プログラマブルな金融サービスを構築するStripeは、小売業・飲食業・サービス業に携わり、実店舗・ EC でサービスを展開している全国の事業者を対象に、多様化する決済システムとデータ活用に関する調査を実施した。
調査結果
「ECサイトで導入している決済手段について」質問したところ、半数程度の事業者が2種類以上の決済システムを採用していることが明らかとなったことに加え、「従業員51人以上」の事業者では、平均3種類の決済システムを導入していることがわかった。また、複数導入の主な理由は「顧客の多様なニーズに応えるため」であり、顧客満足度向上の観点からも複数の決済手段を備えることが不可欠であるといえる。
「多様化する決済システムによりかえって“コスト”がかかることがあるか」を尋ねたところ、約8割の事業者が「何かしらの“コスト”を感じている」と回答していた。内訳として最も多かったのは「決済システムごとの導入・維持にリソースがかかる」 で48.7%、次いで 「決済システムごとのセキュリティ対策に手間がかかる」 の42.5%と続いた。顧客の多様なニーズに応えるため、複数の決済システムを導入している事業者が多い一方、“決済の裏コスト”の課題も明らかになった。
決済データの一元管理と有効活用により実現可能な、さまざまな顧客体験・店舗経営への対応について期待することを質問したところ、「顧客一人一人に合わせた、パーソナライズされたサービスの提案・提供」 の21.2 %が最多で、2位は「ECサイトと実店舗における購買情報・在庫情報の一元管理」の16.4%、3位は「商品の購入・受け取りへのニーズ対応」の15.8%だった。この結果から、顧客体験の高度化やリピーター創出に直結する施策への関心が高く、効率的なデータ活用の成否が企業の競争力を左右することがわかった。
「3Dセキュアの導入が義務化されたが、現在の制度についてどう思うか」と質問したところ、約3割の事業者が「不正利用防止の効果を実感している」と回答する一方で、同率だった「導入や運用に伴う手間やコストの負担」を挙げている人がいた。また25 %以上の企業がまだ導入していないと回答していた。こうした結果から、今後さらに不正対策の強化が想定される中、事業者側の負担軽減や運用効率化がさらに課題なることが見受けられる。
両者のコメント
今回の調査に協力した京都大学 公共政策大学院の岩下教授は、「今回の調査は、加盟店にとって決済が単なる支払い処理の域を超え、データ活用や経営全体に影響を及ぼす重要な要素となっていることを示しています。利便性や安全性の確保に加え、システム運営に伴うコストを抑えつつ収益性をどう確保するか。そのバランスを見極めることが、今後の消費者と事業者をつなぐ取引を方向づける基本課題であり、決済の将来像を考えるうえで欠かせない視点です。」と述べた。
一方、ストライプジャパン株式会社 代表取締役のダニエル・へフェルナンは、「一言に決済と言っても、その機能や役割は消費者のニーズやビジネス戦略と共に大きく変わりつつあります。その細かなアップデートを個別に手作業で対応していくのには、思った以上の時間や労力=裏コストがかかります。また、オンラインとオフラインの決済データを一元化することで、直接的なサービスからマーケティングに至るまで実現できる施策の可能性は大きく広がります。」とコメントした。