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物流・決済・業務
2017/03/09

【米国】Amazon、Walmart社のEC販売第4四半期決算をうけ無料配送最低購入価格引き下げへ

米大手EC企業Amazonは、送料無料の最低購入価格を35ドルに引き下げることを発表した。約3週間前に開始された米大手のスーパーマーケットチェーンWalmart2日間送料無料サービスというEC戦略に、Amazonも追随する形。

 

Amazon社が無料配送の最低購入価格を49ドルに引き上げて1年前以来、今回の引き下げは利用者にとってより魅力的なAmazon Primeサービスとなったことに違いない。AmazonがWalmartを意識しているのは、Amazon Primeサービスの一部のPrime Pantryの存在が大きい。Prime Pantryは他の大型小売店や食料品店、コンビニエンスストアなどのオンラインストアと競合している日用品や雑貨、食料品などを取り扱うコーナーだ。

このAmazon社の動きは、Walmart社が2016年度のオンライン取引の低迷を受けて行った送料の大幅削減に対抗するものと言っていいだろう。

「WalmartとAmazonの両者は接戦を演じている。Amazonもこの戦いを意識しており、これは良い事だ」と話すのは米国MコマースプロバイダーUnbound Commerce社の事業開発担当副社長Wilson Kerr氏。

「WalmartはAmazonとは異なり、“ショールーム”として機能する5,000もの実店舗を持っている。従って、オンラインで注文された商品の配達にAmazonだと数日かかるのに対し、Walmartは数時間で出荷できる。サプライヤーとの関係を利用して、価格面でAmazonに対抗できるのだ。一方Amazonは、アメリカの郵便公社USPSや配送業者のFedExで設定した基準より料金を引き下げることで得た利益で、2日間送料無料を実現した」と話す。

 

Amazon Walmart

小売大手2社はこの1年間ほぼ互角の戦いをしてきた。これは2016年EC市場でのWalmart社の予想以上の成功が、Amazonの最も収益性の高い部門の一部に深刻な打撃を与えたことを示している。

第4四半期の売上高全体の成長はわずか1%にすぎないにもかかわらず、同期のWalmartの財務報告書は(Amazon社との)競争激化を示唆。WalmartのEC販売の成長率は、米国内の売上とGMV(総流通総額)でそれぞれ29%と36%増加した。この値には、2016年にWalmartが買収したECスタートアップJet.comとオンライン食料品店を含む。

 

ECを舞台に一様な動きを展開し、戦う構えを見せる両社

Walmart社はオンライン食料品販売のインフラを開発(中国でもモバイル食料品注文販売を拡大)する一方、Amazonも生活必需品のAmazonFreshとPrime Pantryのプラットフォームを同時に拡張。配送料を気前よく初期から無料にする仕組みを提供してきている。(参考記事

Walmart社の分岐点は、2016年8月にEC企業Jet.com(ECインフラとデジタルに精通した経営幹部含む)を33億ドルで買収したときだった。Jet.comの創設者でありCEOとして注目を集めていたMarc Lore氏は、新しくWalmart eCommerce U.S.のCEOに就任。Amazon Primeに対抗したサービスとして展開していた同社の会員制無料配送サービスShippingPassを廃止し、無料配送の最低購入価格を50ドルから35ドルに引き下げた。更にAmazonで直接販売されている一連の生活必需品を、送料無料で提供することを可能にしている。(参考記事

 

「Walmartはオンライン販売でさらに飛躍する可能性を秘めている。小売業者のオンライン販売は平均8~10%に対し、同社のオンライン販売は総売り上げの3%にすぎない」と話すのは米国小売コンサルティングBRP社のマーケティング担当副社長David Naumann氏。

「オンライン分野ですべきことはまだ多くあると認識しているWalmart社は、システムと商品供給を強化するための多額の投資を行っている。2016年にはデジタルで約9億ドルを費やし、今年はさらに11億ドルをECに投資する計画。ごく最近では、オンライン製品の拡充のため、米アウトドア用品販売会社Moosejawを5,100万ドルで買収している」。

 

ECの巨人

Amazonの価格引き下げがWalmartの企業戦略の結果であろうと、今月初めのWalmartの価格引き下げへの直接的な反応であろうと、Amazon社の配送サービスはまだ技術的に劣っている。Prime非会員の送料無料配送は5~8営業日かかるが、Walmartは2日間。しかし恐らくこれは、Prime会員へのサービスを最優先しているAmazon社の画策であろう。

「本当に長い間、Amazonは高い市場占有率によって甘い汁を吸ってきた」とKerr氏。「Walmartは信頼できる名前であり、オンライン販売の初心者ではないことを忘れないでほしい」と言う。

「2013年には既にシリコンバレーの中心にWalmart Labsを設立しており、以来彼らは“グローバルにeコマースを再定義する”というスローガンを掲げ、その技術と技法を獲得してきた」

「WalmartのAmazonへの反撃は、他の大型小売業者のモデルとなり、その結果、オンラインショッピングの選択肢が増え、価格が下がる可能性が出てくる」と語る。

 

※当記事は米国メディア「Mobile Commerce Daily」の2/24公開の記事を翻訳・補足したものです。

 

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