Amazonは、もはやダイレクトレスポンス広告だけではない。マーケティング担当者は、Amazonのディスプレイ広告と検索広告の両方を活用したブランド構築の可能性を検討すべきである。

 

ほとんどの広告主は、初期段階のAmazon広告プラットフォームを、ダイレクトレスポンスにフォーカスすべき広告インベントリの新しいソースの1つとして捉えていた。その主な理由は、通常、ブランドが最初に着手する広告フォーマットがスポンサープロダクト広告(大口セラーがAmazonサイトに広告掲載できるサービス)であるためだ。2019年第4四半期には、Tinuiti(デジタルマーケティングエージェンシー)が管理する平均的な広告主のスポンサープロダクト広告によるコンバージョン率が、桁外れともいえる13%を達成している。このように、Amazon広告が、注文と販売を促進する強力な手段の1つであるということは確実である。

 

ただし、現在では、Amazonの広告主はダイレクトレスポンスの目標だけにフォーカスしているわけではない。マーケティング担当者は、Amazonのディスプレイ広告と検索広告の両方でブランド構築の可能性を検討し、同プラットフォームを最大限に活用するする必要がある。

 

認知と検討フェーズによりフォーカスするAmazon DSP広告主

マーケティング担当者は、Amazon Demand-side Platform(DSP/デマンドサイドプラットフォーム)によってAmazonサイト内外のディスプレイ広告枠をターゲットとすることができる。多数のAmazon DSP広告主のサンプル全体では、認知向上と購入検討フェーズに重点を置いたキャンペーンに割り当てられた支出の割合が、2019年第1四半期の26%から、同年第4四半期には、60%に増加したことがわかった。

 

上記グラフからわかるように、2019年初め、広告主はDSP全支出のほぼ4分の3を購入フェーズを重視したキャンペーンに割り当てていたが、その割合は年末までに40%に減少。購買ファネルのより上位における目標達成にフォーカスしたキャンペーンへの投資意欲の高まりにより、マーケティング担当者は、Amazonプラットフォームへの投資を急速に拡大することになった。第4四半期の広告費は、第3四半期と比較して44%増加し、2019年の四半期ベースでは最大の成長となった。

 

 

また、ブランド認知キャンペーンへの投資は、過去にそのブランドから購入したことがない、または、購入頻度が低い顧客をより多く生み出すというトリクルダウン効果ももたらしている。過去12か月間に、Amazonで商品を販売する特定のブランドから購入したことがない顧客を識別するニュートゥーブランド指標を見ると、ニュートゥーブランド広告によるDSP購入合計が占める割合は、第3四半期の71%から、第4四半期78%に増加している。

 

この増加の一部は、季節的な変化に関連している可能性がある。しかし、ブランドの認知度向上を目的としたキャンペーンへの投資が、より多くの新規顧客に対し、そのブランドからの購入を促進することにつながるというのは論理的に理解できる。

 

他のDSP広告と同様に、広告主は多様な広告フォーマットとサイズを選択して、さまざまなエクスペリエンスを提供できる。通常、購入重視のキャンペーンでは、広告主はAmazonのダイナミックeコマース広告を使用する。一方で、マーケティング担当者は、スタティック(静的な)バナーを使用し、ブランド構築に重点を置いたキャンペーンでのクリエイティブに、ブランドとライフスタイルイメージを挿入できる。

 

Amazon DSP以外では、広告主は、Amazonのスポンサーブランドフォーマット(自社販売商品に関する関連キーワードをAmazon内で検索した際、検索結果の上部に自社アイコンと自社3商品を表示させる事ができる広告フォーマット)を活用し、ブランド認知の構築に成功している。

 

スポンサーブランド広告のニュートゥーブランド・シェア、第4四半期に増加

ニュートゥーブランド指標は、2018年後半に追加提供されたプレースメントと同様にAmazon検索結果の上部に表示されるAmazonスポンサーブランド広告フォーマットでも利用が可能である。Tinuitiの広告主においては、ニュートゥーブランドのスポンサーブランド広告コンバージョン合計が占める割合が、第3四半期の58%から第4四半期には60%に成長した。

 

さらに興味深いのは、冬のホリデーショッピングシーズンのコア期間であるサンクスギビングとクリスマスの間に、ニュートゥーブランドのシェアがどのように変化したかという点である。この約4週間におけるニュートゥーブランドのデイリーのコンバージョン率は平均64%、第4四半期全体では60%だった。

 

 

つまり、ホリデーシーズン中に、顧客は、以前に購入したことのない、および(または)、少なくとも1年以内に購入していないブランドから、より積極的に購入する傾向があるようだ。このことは、失敗が許されないホリデーショッピングシーズンを通じて、予算を割り当てて入札する際に留意すべき重要事項である。

 

前述のように、スポンサーブランド広告は検索結果の上部に表示されるほか、検索結果右側の他プレースメント、デスクトップ結果の下部、モバイル結果全体で断続的に表示される。コンバージョンにおける、検索結果の上部にあるプレースメントが占める割合を見ると、これらのスロットが、2019年第4四半期の全コンバージョンの75%をもたらしている。しかし、さらに印象的なのは、ニュートゥーブランドのコンバージョンの87%を生み出したことである。

 

 

新規顧客にリーチを試みたいブランドは、この事実を認識し、広告がページのどこに表示されるかに細心の注意を払うべきであろう。広告が各ページ上部の競争力のある位置に表示されるように、入札単価を調整する必要があるのだ。

 

結論

かつて、ほとんどの広告主が主にダイレクトレスポンスや購入重視の目標達成のために使用していたAmazon広告は、2019年に飛躍的に進化した。Amazonの検索広告とディスプレイ広告の両方のおけるブランド構築の可能性を活用しながら、これらの施策の予測値を予算と入札計画に組み込んでいけるマーケターは、Amazon広告の効果を最大化できるだろう。そうでなければ、競争で一歩前に出るのは難しいかもしれない。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/6公開の記事を翻訳・補足したものです。