スマートフォンの浸透により、モバイル端末がより身近になった現代において、ECでのモバイル端末の利用が日々進んでいる。例えば最近オープンしたAmazonの実店舗「Amazon Go」はモバイル端末と小売業の現場をつないだ実例といえよう。

<参考>

【米国】次世代型リアル店舗Amazon Goをシアトルにコンセプトストア - 会計不要の食料品販売で小売業に衝撃

 

そんな中、マーケティング会社Nielsenは、モバイル端末での商品検索と購入の関係を示した統計を発表した。それによると、モバイル端末で商品を検索した消費者の来店確率は57%、更に、そのうちの51%が購入に至るという。こうしたモバイルショッピングと商品検索の相関関係を明らかにしたNielsenの統計は、今まで漠然と感じていた関係性を明確に数値で示した重要なものだ。

 

モバイル端末を用いた商法を議論するMobile Marketer’s Mobile FirstLookでは、消費行動をいくつかのステージに分けて研究。モバイル端末を使っての購入行動に焦点を当て、小売業とマーケッターが消費者と接点を持つ方法を各ステージにおいて分析した。この分析で得たデータによって、今まで難解とされていた消費者行動にある規則性を見出せる可能性もあるという。

 

AmazonのシニアプロジェクトマネージャーMark Tan氏は「消費行動をステージに分ける必要性」を強調。「マーケッター、デザイナー、事業者などの様々な人と関わるが、把握するのが難しい消費者行動は無視される事が多い。しかしこの分析こそ重要だ」と言う。

 

モバイル端末での消費者行動分析の目的

モバイル上での商売販売に力を入れていない小売業者にとっても、実店舗で消費者行動分析に役立つ可能性を秘める「モバイル上の消費者行動分析」は意味のあること。

広く浸透したモバイル端末は、消費者にとって非常に身近なものとなっている。これがどのように消費行動に影響を与えるかを理解することは、小売業のどの局面においても役に立つはずだ。

 

例えば前述のNielsen社のデータからは、「モバイル端末で商品検索をするという行為=消費者の購入意欲の表れ」ということを示す有力な指標になると分析できる。

人々に身近になったモバイル端末の特性上、消費者の目前の購入意欲を率直に表すものとなっているといえよう。「モバイルで商品を検索する人は、すぐにその商品を購入したいと思っている可能性が高い」とTan氏は言う。

 

購入に至るプロセスを理解する

Tan氏によると、モバイル端末での消費行動には、商品認識、考慮、選択、購入、そして再購入といった多くの段階が存在している。

第1段階の「商品認識」は、その商品を認識した際の印象がその商品のイメージを決定するという意味で、消費行動で最も重要なステージ。商品の「考慮」はマーケッターの領域で、この段階で消費者は「買い」を決断する。同時に消費者はモバイル端末を使い他のサイトにて商品を比較。価格が妥当であるかどうかを調べる。「選択」と「購入」の段階では、人口統計の情報が重要になる。このような統計をとる事にモバイルデバイスは最適だ。

Tan氏は最後に、消費者に継続的に商品に興味を持ってもらうためにもっとも重要な事は「忠実な情報提供だ」と加えた。全てのステージにおいて消費者はどう行動するかを分析し、それに基づき改善していくことが最も重要なこととなるだろう。

「自身が持つ大量のデータをシンプルにする」、そして「そのデータの傾向を理解し、消費者体験に反映する事が大切」とTan氏は言う。

 

※当記事は米国メディア「Mobile Commerce Daily」の1/19公開の記事を翻訳、補足したものです。