4つのAIエンジンにおける1,000件以上のプロンプトを分析した調査によって、生成AIの回答でB2Bブランドの可視性を高めるための要因と、一般的なGEOアドバイスの落とし穴が明らかになった。


マーケティングチームにとって最大の優先事項の一つは、従来型の検索から、顧客や潜在顧客がリサーチにAIを活用する状況への移行をどう管理していくかである。SEOは今も変わらず重視しなければならないが、AI検索の概要やチャットボットによる回答で自社ブランドが表示されることが極めて重要になっている。

マーケターは、生成エンジン最適化(GEO)キャンペーンの実施方法に関して、あまりにも多くの助言や推奨事項にさらされている。有益なアドバイスもあるが、中にはただのインチキな提案もある。そこで私たちは、B2Bブランドが生成AIの回答に表示されるかどうかを左右している真の要因を特定するための調査を実施することにした。


B2B
のAI可視性の分析方法

今回の調査では、主要なGEOツールの1つであるBrandiを用いて、AI回答におけるブランドの言及とWebサイト引用について分析した。分析は広範にわたり、4つの異なるAIエンジン(ChatGPTPerplexityGrokGoogle AI Mode/Gemini)を用いて、29のブランドについて1,000以上のプロンプトを追跡した。

電子部品、半導体、産業オートメーション、ソフトウェア、物流、電化、エンジニアリングなど、多岐にわたるB2Bテクノロジー企業を分析した。企業規模はさまざまだったが、主に大企業と中堅企業に焦点を当てた。

プロンプトは、各ブランドが「自社が上位にランキングされるべき」と考える主要トピックや質問に基づいて、Brandiのインテリジェンスエンジンによって作成した。

すべての分析に、英語のプロンプトと回答が使用された。


1,000
件のプロンプト分析から見えたB2BのAI可視性

AIが生成した回答におけるB2Bブランドの表示状況(あるいは表示不足)について、データが明らかにした内容は以下の通りである。


多くのB2Bブランドは可視性が低い

「AIの可視性」とは、一連のプロンプトに対する回答としてブランドが言及される頻度をパーセンテージで表したものである。当調査によると、ブランドにとって重要なプロンプト回答の25%以上に登場したのは、わずか5分の1(21%)のブランドに過ぎなかった。また3分の1のブランドは、AIの回答の5%未満にしか登場しなかった。

この結果は、GEOが十分でない企業だけを調査対象にしたために生じたものではない。分析対象となったB2Bカテゴリーでトップのブランドであっても、3分の2はAI回答での可視性は25%未満だった。さらに最も可視性が高かったブランド群の約5分の1(17%)は、AI回答への登場率が10%を下回っていた。

これは明らかに懸念すべき事態だ。現在、B2Bブランドは顧客や潜在顧客が使用するプロンプトに対するAIの回答に表示されないのだ。B2B顧客が従来の検索からAIチャットボットへ移行するにつれ、大半のサプライヤーの可視性は低下するだろう。

自社サイトに適切なコンテンツを掲載することは、ブランドの可視性を確保する上で極めて重要な要素である。AI回答で引用されたドメインの上位10位以内に入ったブランドは平均25%の可視性を記録した。一方、上位10位圏外のブランドが表示された割合は、平均7.6%にとどまった。
興味深いことに、ドメインが最も頻繁に引用された場合でも、効果は頭打ちになる傾向が見られた。引用数が最多だったブランドのドメインは平均31%の可視性しか達成できず、上位10ブランドと比較してわずかに上回る程度だった。これは、オウンドコンテンツだけを軸にしたGEO戦略には限界があることを示している。


WikipediaとRedditは思っているほど重要ではない

Wikipedia(米国発の無料オンライン百科事典)と Reddit(米国の掲示板型ソーシャルニュースサイト)は GEO の可視性に大きく貢献しているという定説があるが、B2Bブランドにとっては、その影響は限られている。調査対象ブランドの60%で、Wikipediaは引用された上位25サイトに入っておらず、30%のブランドでは、作成されたプロンプトへの回答で一切引用されなかった。ブランドがWikipediaのコンテンツに影響を与えるために時間と資金を投入すれば、この状況は変化する可能性がある。また、他のプラットフォーム向けのコンテンツ構築がより重要になる可能性を示唆している。

Redditの影響力はさらに小さく、分析対象ブランドの5分の4以上(83%)において、引用された上位25ドメインにすら入っていなかったのである。これはおそらく、B2Bテクノロジーブランドは、消費者向けブランドほどRedditで話題に上らない傾向があるという性質が反映されているためと考えられる。

ChatGPTは、商業的合意により、Redditへのほぼ独占的なアクセス権を有している。このAIモデルが重要であるならば、Reddit戦略を検討する価値はある。ただし、Redditのコミュニティが関心を持ち、議論したくなる製品やサービスを持っていることが必須条件である。


AI回答の可視性には、テキストコンテンツだけでは不十分

AIモデルは、YouTubeのようなプラットフォームを広く活用しているため、動画はあらゆるGEO戦略の核となるべき要素である。約75%のブランドは、AI回答で引用された上位25ドメインにYouTubeを挙げている。

GoogleのGeminiモデル(検索結果ページ上部のAI回答を含む)がYouTube動画を引用する傾向が最も高かったのは驚くべきことではない。ただし、すべてのAIモデルが動画を使用するため、テキストコンテンツだけではAIの可視性を十分に確保できない。


LinkedIn記事の復権か?

LinkedIn(世界最大級のビジネス特化型SNS)は予想以上に大きな影響力を持っており、37%のブランドにおいてドメイン引用数トップ25にランクインしていた。LinkedIn自体はこのフォーマットへの関心を失っているように見えるにもかかわらず、数年前に投稿された記事でさえ、AIの回答に表示されている。したがって、B2BブランドにとってLinkedInでの強力な存在感は不可欠であり、同プラットフォームで長文記事を書くことは賢明なGEO戦略と言える。


オウンドメディアはアーンドメディアより優位

大手AI企業のリーダーたちはアーンド(獲得)メディアの重要性を強調しているが、AIの回答にどのB2Bテクノロジーブランドが表示されるかを決定する上で、オウンド(自社)メディアが欠かせないことが判明した。オウンドWebサイトは、アーンドメディアサイトの2倍以上引用されている。引用されているオウンドサイトの多くは競合企業のものであるが、AI回答で可視性を高めたいならば、B2Bブランドは自社Webサイトだけでなく、チャネルパートナー、エコシステム内の他のパートナーブランド向けにコンテンツを作成しなければならない。

興味深いのは、AIの回答に影響を与えるアーンドメディアは、ブランドが「最重要」と考えるメディアとは必ずしも一致していない点だ。業界誌の引用の大半を少数の媒体が占めており、PR(広報)の専門家がブランドの対象読者層への影響力が低いと見なしていた媒体が、AI利用時に読者が受け取る回答に重大な影響を及ぼすこともある。

AI企業のリーダーたちがアーンドメディアの重要性を強調していることを踏まえると、今後、オウンドメディアとアーンドメディアのバランスはアーンドメディア側に移行していくと予想される。


調査結果が示すGEO戦略への示唆

顧客や潜在顧客に提供されるAI回答においてB2Bブランドが可視化されることは、長期的な成功にとって不可欠である。しかし、大半の回答では主要ブランドですら言及されておらず、ほとんどの企業はAI回答のごく一部にしか表示されていない。さらに、効果的なGEO戦略を構築することは容易ではない。GEOの専門家たちが提唱する通説の多くは、本調査のデータによって裏付けはされなかった。

B2B企業が成功するためには、市場を詳細に分析し、主要なAIモデルに影響を与える要因を理解しなければならない。この調査が示すように、通説は往々にして誤っているため、このデータ駆動型のアプローチが不可欠なのだ。


※当記事は米国メディア「MarTech」の2/27公開の記事を翻訳・補足したものです。