デザイン性と機能性に優れたプラットフォームでカメラ専門ECサイト「Doppietta-Tokyo」が実現したいこと

 

東京・代々木上原に実店舗を構えるDoppietta-Tokyo(ドッピエッタトーキョー)という店をご存知だろうか。ライカの中古カメラを中心に、カメラの付属品を幅広く扱う店だが、一般的なカメラ専門店と異なるのは、機能だけでなくデザインにもウエイトを置いているということ。今回は、Doppietta-Tokyoが導入するECサイト構築プラットフォームShopifyの協力で、運営者である萩田岬氏に取材を実施。Doppietta-Tokyoの成り立ちやこだわり、今後の展望について話を伺った。

 

※ECサイト構築プラットフォームShopifyについてはこちらから詳細をご確認ください。

 

 

 

海外向けECから、カメラを商材にした国内向けECへ

 

Doppietta-Tokyoは、「いつもの生活を2倍楽しく、恰好良いものにしたい」というコンセプトのもと、ライカの中古カメラを中心に、カメラのレンズやストラップ、革雑貨などを取り扱うほか、カメラやレンズの買い取りも行っている。

萩田樹氏と萩田岬氏の兄弟2人で運営することから、Doppietta-Tokyoの立ち上げ時には「2」に関係する言葉を探したという。そしてイタリアのサッカー用語であるDoppietta(2得点を1人で獲得する)という単語に、海外を意識して日本発信だということが分かる「Tokyo」という単語を加えることで店舗名が生まれた。

Doppietta-Tokyoが一般的なカメラ専門店と異なるのは、カメラの機能だけでなく、デザインも重視しているということだろう。そのため、店では2人が欲しいと感じるデザインや機能にこだわりのある商品のみを取り扱っている。カメラに対して「ファッションの一部として興味を持ってもらいたい」と語り、カメラ初心者の人でも商品を手に取りやすいような雰囲気づくりを心掛けているそうだ。

カメラの販売を始めるまでは、飲食店の経営を行っていたという萩田氏。当時からECの世界へ参入しており、英語圏を対象に、eBayで玩具やアニメ関連の日本ブランドの商品を販売していた。そこで新しい商材を探す中で、日本から海外へ販売するときの取り扱いやすさと仕入れの関係から、カメラを扱うのが最適だと判断。単価が安い商品を大量に売って利益を上げる場合、多くの在庫を抱えなければならず、商品を倉庫へ預ける必要がある。だが、カメラはそれ自体のサイズが小さく、何より単価が高い。商品を倉庫に預けて発送するという方法を取ることは合理的ではないと考えていた萩田氏は、オペレーションが比較的簡単なカメラを商材として選択。取り扱い商品をカメラへとシフトし、ECで商品を仕入れることから事業を開始した。

カメラを本格的に取り扱い始めた当初は、レアなアイテムや高価格な商品は中国などのアジア圏で売れたものの、カメラという商材上、競合他社が多く、価格勝負になりがちなeBayでは競争に勝ち抜くことが難しかった。そこで萩田氏は、自社ECサイトを作ることを決断したという。

 

 

英語に抵抗がなく管理画面が使いやすかったことからShopifyを導入

 

2013~2014年頃、カメラを扱うECと言えば家電量販店が運営するものばかりで、ファッション性に重きを置いたサイトはあまりなかった。そこで、ファッションやデザインに興味のあった萩田氏は、主に海外のアパレル関連のサイトを参考にしていったという。その結果、辿り着いたのがShopifyだった。

2006年にカナダでスタートしたShopifyは、今や60万店舗以上のショップが利用する世界シェアNo.1のECサイト構築プラットフォームで、使いやすい管理画面が特徴だ。オンラインストアの完全カスタマイズから、販売チャンネルの追加、無制限での商品の在庫管理、注文の受注完了、売上と成長のトレンド追跡まで、あらゆるサービスが1つにまとまっている。

萩田氏は、当初はMakeShopEC-CUBEの利用も検討したものの、デザイン性、管理の簡易性、初期費用や維持費の安さを総合して考慮した結果、Shopify導入に至ったのだという。また、英語を使うことに抵抗がなかったことからも、Shopifyを利用するデメリットをあまり考えられなかった。さらに、テンプレートが買い切りであり、デザインのクオリティが高いことも魅力の1つだった。

萩田氏が魅力に感じたように、Shopifyではクリエイターによる100種類以上のテンプレートからデザインを選ぶことができ、Shopify Expertと連携することでゼロからストアのカスタマイズも可能だ。さらに、Shopifyを通して主要な決済システム、運送会社との連携が簡単に実現し、多言語ストアを作成することができることから、越境ECを展開しやすいサービスと言われている。

だが、当時は管理画面が日本語に対応しておらず(現在は日本語対応している)、萩田氏自身が英語を見ながらすべての設定する必要があった。ECの初期設定は英語のサイト向けに設定されており、日本人向けのサイトにするためには設定し直さなければいけない箇所が多々見受けられる状態であったという。

このような中、イチから手探りでサイトを構築。ECサイト構築時には、他社のサイト構築サービスも試しに利用したが、Shopifyの方が管理画面が比較的使いやすかったという。

 

 

 

国内向けの自社ECサイトに集中してクオリティを高める

 

立ち上げ当初は、海外向けと国内向けに自社ECサイトを2つ運営していたが、eBayから自社ECサイトへ顧客を誘導することが難しかったため、国内向けのみに絞った。また、カメラという商材の特性上、どうしても商品の魅力を伝えにくいため、日本向けのモールでの出店も行わない方針に決めた。

取り扱う商品の種類も、キヤノンやオリンパスといった国産のカメラからライカを中心とした海外ブランドへと転換。国産の中古品は国内で多く出回っており、同じ中古品でも状態が良いモノが多いため、他社と差別化しにくくそのような選択を行ったのだ。

Doppietta-Tokyoでは、徐々に取り扱うカメラの単価を上げ、現在はレンジファインダーカメラで有名なライカを中心に取り扱いを行っている。ライカは100年以上の歴史を持ち、フィルムカメラを作り出したと言われるライカカメラ社の製品だ。価格帯も一般的なカメラよりも高めに設定されており、その圧倒的な品質の良さから特別感のあるメーカーだと言える。

さらに、ライカ専門のリペアマンと業務提携するだけでなく、ライカ製品の買取も行っており、自社ECサイトとは別にサイトも設けている。

「実はプライベートでカメラに熱を注いでいるから商材にしたわけではないんです」と語る萩田氏は、真の写真好きと自分たちの感覚がずれているところを意識した。そこで、今までカメラに興味があったがまだ手に入れていないという人や、デザイン性のあるものが好きだという人をターゲットに、気軽にカメラを購入できる店舗づくりを目指した。また、自社サイト内のブログでは、自身が撮った日常風景をアップし、カメラの機能的な良さや特徴を紹介しながら、カメラのデザイン性にも焦点を当てている。そこには、カメラマニアでない人も気軽に手に取れるように、という萩田さんの運営方針が感じられる。

 

 

ファッション性を意識した店舗運営

 

実店舗運営のために最初に選んだのは、池尻大橋にあるレインボー倉庫だった。古いマンションをワンフロアリノベーションした空間で、スタートアップでも借りやすい価格設定のスペース。2015年12月から約半年間は、そこをシェアオフィスという形で運営した。その後、2016年9月には店を閉め、Webショップのみの運営を経て現在のオフィス兼店舗がある代々木上原へ。駅からほど近いビルの一室を借り、細部にまでこだわってリフォームを行った。

 

もともとカーペットが敷かれていた床は木目に変更し、設置するインテリアにも木材を使用。テーブルと椅子は、世界で最も美しい木の家具を作ると言われているイタリアのポラダ社の製品に決めた。床の古材やモルタルのカウンターは、レインボー倉庫の頃からお世話になっていたT-Plasterさんに依頼し、ライカの世界観に合ったビンテージ感漂う空間が生まれた。

 

 

デザイン性を意識しながら、取り扱い商品と実店舗のさらなる拡大を目指す

 

現在は、ECサイト2店舗と実店舗を運営しているが、ネットで商品や店舗の存在を知った人が実際に店へ足を運ぶのだという。取り扱っているカメラが決して安いモノでないだけに、実際に手に取って商品を見たいという声が多いのだ。

店頭では、気になるレンズを気軽に試してみることも可能だ。また、カメラやレンズの他にも、カメラストラップや革小物も置いている。とりわけ革小物は、どこにでもあるようなモノを取り扱っているわけではない。職人によるこだわりの品をセレクトして置いており、過去にはアパレル関連の展示会もDoppietta-Tokyoの店舗内で行った。ゆくゆくは、色々なショップの商品を販売委託という形で置いていきたいという。

萩田氏は海外向けの販売に対して前向きな意向を示しているものの、基本的には日本での販売を行っていくという。取り扱い品目は増やす予定で、ヴィンテージの時計を想定している。基本的には、カメラのショップとは別で新たにサイトを開設し、一部商品は既存のECサイトでも紹介する可能性があるのだという。

さらに、時計だけでなく雑貨の取り扱いも増やしていきたいという萩田氏。すでに取り扱っているカメラストラップの仕入れ先の人とのコネクションを通じて、革製品だけでなくさまざまな雑貨商品を仕入れていく予定だ。

萩田兄弟は「カメラをファッショナブルに楽しむ」をコンセプトに、今後さらなる商品展開をECでも実店舗でも構想していく。

 

 

※ECサイト構築プラットフォームShopifyについてはこちらから詳細をご確認ください。