オンライン小売業者にとって年間売上の大半を占めるサイバーマンデー(11月第4木曜日の次の月曜日)は、スーパーサタデー(クリスマス前最後の土曜日)、ブラックフライデー(11月第4木曜日の次の金曜日)に次ぎ、3番目にホリデーショッピングの売上が多い日。小売業者がこの重要な1日に力を注ぐのは当然のことながら、近年ではサイバーマンデー当日だけのセールでは顧客を惹きつけることができなくなっているのが現状だ。多くの業者は前倒しでオンラインセールを始め、それは数日間続く。

 

<参考>

【米国】Wal-Mart、サイバーマンデー・セールを前倒しで開始 - ブラックフライデーよりオンライン特別セールを開始

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Amazonを含む、オンラインのみでの取引を行う小売業者は、実店舗で取引する小売業者たちが驚異的な売上を上げるブラックフライデーに対抗し、先行してサイバーマンデーセールを始める傾向。景気も後押しし、消費者も今年はもう少しショッピングにお金を費やそうという考えだ。

NRF(全米小売連盟)や経済データ分析を行うProsper Insights & Analytics社に拠ると、サイバーマンデー前の週末、感謝祭後のブラックフライデーから始まる先週末にホリデーショッピングをしようと考えた人は1億3,740万人であったと見積もられており、2015年の1億3,580万人から増加している。

実際に先週末に実店舗またはオンラインショップで買い物をした消費者数は、見積もりを上回る1億5,400万人となったが、現時点売上額は例年より下回っている。アメリカの消費者の多くはサイバーマンデーやそれ以降のセールでどんなお得な情報が出てくるのかを見定めるため、それまでの時期をウィンドーショッピングすることでやり過ごしたようだ。

 

お買い得品

サイバーマンデーでお買い得になるものと言えば、ビデオゲームやテレビ、ノートパソコンや携帯電話など。AmazonはフラットテレビやPCモニターをスペシャル価格で売り出し、アメリカ現地時間正午にはなんとすでに売り切れ。キャンセル待ちも一杯に。その他の商品の売上も好調であった。

マーケティング会社Clarus Commerce社CEOのTom Caporaso氏は言う。「サイバーマンデーでは通常ハイテク製品や衣料品、美容アイテムが目玉商品。例えばFreeShipping.com社と提携している企業の中で言えば、全米最大手の家電量販店Best BuyでサムソンのギャラクシーS7またはS7エッジを購入すると250ドルのベストバイ商品券とサムソンギアVRが無料でついてくるという商品を売り出しており、大手衣料品店Old Navyではストア全体で50パーセントオフのセールを行っている。ほとんどの小売業者は、このサイバーマンデーに便乗し何かしらのセールを行うので、賢い消費者であればこの期間を狙ってあらゆる商品をお得に手に入れるのだ。」

 

ブラックフライデーやサイバーマンデーを越えて

実際サイバーマンデーセールは11/24・25あたりに始まっており、ほとんどの小売業者は12/3・4頃までセールを続けるだろうとNRFは見ている。社の副社長、Greg Sterling氏は、「ブラックフライデーから始まる個別のショッピングデーは“サイバーウィークセール”という大きなひとつの期間にまとまっていくだろう。サイバーマンデーと言う言葉は使われているものの、実際には先週からすでにほとんどのセールは始まっている。」と話す。

また消費アナリストのAndrea Woroch氏は、「多くの小売業者は年間を通してセールを行うことで顧客を取込み、ホリデーシーズンの売上の加速を狙っている。ブラックフライデーセールも実際のところは感謝祭より前から始め、顧客を呼び込むショッピングシーズンを長く続かせたいと考えている」と分析する。

 

サイバーウィーク

2005年にNRFのEllen Davis氏によって提唱された「サイバーマンデー」という名称はすでに「サイバーウィーク」という概念に変化している。しかし、更なるお得なショッピングをしようと考える消費者はそれ以降もセール情報から目を離さない。

「12月16日の送料無料デーなどのショッピングイベントでは、何千もの販売店が最低購入価格の制限なしにクリスマスイブまでの配送を無料サービスしている。」とWoroch氏。

年末にはこういった多くのセールが行われるため、早まってホリデーショッピングをしてしまった消費者は後悔することも。「余りにも多くのセールが開催されており、消費者はいつどこでどのように買い物するかを見定めなければならず、お買い得だと思って購入した次の日にもっとお得な情報が出てくる可能性もある」ようだ。

 

サイバーマンデーの未来

小売業者は、例年拡大しているホリデーショッピングに加え、感謝祭が早かったことやオンラインショップの利用者の増加が著しい2016年は、売上の大幅な増加を期待している。

Clarus Commerce社のCaporaso氏は、「今年のサイバーマンデーセールの結果はインターネット取引が今後小売業界の主流になるという予測を証明することになるだろう。この日は、全米過去最高、10パーセント成長の33億ドルの売上となると考えられている。」と言う。

そして、スマートフォンの普及率が上がるに従い、モバイル端末からの購入も増える傾向にも注目だ。「2015年にスマートフォンなどのモバイル端末からの購入は前年から53パーセント増加していたものの、オンラインショッピングの売上全体からみると4分の1に過ぎなかった。携帯端末などからの買い物が消費者にとっていかに便利であるかを示せれば、今年その数字が飛躍的に増加するだろう。もしまだモバイル用ショッピングサイトに力を入れていない小売業者があるならば、彼らは直ちにその強化に取り組むべきだ。」とCaporaso氏は加える。

 

 

※当記事は米国メディア「Ecomerce Times」の11/28公開の記事を翻訳・補足したものです。