Webサービス大手Amazonは2016年12月14日(水)、Amazon Prime Airサービスの一環として、英国で初めてドローンでの配達に成功したと発表した。現段階の個人客向け試験期間では、5ポンド(約2.27kg)までの荷物を30分以内に配達するという。
第一回目の配達が行われたのは一週間前。ケンブリッジ近郊に住む顧客の元へポップコーン1袋とAmazon Fire TVを運んだ。到着までは注文からたった13分だったという。
First-ever #AmazonPrimeAir customer delivery is in the books. 13 min—click to delivery. Check out the video: https://t.co/Xl8HiQMA1S pic.twitter.com/5HGsmHvPlE
— Jeff Bezos (@JeffBezos) December 14, 2016
この試験期間中ドローンの配送先に登録されているは2軒のみだが、次の段階では配送センターから数マイルの距離にある数十、数百の家々へ配送先拡張を目論む。天候にもよるが、日中なら週7日間注文できるようになるとの事。
実験段階
この夏Amazonは、自動化されたドローンの操作テストを郊外や農村にて行う認可をイギリス政府から得た事を発表していた。
「すべては未だ実験段階」と話すのは、米大手調査会社IHS Markit上級アナリストStelios Kotakis氏。「ただちにドローンの使用がEC市場に大きな衝撃をもたらすとは考えていない」と話すも、同社は2020年までに30万台以上の小売用ドローンの出荷を計画している。
イギリスの商業用空域はアメリカほど複雑ではないが、数十の主要商業空港を持つアメリカでは、特にセキュリティ面における航空の歴史を考えても、商業用ドローンの本格利用は結構な挑戦になる。もし飛行を認可された場合も、ドローンがアメリカの小売業界に多大な影響を与えるかどうかは定かではない。
米リサーチ会社Stratecast/Frost & SullivanのプログラムマネージャーMichael Jude氏は、「(この試みが)Amazonらしい」としながらも「小売電子商取引への影響は最小限にとどまるのでは」と予測している。
広範囲に及ぶドローンの飛行については、その安全性と責任問題の懸念が続く。
連邦航空局は商業用空域や他の制限区域で発生した複数の事故を受けて、所有者には0.55ポンド(約250g)から55ポンド(約25kg)のドローン登録要請を夏より開始した。
Amazonは配達にかかる費用削減目的の他、ホリデーシーズンにおける郵便局やFedEx、UPSなどの外部配送業者の繁忙期に対応したい理由から、商業用ドローンの飛行許可を求め続けたい考え。
予備調査
EC部門も持つ米老舗スーパーマーケットチェーンWalmartは昨年、正式に連邦規制当局にドローン配達テストの許可を求めた。セブンイレブンもこの夏、アメリカで初となる完全自律飛行でのドローン配達を実施している。
イギリスにおける商業用ドローン配達の順調な滑り出しは、業界にとって重要な通過点。「アメリカでのドローン配達のビジネス化に役立つだろう」と話すのは、ドローン企業連合Small UAV Coalitionの専務取締役、Michael Drobac氏。「今回の発表は、この分野における記念すべき一歩である」と加えた。
<参考>
攻め続ける巨人Amazon - 開始したEC関連サービスの狙いはどこにあるのか
Amazonが見据えるECの未来 - アマゾンポチ、fire phone、flow、firefly、予測配送、ドローン、Amazon Dash等の新サービス続々
※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の12/15公開の記事を翻訳・補足したものです。