ヨーロッパのオンライン小売業者が、できるだけ多くの顧客に利用してもらうためには、あらゆる種類の決済方法を提供する必要がある。しかし、国ごとにそれぞれ好みがある。2021年のヨーロッパで好まれる決済方法をみてみよう。
ヨーロッパでは、非常に多くのオンライン決済方法が利用されている。ヨーロッパ大陸で事業を展開するからといって、オンライン小売業者がこれらすべてを提供する必要はない。ただし、決済ページを注文商品の配送先の国に合わせておくことをお勧めする。
Payvision(オランダの決済ソリューションプロバイダー)の調査によると、ヨーロッパでは、オンラインショッピングの決済方法として「デジタルウォレット」が好まれており、消費者の44%がこれを利用すると回答している。「カード払い」は42%と僅差で2位につけており、これに「PayPal」(32%)が続く。
2021年のヨーロッパで好まれる決済方法
オンラインで買い物をする際にヨーロッパで選択される決済方法は以下の通り:
1 | デジタルウォレット | 44% |
2 | カード | 42% |
3 | PayPal | 32% |
4 | 現地の決済方法 | 11% |
5 | 代金引換 | 11% |
6 | Apple Pay/Google Pay/Samsung Pay | 3% |
また、Payvisionは、各国で好まれる決済方法の一覧も公開している。同社のウェブサイトでは、eコマース企業が特定の国の顧客にどの決済方法を提供するかを決定するのに役立つツールも提供されている。
英国
1 | VisaとMastercard | 50% |
2 | デジタルウォレット | 44% |
3 | 英国国内銀行のカード | 27% |
4 | ダイレクトデビット | 19% |
5 | 銀行振込 | 8% |
調査によると、英国のオンラインショッピング利用者は、1人あたり平均2〜3枚のクレジットカードとデビットカードを使用するという。その中で、VisaとMastercardは根強い人気がある。
オランダ
1 | iDEAL | 83% |
2 | デジタルウォレット | 28% |
3 | VisaとMastercard | 16% |
4 | バーチャルカードと電子マネー | 14% |
5 | 銀行振込 | 13% |
「iDEAL」は、オランダの全銀行が加入し、オランダでのすべてのeコマース取引の60%以上を処理するのに利用されている銀行振込システムだ。つまり、基本的には、「iDEAL」決済を提供しなければ、オランダではオンライン小売業者としてビジネスを行うことは非常に難しい。
ドイツ
1 | デジタルウォレット | 53% |
2 | 請求書払い | 42% |
3 | 銀行振込 | 29% |
4 | ダイレクトデビット | 21% |
5 | ドイツ国内銀行のカード | 19% |
6 | バウチャーやギフトカード | 17% |
7 | Klarna(スウェーデン初の後払いシステム) | 17% |
Payvisionによると、「Amazon Pay」(Amazonのアカウントに登録されている情報を利用して支払いができるサービス)は、最も多くのドイツのeコマース企業(21%)が決済手段として追加予定であると回答した。
ベルギー
1 | Bancontact | 53% |
2 | VisaとMastercard | 44% |
3 | 電子マネー | 28% |
4 | Maestro | 25% |
5 | モバイルバンキングアプリ | 21% |
「Bancontact」は、ベルギーの国内外のeコマース企業が提供する決済方法だ。ベルギーの消費者は海外のショップに慣れており、ベルギー人の約50%は他のEU諸国に拠点を置く販売業者からのオンライン購入を選択している。この傾向は、例えば、ベルギーのオンラインショップのトップ10においても示されている。
イタリア
1 | デジタルウォレット | 53% |
2 | VisaとMastercard | 41% |
3 | プリペイドカードと電子マネー | 40% |
4 | 代金引換 | 15% |
5 | ギフトカードとバウチャー | 10% |
イタリアにおいて、「Carta Si」は電子マネーのリーダーで、20億件を超える取引があり、1,300万枚のカードが流通している。
スペイン
1 | PayPal | 50% |
2 | デビットカード | 44% |
3 | クレジットカード | 27% |
4 | 代金引換 | 19% |
5 | バーチャルカードと電子マネー | 8% |
スペインの買い物客にとって、オンライン決済方法で最も重要とされる要素は、その安全性だ。ゆえに、スペインへの進出を考えているオンライン小売業者は、決済ページなどで、提供する決済方法の安全性を強調しよう。
フランス
1 | デジタルウォレット | 46% |
2 | VisaとMastercard | 44% |
3 | フランス国内銀行のカード | 38% |
4 | 銀行振込 | 8% |
5 | バーチャルカードと電子マネー | 7% |
フランスのオンラインショッピング利用者の約4分の1は、決済方法が選択できるeコマースサイトでの買い物を好んでいる。
※当記事は欧州のニュースサイト「Ecommerce News Europe」の8/20公開の記事を翻訳・補足したものです。