AIが発見への入口になりつつある中、GoogleとOpenAIは、広告をその体験に組み込むために全く異なるアプローチを取っている。


GoogleOpenAIの幹部が、それぞれの広告戦略の未来像を示した。しかし、両者のビジョンは大きく異なっている。

デジタル広告の次のステージは、もはや検索結果ページだけで争われるものではなくなる。それは、AIチャットのインターフェースや予測型コマースエンジンの中で形作られつつある。2月9日の週、OpenAIとGoogleはそれぞれ、自社のAI体験に広告をどのように組み込むかについて、新たな詳細を発表した。しかし、そのアプローチの違いは非常に対照的だ。

マーケターが理解すべき点は以下の通り。


OpenAI
のアプローチ:回答のように感じられる広告

OpenAIのポッドキャストで、同社幹部のAssad Awan氏は、ChatGPT内で広告がどのように機能するかについて、新たな詳細を共有した。同社は、初期のディスプレイ広告での失敗を明らかに回避しようとしている。その基本原則は、広告は会話を中断するものではなく、役に立つ「会話の延長」のように感じられるべきであるということだ。

Awan氏が説明したのは、従来のバナープレースメントや、ひと目でスポンサー提供とわかるブロックではなく、広告がユーザーのクエリに文脈的に関連し、かつ明確に「スポンサー提供」と示される回答として現れるモデルである。たとえば、ユーザーが会計ソフトやランニングシューズのおすすめを尋ねた場合、広告主がその回答の中に登場することはあり得るが、それはアシスタントの口調や構造に沿った形で表示される。

Awan氏は、次の3つのガイドラインを強調した。

  • 「スポンサー提供コンテンツ」であることをユーザーが理解できるようにする明確な表示
  • ユーザーの現在のクエリに基づく関連性
  • プライベートな会話を広告ターゲティングに利用しないこと

言い換えれば、OpenAIはデジタル看板ではなく、会話型広告の設計を目指しているということである。

より広い視点で見ると、これは大きな意味を持つ。というのも、ChatGPTが発見のための主要なインターフェースとなれば、広告は画面上のピクセルを争うのではなく、回答の中でユーザーの信頼を奪い合うことになる。その結果、「AIが生成する回答の中で、本当に役に立つと感じられるスポンサー提供コンテンツをどう作るのか」という新たな最適化の課題が生じる。


G
oogleのアプローチ:AIをあらゆる場所に、ただし最優先はコマース

一方のGoogleは、デジタル広告とコマースに関する2026年のロードマップを提示した。同社は広告スタック全体にわたってAI統合を強化する方針だ。

Googleの広告・コマース部門担当副社長兼ゼネラルマネージャーのVidhya Srinivasan氏は、3回目となる年次レターで、検索、YouTube、そしてショッピング基盤が「エージェント時代」に向けて再構築されていることを説明した。ここでいう「エージェント時代」とは、AIが単に情報を提示するだけでなく、ユーザーを積極的に支援し、提案し、取引を完結させるようになる時代のことである。

Srinivasan氏は、キャンペーンの自動化、予測型オーディエンスターゲティング、クリエイティブ生成におけるAIのより深い活用を予告した。Performance Max(Googleが提供するAI主導の広告キャンペーンタイプ)は、検索、YouTube、ショッピング、ディスプレイ広告全体で、予算をどこにどのように配分するかをAIが判断する、より自律的な運用へと進化し続けている。

しかし、より大きなシグナルはコマース分野にある。

Googleは、AI Overviews(AIによる概要)、ショッピング広告、販売者のデータフィードを融合した商品発見機能に大きく舵を切っている。検索やYouTubeの中に、AI生成の要約、パーソナライズされた商品提案、そしてそのまま購入できるショッパブルな体験が、さらに組み込まれていくことになるだろう。

つまりGoogleの戦略は、広告を既存のエコシステムに定着させつつ、その背後でAIを最適化エンジンとして活用するというものである。


二つのモデル、二つの哲学

OpenAIは、チャットインターフェースの中にネイティブな会話型広告を組み込む実験を進めている。一方のGoogleは、すでに成熟した広告インフラにAIを組み込んでいる。

OpenAIにとっての課題は、信頼を損なわずに収益化を図ることだ。ChatGPTの広告が過度に干渉的であったり、頻度が高すぎたりすると、ユーザーは離れてしまうだろう。逆に、有用で透明性があると認識されれば、強力な新たなパフォーマンスチャネルとなり得る。

一方、Googleにとっての課題はこれとは異なる。AI Overviewsによってすでにゼロクリック検索(検索結果をクリックせずに完結する検索)が増えている中、広告主は「ユーザーがクリックしてWebサイトを訪問することが減る世界で、可視性やアトリビューションはどう機能するのか」と問いかけている。Googleの答えは、AIの検索結果とコマースユニットをより緊密に統合し、取引を自社のエコシステム内に留めることにあるようだ。


ブランドにとっての変化

マーケターにとって、これは構造的な転換を意味する。

第一に、クリエイティブ戦略は、会話型の環境に適応しなければならない。広告は販促コピーではなく、専門家のおすすめのように読める形式が求められるかもしれない。

第二に、ファーストパーティデータと構造化された商品フィードがさらに重要になる。AIシステムは高品質な入力データに依存するため、リッチでクリーン、かつ包括的なデータを提供するブランドほど、AIが生成する回答の中で有利なポジションを確保できる。

第三に、測定モデルは進化する。AIが発見プロセスを仲介するようになると、アトリビューションはより複雑化する。そのため、モデル化されたコンバージョンやAI主導のパフォーマンスレポートへの依存度が高まると予想される。


より大きな問い:発見を掌握するのは誰か?

AIアシスタントが調査やショッピングの最初の入口となるのであれば、そのインターフェース自体が広告における最も価値の高い場所となる。OpenAIとGoogleはいずれも、そのインターフェースとしての地位を確立しようとしているが、採用している経済モデルは異なる。

Googleは、何十年にもわたって広告インフラとそれに依存した収益構造を築いてきた。一方、OpenAIはこの分野では新参者であり、多くのユーザーが「中立的」と見なすアシスタントにおいて、収益化と信頼性の維持のバランスを取らねばならない。

マーケターにとって重要なのは、まだどちらか一方を選ぶべきではないということだ。両方に備えるべきである。

  • 構造化データを最適化する
  • オリジナルで信頼性の高いコンテンツに投資する
  • AIが生成する要約の中でも機能するクリエイティブを設計する

そして、会話型環境において、ラベリングやプレイスメント、ターゲティングがどのように進化していくのかを注視すること。

純粋なオーガニック検索の時代は終わりつつある。AIを介した発見の時代が加速しており、GoogleもOpenAIも、その中にある広告レイヤーを掌握しようとしている。


※当記事は米国メディア「MarTech」の2/12公開の記事を翻訳・補足したものです。