人口一人当たりのオンラインストア数が最も多いというオランダ。同国では1,700万人の人口に対してオンラインストアが約8万店舗存在している。つまり人口214人に対しオンラインストア1店舗が存在するということだ。このような密集状態は世界にも類がない。オランダのオンラインストアは、サイト訪問者獲得のために懸命に戦う必要があるのだ。

こうした数字は、オランダのデータ分析会社DataproviderがWebをクロールしヨーロッパ各国のオンラインストアの数を調査した結果である。前述の通り、オランダでは人口214人に対し1つのオンラインストアが存在するのに対し、たとえばイタリアでは、2,000人以上に対し1ストア、イギリスにおいても(オランダに比べて)密度は低く、859人あたりに対し1ストアが存在するのみである。

 

 

このイタリアとイギリスは、Amazonのような巨大なeコマース事業者が積極的に事業を展開している国々である。一方オランダではそれほどでもなく、ドイツAmazon のサイトがオランダ語に翻訳され、eBookのみを販売するオンラインプラットフォームとして存在する程度。「Amazonが、オランダに本格的に進出した場合どうなるかということを想像する必要がある」とDataproviderの共同設立者Christian Branbergen氏は語る。

 

オランダのオンラインストアで実際に活動しているのは1/3のみ

オランダのオンラインストア事業者は、現時点ですでに、サイト訪問者獲得のために厳しい競争を強いられている。現在約8万店舗ほどが存在するオンラインストアのうち、43%がオンラインでの販売活動をほとんどできていない状態であるという。実際、オランダのオンラインストアで高い利益を上げられているのは、3店舗中1店舗のみ。しかし、こうした利益を上げているオンラインストアだけを考慮しても、まだ640人あたり1店舗のストアが存在していることになり、前述のイギリスイタリアのeコマース市場よりも、依然としてオンラインストアの密度は高い。

 

「資金力なくして生き残ることは難しいオンライン業界」

オランダの小規模オンラインストアの将来について、あまり楽観的ではないBranbergen氏。「オンラインで事業を行うには、多額の資金が必要となる」と述べている。AmazonやAlibabaなどの大手eコマース会社が実際にオランダに進出するならば、なおさらだ。「オランダ人が商売上手であることはよく知られている。一方で、オンラインストア経営にはもはやチャンスは少なくなっており、多くのオンラインストアのオーナーは別の事業を検討しなければならないだろう」と続けた。

 

※当記事は英国メディア「E-Commerce News Europe」の8/31公開の記事を翻訳・補足したものです。