもの、ポジティブなもの、どちらであれ、1、2個の項目だけが目立っている場合は、個別に対処した方が良い。

一方、異常の傾向が見られる場合は、ブランド全体への評価に大きく影響していると考えるべきである。いずれにしても、強度にネガティブな項目には、積極的に対処する必要がある。また、極端にポジティブな値に関しては、さらに活用すべきチャンスがあると考えられる(新規インフルエンサーとの関係構築につながることさえある)。

 

通常の日常業務では、定期的にブランドイメージ評価を実行すべきである。四半期毎というのが一般的なルールである。しかし、ビジネスやそのニッチ、あるいは、社会全体が危機的な状況に陥っているときには、適切な戦略を確立するためのブランド監査が不可欠である。周囲のすべてのものが変化する中、ブランドが、過去にどこにいて、現状はどうなっていて、そして今後どこに存在すべきかに基づいて、適応していく必要がある。

 

顧客を見極める

現在のCOVID-19のパンデミック禍では、顧客について認識している事実すべてが、実質的に変化する可能性がある。顧客のニーズやペインポイント、購買力、機動力、そして、マーケティング活動に対する受容性は、以前と同じではないだろう。

今、顧客は、怯え、不満を抱え、不安定で、頭がいっぱいかもしれない。過去実証済みの方法では効果的でないだけでなく、自社ブランドのかつての忠実な支持者を遠ざけてしまう可能性もあるだろう。

すでに実行している自社マーケティングによっては、COVID-19危機前には、完璧に適切だと思われた既存の広告やキャンペーンを調整または削除する必要があるかもしれない。このパンデミックの期間中では、例えば生命保険や葬儀サービス、保育サービスを提供している場合、自社アプローチが、営業的で無神経、または、危機に便乗していると認識されてしまう可能性を避ける必要があるだろう。

 

危機的状況によるストレスから、顧客が過敏になる可能性があることを考慮しよう。以下の点を認識することで、顧客の現状に対するスタンスを把握し、もし、実行できるとしたら、どのようにして顧客に最適なマーケティングを行うことが可能なのかを理解することができるはずである。

 

  • 危機的状況下における、現在顧客が抱えるペインポイントは何か?
  • それらは、通常のペインポイントとはどのような違いがあるのか?
  • 顧客は、どこから情報を得ているのか?
  • 危機的な状況下でも、顧客はどのようにして商品を購入しているのか?
  • 購入量は増えたのか、減ったのか?
  • 増減がある場合、どのような種類の購入が増えたのか、あるいは減ったのか?その理由は何か?
  • 顧客の意思決定プロセスはどうなっているか、危機によってどのように変化したのか?

 

平時と同じく、共感的アプローチが最も効果的である。顧客の状況を理解しているだけでなく、自社ビジネスが、顧客に適応していることを明確に示すべきである。特に最も直接的な影響を与えられることに焦点を当てることで、正確な情報を得るための信頼性の高いリソースを、顧客やフォロワーに提供することができるだろう。

 

私のブートキャンプのインストラクターは、現在、すべての顧客とその家族のためにZoomでのブートキャンプを提供している。彼は、ただサービスを継続的に提供するためにバーチャルに移行するのではなく、私たちがネットワークを構築し、お互いにコミュニケーションをとれるように、各クラス終了後に、追加の15分をスケジュールしている。そして最後に、彼は同じことを言う。

「何か必要なことがあったり 話したいことがあったりすれば、教えてください。 私は、いつでも力になりたいと思っています」。

このシンプルな文章と、一緒にコミュニケーションを取るための時間を追加することで、顧客が今必要としていることを理解したパーソナルで共感的なアプローチが提供されているのである。

 

自社のニッチや市場によっては、危機的な状況下にいる顧客の、特殊なニーズを満たす、新しいレベルのサービスを提供できるかもしれない。このプロセスにどのようにアプローチするかによっては、ブランドの評判を永続的に高める結果になるかもしれないし、逆に財務上の損害を与えることになる可能性もあるだろう。

ブランドと顧客の両方を守るためにも、機敏に行動し、共感的なアプローチを実行すべきである。

 

いつ、どこで、施策を削減、もしくは、拡大すべきかを知る

危機的な状況下において企業は、スタッフを解雇したり、マーケティングキャンペーンを縮小したり、イベントの延期やキャンセルを余儀なくされたりすることがある。財政的な余裕があまりない企業が、危機収束後まで生き残るために、マーケティング費用、特に広告費を、可能な限り削減しようと考えるのは当然のことであろう。

しかし現在のパンデミックは、新たな市場への参入やビジネスの刷新、あるいは単純にマーケティング活動の強化を実行する余裕がある企業にとっては、危機収束後に競合他社に先んじて飛躍するチャンスにもなるのだ。

例えば、レストラン店舗は、デリバリーサービスや路上ピックアップサービスを追加するというオプションを検討することができる。しかし多くの潜在的顧客は、感染源となるかもしれない食品によって、自分の家族が危険にさらされる可能性を心配しているかもしれない。革新的なレストラン経営者は、顧客が自分で調理するミールキットを提供することで、この懸念を克服している。これは、危機の時にビジネスモデルを変更することを意味するが、適応することで成功している優れた事例である。

また、ピザ生地とソース、チーズ、そして、お好みの具と、作り方説明書を付けた「ピザキット」を提供しているピザ屋もある。あまり専門的ではないメニューを提供しているレストランの中には、デリバリーやテイクアウト用に、調味料、ガーニッシュ、デザートなどをセットにした様々なオプションを提供しているところもある。

このようなサービスによって、彼らは顧客により強い安心感を与えながら、レストラン品質の食事を通常よりも安いコストで提供することができているのだ。同時にレストランは、自店と少なくともスタッフの一部を維持しながら、コストを削減することができている。また、言うまでもないが、このオプションによって、危機的状況下における最終的なゴールである、顧客とビジネスの関係の維持を達成できるだろう。

 

市場のギャップを埋める方法を見つけることは、ビジネスにおける最も古くからある原則の一つだ。対応できていない新しいニーズは何か、顧客の抱える新しいペインポイントは何かを見つけ、自社ビジネスが新規市場、サービス、または製品に移行できるかどうかを検討すべきである。

それは、自社ビジネスを存続させるために必要な資金をもたらすだけでなく、現状あるものよりも、より収益性の高い全く新しい部門に発展する可能性もあるだろう。

 

また、実行するのに十分な時間を持てなかったタスクのいくつかを行う、完璧なタイミングとなるかもしれない。例えば、マーケティング予算を削減しなければならない企業は、危機中のダウンタイムにウェブサイトのリデザインや、ずっとやりたかった新ロゴの制作、初めてのインタラクティブコンテンツの制作などに注力することができるだろう。

 

さらに、自社のビジネス構造を見直し、最大限効率的に運営されているかどうかを確認するための絶好の機会にもなる。危機によって、ビジネスが一時停止する可能性があるが、その余った時間を利用して、ビジネス構造を見直し、ブランドが意図した通りに認識されているかどうかを確認するべきなのだ。

 

もちろん、新しいサービスや新しいイメージは、その背後にあるマーケティングがなければ認識されない。市場のギャップや、突然の長い空き時間を利用しようと思うなら、その成果を人々の前に提示する準備をしておく必要がある。自社マーケティングに、調整を加えることが必要となることを覚えておくことが重要である。

 

以前は、路上看板が効果的だったかもしれない。しかし、道路にほとんど人がいない今では、ソーシャルメディアの方が優れた選択なのかもしれない。自社の顧客を知り、彼らが何を必要としているのか、何を望んでいるのか、そして彼らがどこにいるのかを知ることが全てであろう。

 

活動する

今は、静かに影を潜めている場合ではない。実際、最悪の行動の一つは、危機時に闇に消えることである。自社のファン、顧客、訪問者は、あなたを必要としており、彼らは、あなたがビジネスを継続しているかどうかを知る必要がある。もし、顧客が必要としているものを提供しているのであれば、明確に目に見える形で、どのように顧客を助けることができるかを積極的に知らせなければならない。

危機的な状況の中で、自社ビジネスが提供できるものが何もなくても、自社ブランドをオーディエンスの目に触れさせておく必要がある。もし提供できるものが食料品や掃除用品の配達を手伝うボランティアだけなら、それをやるべきだろう。そのことを自慢すべきではないが、隠すべきではない。ブランドTシャツを着て会社のトラックを運転すべきであり、FacebookやInstagramに写真を投稿すべきなのだ。そして、人々の目に触れるようにしながらも、自慢するような態度は好ましくない。

自社ウェブサイトにブログがあるならば、今こそ必ず定期的に投稿するべき時期である。価値あるコンテンツを提供し、リソースとなるべきなのだ。

ビジネスを継続していることを示すバナーをホームページに追加するだけでは、誰も感動させることはできないし、当然誰の助けにもならない。同様に、ソーシャルメディアやウェブサイトに表面的なコンテンツを投稿しても、価値あるリソースとして注目を集めることはないだろう。

 

危機的な状況下では、時間をかけて、現状を踏まえたコンテンツ戦略を強化する必要がある。

現在の強制的隔離の中で、ほとんどの人は家にいる。多くの人が、情報に飢えているか、もしくは、退屈しているだろう。そして、ほぼ全員がオンライン上で過ごす時間が増えている。

今こそ、新しいコンテンツを公開し、ソーシャルメディアでの活動を拡大しよう。読者のニーズに応えるコンテンツを提供すれば、自社ブランドは読者の心に残ることができる。しかし、それは戦いの半分に過ぎない。残りの半分は、確実に魅力的な記憶として残るようにすることである。

 

人々に必要とされる存在になる

危機的な状況は、良い結果をもたらさないことが多い。しかし、多くの良いことを実行するための機会を提供してくれる。

貴重な情報源となるべきだ。それが、新しい営業時間であれ、役立つリソースであれ、顧客が探している新しい情報を提供しよう。現在の市場に合った新しいサービスや商品を提供する。そして、現状では必要性のなくなった製品を単に売り込もうとすることは避けるべきだ。

 

  • 貢献者になる:顧客に人的規模でのサポートを提供する。危機的な状況は、悪い顧客サービスを増幅させる時ではない。それは、危機的な状況下ではなおさら好ましくない。その代わりに、割引や独自の支援方法によって、顧客に明確なサポートを提供することにフォーカスしよう。
  • 共感する:自社ブランドが、顧客のことを気にかけていることを示し、毎日それを証明しなければならない。

 

人々は、危機時において、人間味のあったブランドを覚えているだろう。そして、以前にはなかったブランドへのロイヤルティが育まれるのだ。世界的な危機的状況でも、いつもの水曜日の午後でも、いつでも顧客が必要としているブランドであるべきなのである。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の7/16公開の記事を翻訳・補足したものです。

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