メールオートメーションの賢い導入方法を紹介しよう。トランザクションメール、トリガーメール、ジャーニーメールを使って、エンゲージメントとコンバージョンを高めよう。

 

私たちメールマーケティング担当者は、より簡単に仕事をこなす方法を常に模索している。しかし、慢性的な人員不足と資金不足のため、品質に手を抜きたくないが、少ないリソースで多くのことをこなす方法を学ばなければならない。

 

マーケティングオートメーションは、顧客が目標を達成したり、トリガーやインテンションポイントに到達したりしたときにメールを送信できるように、予測可能な行動に焦点を当てた定期的なメールを送信する方法を提供する。これは、すべてのメールマーケティングプログラムの重要な部分でなければならない。

 

私は、トリガーメール、トランザクションメール、ジャーニーメールなどの自動化されたメールからメール収入の少なくとも50%を得ている大手小売業者と仕事をしている。なぜなら、これらのメールは関連性が高いからだ。それは、顧客のアクションに関連付けられ、コンバージョンにつながる価値を提供してくれる。

 

メールマーケティング担当者として、私たちはマーケティングオートメーションが正しい方法で行われているかどうかを継続的に見直す必要がある。そこで、このガイドをベストプラクティスに従っているかどうかをチェックする便利な方法としてまとめた。

これは、マーケティングオートメーションの完全ガイドではない。マーケティングオートメーションが会社にとって何を意味するのか、そして、より良いマーケティングオートメーションを行い、必要な結果を得るためには何を考える必要があるのか、そのチートシート(要点をまとめた早見表)として使ってほしい。

 

マーケティングオートメーションの3つのカテゴリー: トランザクションメール、トリガーメール、ジャーニーメール

メールマーケティング担当者は、本来の意味を失ってしまった用語や、状況によって異なる意味を持つ用語を見事に使い分けていることを認めよう。以下は、私が考える3種類の自動メールの定義だ。

 

1. トランザクションメール

これは、注文確認や支払い領収書など、取引(つまり価値の交換)を示すものである。金銭的なものであったり、契約的なものであったりする。サービスに対する支払いやその受領といった約束の交換だけでなく、約束の履行を意味する。

 

eコマースでよく使われる2つのトランザクションメールである、注文確認メールと発送確認メールを考えてみよう。注文確認は電子領収書のようなもので、発送確認は購入した商品が発送されることを確認するものだ。

 

トランザクションメールとは何かを定義する際に、このアーキタイプを整理しておくと、分類や合法性を確認することができる。

 

たとえば、米国の商用メールに関する法規制(CAN-SPAM)では、トランザクションメールはプロモーションメールのようなオプトアウトリンクを必要としない。取引プロセスの必要な部分であるため、eメールに関する規制から除外されているのだ。

 

ここでは、7つの一般的なトランザクションメールの例を挙げ、契約関係や取引における企業の役割をどのように確認しているかを見てみよう。

 

  • ウェルカムメール(その通り、購読の確認をするものだ)
  • 注文確認
  • 出荷の確認または遅延
  • 在庫切れのお知らせ
  • クレジットカードの利用拒否
  • 保証書の送付
  • 保証またはその他の購入保護に関する情報
  • 購入商品のリコール通知

 

これらの戦略的ポイントを念頭に置きながら、トランザクションメールを作成しよう。

 

eメールのデザインに気を配る

追加するパーソナライズされた情報が明確かつ簡潔で、論理的に構成されるようにデザインしよう。コンテンツを邪魔することなくブランドを反映させ、注文や出荷条件などの重要な情報を受信者が見て理解できるように配信する必要がある。

 

また、大量注文にも対応できるデザインでなければならない。オンラインで大量の注文をする人のための確認メールのデザインについて、十分には考慮されていない。1ダース以上の商品を購入すると、テンプレートが壊れたり、シンプルに見栄えが悪くなったりする。

たとえば、私はAmazonで一度に1つか2つのものを注文することがある。インテリア・デザイナーである私の姉は、仕事のために40点以上の商品を注文する。40点購入する場合にも、1~2点購入する場合と同じように、デザインが美しくなければならない。

 

クロスセルやアップセルを忘れずに

トランザクションメールにクロスセルやアップセルモジュールを組み込むことで、さらに収益を上げることができる。居住国の電子メール法規制が許可している場合、トランザクションメールは収益化することができる。関連する購入商品や、買い手が次に欲しがるであろう商品を提案することができる。顧客はすでに買いたい気分になっているため、このような提案は収益の増加には欠かせない。

 

トランザクションメールは迅速に配信しよう

トランザクションメールは、コンバージョン後30秒から5分以内に配信しよう。なぜなら、顧客はウェブ上でクレジットカード番号を入力したばかりであり、eコマース詐欺が話題となっている昨今、当然のことながら猜疑心を抱いているからだ。迅速な配信を怠ると、カスタマーサービスへの問い合わせが急増するだろう。

 

2. トリガーメール

私は、トリガーメールとは顧客のアクションに基づいて自動的に配信される1~2通のメールのことだと考えている。私にとってトリガーメールとは、顧客が何かをしてくれた時に送る、短いエンゲージメントメールのことだ。シリーズ化や大掛かりなオーケストレーションは必要ない。メールを1、2通送るだけでいいのだ。

 

私の定義は、メールの慣習から逸脱しているかもしれない。以前は、eメールのトリガーとは、お金のかからないマーケティングオートメーションのことだと考えていた。しかし、より多くのデータや情報、より優れたテクノロジー、より高度な技術の普及に伴い、私たちはそれを再考する必要がある。

以下は、私が定義するトリガーメールの6つの一般的な例である。

 

  • 閲覧・カート放棄メール
  • ウェルカム/オンボーディングメールシリーズ
  • 購入後のアップセル・クロスセルメッセージ
  • レビュー依頼
  • 満足度調査

 

これらのメールは、それぞれ1回または2回の配信で終わるものである。コンバージョンに近いため、3通のカート放棄メールシリーズをテストすることを検討するのも良いだろう。しかし、いずれにせよ、これらは短いエンゲージメント自動メールである。

 

さて、なぜウェルカムメールはトランザクションメールであるのに、オンボーディングメールはそうではないのか不思議に思うかもしれない。よくぞ聞いてくれた!というのも、オンボーディングは、ブランド、製品、サービスのある側面について、あなたを教育するものだからだ。ウェルカムメールは、要するに、あなたの購読を確認するものなのだ。

 

これらの戦略的ポイントを念頭に置きながら、トリガーメールを作成してみよう。

 

エバーグリーン(常に内容が新鮮)であること

何度も変更や更新を繰り返す必要はなく、あなたが望む目的や顧客の行動に特化したものでなければならない。

 

メールを受信すべき人を考慮する

トリガーメールを作成する際には、メッセージを受信すべき人とそうでない人を必ず考慮しよう。多くのマーケティング担当者は、トリガーメールにできるだけ多くの人を含めようとして、誰を除外すべきかを考えないという間違いを犯してしまう。

たとえば、ある商品を閲覧した顧客が、一旦サイトを離脱したとする。後日その顧客が戻ってきて、その商品をカートに入れ、またサイトを離れる。閲覧リマインダーを送るか、カート放棄の通知を送るか、両方送るか、あるいはどちらも送らないべきだろうか?

答えは、「カート放棄メールのみを送信する」、である。なぜか?カート放棄は購買意図に近いからだ。

全てのトリガーは、「includes(メールを受け取るべき人)」と「excludes(メールを受け取るべきでない人)」のロジックが必要である。

視野を広げ、自動化されたメッセージをエコシステムとしてとらえ、すべてを検討しなければならない。どの自動配信メールにも、商品やユーザーによって異なるルールがある。しかし、最も重要なことは、「含める人」と「除外する人」のリストなのだ。

 

メッセージには専門家のタイミングが必要

多くの顧客が受信トレイにアクセスして、メッセージに関心を示すタイミングについてテストしよう。

 

3. ジャーニーメール

ジャーニーメールとは、顧客をマイクロまたはマクロのコンバージョンに導くための一連の情報を提供する、3通以上のメールのことである。

ジャーニーメールはそれぞれ特定の機能を持つが、関連性のないメールの羅列ではない。それは、複数のメールにまたがる会話を作り出すものである。あるメールは異なる内容で別のメールを構築していくが、すべてのメールは顧客を次のステップに進めることにフォーカスしている。

それぞれのジャーニーメールは、行動やクリック、購入などの有無によって枝分かれし、複雑になっていく。しかし、メッセージが単一で直線的となるトランザクションメールやトリガーメールとは異なり、ジャーニーメールは一般的により複雑で動的である。

B2Bマーケターがよく使うジャーニーメールは、オンボーディングプログラムと購入後の教育メールだ。

ジャーニーメールはB2Bでは一般的だが、B2Cのメールマーケティングにおいても、購入目的によっては有効である。B2Cのジャーニーメールはよりシンプルで、クリックやセグメント、過去の行動を基にした動的なコンテンツモジュールに基づくものとなるだろう。

そのような高度なレベルのものがジャーニーメールとなる。直線的で、あまり高度でないシリーズは、ジャーニーメールではなく、トリガーメールである。

トリガーメールはターゲティングが優れているが、ジャーニーメールはターゲティング、そしてメッセージ、タイミング、アプローチが優れている。

 

購入後のコミュニケーションがどの程度高度なものなのか、メールプログラムをチェックしてみよう。もしジャーニーのレベルが低ければ、そこに焦点を当てよう(メール監査については次のセクションで詳しく説明する)。

 

これらのカテゴリー間のバランスを見て、メッセージがカスタマーエクスペリエンスとブランドとのカスタマージャーニーをカバーしているかどうかを確認しよう。

ジャーニーメールを作成するときは、次の戦略的なポイントに留意してほしい。

 

なぜ顧客はあなたのメールを気にしなければならないのか?

顧客がメールに関心を持つ理由を理解し、説明しよう。顧客が購入する前に聞くべきストーリーがあると思っているかもしれないが、必ずしもそうではない。

 

ストーリーボードを作る

顧客の動機について知っていることを利用して、ストーリーボードを作成しよう。ストーリーボードには、顧客セグメントの形、含める人と含めない人(上記のトリガーメールを参照)、顧客が新しい購入体験へ移行するまでの過程における決定ポイントなどを盛り込もう。

 

マーケティングオートメーションは「設定して終わり」ではない理由

自動化されたメールの利点について人々が言ったことを取り消すことができるとしたら、それは「設定すれば終わり」ということだろう。

自動配信メールを「設定すれば終わり」といったことはありえない。自動配信メールを設定し、その効果をテストするのだ。テストに基づいて最適化し、そしてまたテストし、最適化する。そして、必要な結果が得られているかどうか、自動配信をチェックし続けるのだ。

 

次の戦略的なポイントを念頭に置いて、自動配信メールのテストを行ってほしい。

 

テストの計画を立てる

新しい自動配信メールやシリーズを作成する際には、ワークフローの一部としてテスト計画を立てる必要がある。この計画では、何をどのようなスケジュールでテストするかを定義しよう。

 

自動配信メールでは、デザインからタイミング、コンテンツ、送信順序、送信頻度まで、さまざまなことをテストすることができる。

 

定期的な改善のためのイテレーション(反復)に注意を払う

単体の自動配信メールに2通目のメールを追加できないだろうか?一連のシリーズに何を追加できるだろうか?他にどのような改善が可能だろうか?

 

メールのプロセスをよりスムーズにする方法を探そう。テストスケジュールを見直し、メールの最適化に活かせるような結果を出そう。

 

すべてのマーケティングオートメーションを監査する

私は、店舗、カタログ、eコマースを展開する巨大小売企業で一緒にeメールの仕事をしていたとき、友人であり同僚でもあるAndrew Kordek氏からこのことに関する素晴らしい教訓を学んだ。

 

Andrewは3か月から6か月ごとにマーケティングオートメーションの棚卸しを行っていた。彼はすべてのメールキャンペーンの統計情報をレポートにまとめてくれた。私はそのレポートを見て、自分の改善点やクリエイティブがどうなっているかを確認するのが大好きだった。どのようなミーティングに出席しても、パフォーマンス、収益、オーディエンスなどについて報告する準備ができた。私たちはこれらのレポートをバインダーに入れて保管し、定期的にチェックしていた。

 

我々の例にならって、パフォーマンスを追跡し、クリエイティブがまだブランドに沿っているかをチェックすることができる。この作業は1回きりで終わらせるのではなく、定期的なチームタスクとして設定し、チームレビューセッションの時間を確保しよう。

マーケティングオートメーション:eメール成功へのチートシート

マーケティングオートメーションは究極の「金のなる木」だ。一度プログラムを立ち上げれば、レポートを見て、前日からどれだけ儲かったかを知ることほど楽しいことはない。半年前に行った仕事が今どのように成果を上げているかを見るのは、この仕事で最もやりがいのあることだ。

 

自動化されたプログラムを設定すればするほど、収入は増える。しかし、ただ自動化されたeメールでそのゾーンを埋め尽くすだけではいけない。最良のマーケティングオートメーションは、戦略的ニーズを満たすために賢く計画されたものだ。そして、開発、テスト、最適化、監査、改善のための時間を定期的に確保する必要がある。

 

少しずつ革新していくことが功を奏する。小さなことから始め、それをより良いものにしていくのだ。ローンチする前にすべてのジャーニーを完璧にする必要はないが、改善する方法を探すこと。そして、改善策は必ず見つかるはずだ。

 

最後のアドバイスだ。オートメーションの改善が終わったと思っても、まだ終わっていない。でも、それはいいことである!なぜなら、あなたが目にする進歩やお金にわくわくするからだ。

 

あなたが成功するために努力した結果、プログラムが成長するのを見るのは、メールマーケティング担当者の仕事の中で最も満足できることのひとつかもしれない。それを味わってみよう!そして、また一つ改善点を探していこう。

 

※当記事は米国メディア「Martech」の10/16公開の記事を翻訳・補足したものです。