株式会社矢沢経済研究所は、2018年度の食品通販市場を調向を調査。参入企業動向、将来展望を明らかにした。「2018年版食品の通信販売市場~拡大する食品通販~」の一部を紹介する。

 

2017年度の国内商品通販市場規模は3兆5,985億円で着地見込み

カタログ通販を含むショッピングサイト、生協、自然派食品宅配、ネットスーパー、コンビニエンスストア宅配、食品メーカーによるダイレクト販売を対象とした、2017年度の国内食品通販市場規模は小売金額ベースで前年度比3.0%増の3兆5,985億円で着地する見込みだ。本来は実際に自分で商品を確かめて購入したいというニーズが高い食品においても、通信販売で購入するというケースが年々定着してきている。

食品通販や通販市場は数少ない成長市場である事から、新規参入企業が後を絶えず、さらに拡大していく見通しだ。また、2017年度の国内食品通販市場をチャネル別にみると、生協(班配+個配)が、構成比39.6%を占め、次にショッピングサイトが同37.2%、食品メーカーダイレクト販売(直販)が同16.5%と続く見込みだ。

 

生鮮品の通販市場を押し上げるミールキット

矢沢経済研究所は、ミールキット(半加工済食材や調味料などの献立セット)の展開が、生鮮品の食品通販市場を押し上げていると分析。有職主婦が増加する中、調理の簡便化・時短ニーズの高まりからか、ミールキットのメディア露出は増加し、2017年のヒット商品としてランクインを果たしている。

この分野で先行するオイシックスはミールキット「Kit Oisix」を展開しており、この定期購入コースを中心に新規会員が予想を上回って増加している。献立を考える手間が省けるだけでなく家事をサボっている感覚を持たないで済むことが多忙な女性に評価されているのだ。

 

<参考>

オイシックスドット大地、らでぃっしゅぼーやとの統合で610億円の売上高を目指す

 

2021年度の国内食品通販市場規模は4兆135億円に達する見込み

今後の食品通販市場について、食品を通信販売で購入するといったユーザーの広がりとともに市場は着実に拡大していき、2018年度以降、大体約2~3%台の伸長率で推移し、2021年度の国内食品通販市場規模は小売金額ベースで4兆135億円になると予測している。

また、チャネル別ではショッピングサイトがこれまで同様約5%台で2018年度以降も成長した場合、2019年には従来構成比率トップの生協を抜き、首位が入れ替わると予測。一方、既に社会問題ともなっている配送面での人手不足とコストの上昇が市場成長のブレーキになるケースが考えられる。同研究所はこの配送面に関する懸念点への決定的な打開策が出てきていない以上、じわじわと成長抑制の流れが他のチャネルにも広がりかねないと結論づけている。

大手ECカンパニーが次々とネットスーパーに着手しているものの、配送に関する問題は依然として問題視されている。食品の取扱いは、各種商品カテゴリーの中でもデリケートなものであり、配送面の問題解決は、食品EC市場の成長と強く結びついていると言えよう。