株式会社ZOZOは12日、ヤフー株式会社による株式公開買付け(TOB)に関して、取締役会の決議に基づき、会社として賛同の意見を表明するとともにヤフー株式会社との間で資本業務提携契約を締結することを決定し、代表取締役社長の前澤友作氏はこのタイミングで退任すること、後任には取締役の澤田宏太郎氏が代表取締役社長兼CEOに着任することも発表された。

 

ヤフー株式会社は、Yahoo! JAPANを始めとするメディア事業やYahoo!ショッピングを始めとするコマース事業を通じて、国内最大級のユーザーを有しており、今回の資本業務提携に対して、大きな集客効果が見込めることや、ヤフー株式会社が2019年秋に開設予定の「PayPayモール」における協業シナジーも見込めることなどから、公開買付けへの賛同意見の表明、及び本業務提携の実施が、中長期的な企業価値向上に繋がると判断。

今回の提携により、ヤフー株式会社のユーザー層、ヤフー株式会社経由でのPayPayを利用するユーザーをZOZOTOWNへ誘導することが可能となり、購入者数及び会員数の飛躍的な拡大が期待できるとしている。特にZOZOは、中高年齢者層において高い利用率を有するヤフー株式会社から、ユーザーの誘導を受けることにより、顧客層を広げ、ZOZOTOWN上に決済手段としてのPayPayが導入されることにより、決済面におけるZOZOTOWNユーザーの利便性の向上も期待される。

 

アパレルEC企業は、2013年以降、楽天に買収されてRakuten BRAND AVENUEとなったスタイライフ、NTTドコモ傘下に入ったマガシークなど、大手資本が買収するケースが多い。また、ヤフーはAmazonのAmazon Fashionへの対抗や、EC事業の流通総額の引き上げなど公表されている以外のメリットも大きい。今回の買収でヤフーのEC事業の流通総額は約2兆円となり、Amazonの日本国内の流通総額の約70%、楽天市場の国内EC事業の流通総額の約57%まで迫ることになりそうだ。

 

<参考>

【2018年EC流通総額ランキング】国内15・海外18のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド