経済産業省は、「令和3年度デジタル取引環境整備事業」を実施し、日本の電子商取引市場の実態等について調査した。
調査結果
令和3年の日本国内のBtoC-EC、消費者向け電子商取引市場規模は、20.7兆円と前年の19.3兆円に比べると7.35%増加した。また、令和2年の日本国内のBtoB-EC、企業間電子商取引市場規模は372.7兆円で、前年の334.9兆円と比較すると11.3%増だった。
なお、令和元年における日本国内BtoC-EC市場規模は19.4兆円、日本国内BtoB-EC市場規模は350.0兆円であったところを踏まえると、令和3年における日本国内のBtoC-EC及びBtoB-EC市場規模は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が拡大する前の令和元年における市場規模を超したと考えられる。
分野別にみたBtoC-EC市場規模(物販系分野)
物販系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「食品、飲料、酒類」が2兆5,199億円、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」が2兆4,584億円、「衣類・服装雑貨等」が2兆4,279億円、「生活雑貨、家具、インテリア」が2兆2,752億円と割合が大きく、これらの上位4カテゴリー合計が2兆円を突破し、物販系分野の73%を占めている。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、令和2年には物販系分野のBtoC-EC市場規模の大幅な拡大が見られた。また、令和3年は消費者の間で徐々に外出機会が回復したにも関わらず、物販系分野のBtoC-EC市場規模が引き続き増加しており、ECの利用が消費者の間で徐々に定着しつつあることが分かる。令和3年における物販系分野のBtoC-EC市場規模は、令和2年に比べると伸びが鈍化しているが、日本国内での個人消費における物品購入が概ね横ばいで推移していることを鑑みると、物販系分野のBtoC-EC市場規模の成長率は高いと評価できる。
分野別にみたBtoC-EC市場規模(サービス系分野)
サービス系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「旅行サービス」が1兆4,003億円と大きな割合を占めているが、2019年と比較すると半分以上市場規模が縮小している。令和2年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「旅行サービス」以外にも、「飲食サービス」、「チケット販売」の市場規模が前年比で大きく縮小した。その一方で、令和3年は「チケット販売」の市場規模が大きく回復した。
分野別にみたBtoC-EC市場規模(デジタル系分野)
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「オンラインゲーム」の1兆6,127億円が大きな割合を占めている。また、デジタル分野においては、新型コロナウイルス感染症拡大による巣ごもり需要が高まった影響で、2019年と比較すると伸び続けている。
まとめ
サービス分野、特に旅行や飲食はコロナによる大きな打撃を受けており、現在コロナ以前の状態には戻っていない。その一方、コロナ渦で外出を控えたことで、自宅での生活を充実させようと、動画配信・オンラインゲームなどのデジタル系は2019年に比べ市場規模が大きく拡大したことが分かった。