消費者は、レビューの公正性を保持しない小売業者に対する厳しい制裁金を望んでいることがわかった。
消費者は、フェイクレビューからの保護を切望している。これはアメリカのデジタルマーケティング会社Bazaarvoiceの新しい調査でわかった要点の一つだ。同社は米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアの約10,000人を調査。72%の消費者が、小売業者に対して「より厳しい対応を取り、詐欺的または不正なレビューを避けるための基準を設定してほしい」と考えていることがわかった。
詐欺に対抗する具体的な手段
回答者の大半は「購入を確認できた顧客だけがレビューを投稿できるようにするべきだ」と回答。また、製品テストと、「偽のレビューを排除するため」のユーザー作成コンテンツに対する日常的なレビューの実施も求めている。
消費者が詐欺に対抗するために小売業者に求める手段
確認済みの購入者だけがレビューを投稿できる 43%
販売前にすべての製品を正当な消費者によってテストする 38%
フェイクレビューを排除するために消費者コンテンツを日々確認する 34%
ウェブサイトでレビュープロセスを公開するか監視するサードパーティーベンダーに公開する 20%
上記のすべて 22%
出典:Bazaarvoice消費者調査(2020)
この調査で、フェイクレビューがブランドの信頼に与える影響が判明し、また、消費者が信じるものが詐欺レビューの結果であることもわかった。信頼に関する議論はよく知られているものであり、今回の調査結果では次のように示されている。
- 消費者がフェイクレビューではないかと疑った場合、54%が「製品を購入しない」と回答
- フェイクレビューはブランドの信頼失墜を引き起こす(34%)
- 82%は、信頼をなくしたブランドからは2度と購入しないと回答。
厳しい制裁金を
制裁の面では、アメリカの回答者は「これらの基準」(レビューの整合性)に違反するブランドは年間売上のおよそ15%に相当する制裁金を課すべきだ、と答えた。Bazaarvoiceは、これは一般データ保護規則(GDPR)の罰則規定の4倍に相当すると指摘している。
どのようにフェイクレビューを区別するかという質問に対しては、回答者は「類似の言い回し」をしている複数のレビューがないかを探す、もしくは、レビューの内容が製品と詳細まで一致しないものを探す、と答えた。また、「間違った文法やスペルミスでもわかる」とのこと。最後に、詐欺か信用できるかを判断する指標として、おそらく最も一般的なのは「肯定的なレビューが多すぎないかどうか」である。
危険なレビュー
類似の言い回し 55%
製品と一致しないレビュー内容 49%
間違った文法やスペルミス 36%
多数の肯定的すぎるレビュー 35%
出典:Bazaarvoice消費者調査(2020)
ネガティブなレビューがブランドの信頼性を高める
デンマークの消費者レビューウェブサイトTrustPilotが、2020年2月27日に発表した調査でも、同様の指摘がある。その調査では、消費者は「星5つのレビューが多すぎると疑わしい」と回答。回答者の多くは「評価は良いがレビューが少ない製品より、平均的な評価でもレビュー数が多い製品を好む」と答えた。
Bazaarvoiceの調査では、回答者の62%が、購入の意思決定においてネガティブなレビューは「肯定的なレビューと同じくらい重要」だと考えている。これは間違いなく、製品関連の課題や問題を知りたいからというだけではなく、ネガティブで批判的なレビューが肯定的なレビューより信頼性を与えるからである。
なぜ留意すべきか
複数の調査では、消費者はこれまで以上にレビューを信頼していることを示している一方、詐欺をさらに警戒するようになっていることもわかるだろう。これは、利用者がFacebookを信用していないのに利用を止めることができない現象と似ている。この調査は、小売業者(Bazaarvoiceの顧客)に焦点を当てたものだが、調査結果はおそらく、プラットフォームやマーケットプレイスにも当てはまるであろう。
マーケティング担当者は、迅速に多くのレビューを集めようとしがちであるが、規制を設けることと、レビューが欲しいからと言って非倫理的な戦略を使わないことは、全員の利益となるものだ。レビューの公正性を保証していない販売者は、短期的には利益を得ることができたとしても、長期的にはブランドの崩壊に苦しむかもしれないということだ。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の3/5公開の記事を翻訳・補足したものです。