ヤマトホールディングス(以下、ヤマト)は2017年9月28日、2019年の創業100周年に向けた中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を策定した。

その中でヤマトは、働き方改革を中心とし、「デリバリー事業の構造改革」「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの構造改革を行っていくとしている。

 

働き方改革

グループ全体でフルタイマー超勤時間の50%削減、パートタイマーの超勤時間を大幅抑制を初めとしてライフステージに応じて労働時間・休日・給与体系を選択できる制度の構築や短時間社員がステップアップできる制度の構築を行う。多様な働き方ができるような制度へと改革を行っていく。ヤマトは働き方改革を最優先事項として設定しておりその上で3つの改革を行っていくとしている。

 

デリバリー事業

デリバリー事業に関しては従来の宅急便の「多機能型ドライバーネットワーク」に加え、投函商品や特にニーズが高い夜間の配達を専門に行う「配達特化型ドライバーネットワーク」、また大口顧客の商材や大型の荷物を専門に扱う「域内ネットワーク」など、パートナーを含めた分業型・複合型ネットワー クの整備を進め、伸張が続く荷物の増量に対応。また、PUDOやコンビニエンスストア受取など、受取のタッチポイントを拡充する。同時にクロネコメンバーズの機能拡充を進めることで自宅外での受取比率10%を目指すという。

 

収益・事業構造改革

収益・事業構造改革は、現在稼働中の羽田クロノゲート、厚木・中部・関西の各ゲートウェイや沖縄国際物流ハブ、サザンゲートなど主要基幹ターミナルとアジアを中心に拡がるクロスボーダーネットワークを結び付け、スピード輸送ネットワークに付加価値機能を加える「バリュー・ネットワーキング」構想を更に進化させるものだ。

 

グループ経営構造改革

具体的な施策は発表されていないものの、下記の5つの改革を行い、経営システムの刷新を行うとしている。

  • 「機能性組織」から「顧客制組織」へ
  • 「個別最適」から「全体最適」へ
  • 「縦割の組織別収支管理」から「アカウントマネジメント」へ
  • 「機能別投資」から「R&D“+D”による先取りの投資」へ
  • 「自前主義」から「オープン主義」へ

グループの総合力を発揮し「稼ぐ力」を高めるため、今後、組織構造を改革し、アカウントマネジメント・管理会計・人事の三位一体の経営システムとしていくようだ。

 

 

2019年の創立100周年に向けて新たな経営計画を発表したヤマト。この計画の最終年度となる2019年度には、連結営業収益1兆6,700億円、連結営業利益720億円(連結営業利益率4.3%)を目指すようだ。

3月のいわゆるヤマト問題から、現場の逼迫した労働環境や、悪化している収益性が明るみに出てきたが、この中期経営計画でどこまでグループ全体の収益力、事業の構造改革が進むのか注目していきたい。