IAB(ネット広告業界団体)の報告書によると、デジタル動画広告への資金移動は増えているが、計測の問題は依然として残っている。


IAB新しいレポートによると、視聴者測定に大きな疑問があるにもかかわらず、マーケティング担当者はデジタル動画に資金を移し続けている。

IABの予測によると、今年のデジタル動画広告費は620億ドル以上になる見込みである。これは昨年より16%増加し、2020年の260億ドルの2倍以上である。

2020年以降、広告費のシェアはリニアTVからデジタルビデオに20ポイント近くシフトした。2024年には、動画広告費の52%をデジタル動画が獲得し、初めてリニアTVを上回る。これは、視聴者のデジタルシフトを反映している。たとえば、最大手の有料TVプロバイダーは過去2年間で加入者の6%(2023年には500万人、2022年には460万人)を失った。

無料広告付きのストリーミングTV広告費は、昨年の44%から51%に増加。これは現在、仮想のマルチチャネル動画番組配信会社(55%)やストリーミング・プラットフォーム(53%)で購入される広告と肩を並べるようになった。

出典:IAB の「2024 Digital Video Ad Spend & Strategy Report(2024年度デジタル動画広告費と戦略レポート)」

 

測定の問題は依然として残っている

測定の問題は全体的な問題として残っているが、チャネルによって大きく異なる。パブリッシャーレベルの測定フレームワークが一貫していないことが、オンライン動画を悩ませている。これによって、バイヤーはプレースメント、視聴率、保証を理解するのが難しくなっている。CTV(ストリーミングコンテンツ内に表示されるデジタル広告)は、番組レベルのデータが共有されておらず、測定アプローチに一貫性がないため、同様の問題に直面している。

出典:IABの「2024 Digital Video Ad Spend & Strategy Report(2024年度デジタル動画広告費と戦略レポート)」


これに加え、プライバシーバイデザインの普及により、バイヤーはデータシグナルへの依存度が低い測定ツールに目を向けている。シグナルの廃止により利用可能なデータの集まりが減少するなか、AI、データ駆動型最適化、MTA(オンライン上での広告接触など、個人の行動追跡データに基づく効果測定手法)、MMM(企業が複数のチャネルにまたがるマーケティングキャンペーンの効果を特定・測定するためのデータ駆動型の方法論)により、バイヤーはモデル化されたデータに基づいてパフォーマンスを理解できるようになる。

10社中9社の広告主が、取引、テスト、またはベンダーとの協議を通じて、何らかの形で代替オーディエンス測定を利用している。75%以上のバイヤーが、セラーに対して、透明性の向上、パフォーマンスベースのソリューションの提供、ファーストパーティデータへのアクセスの許可や新しい測定基準の設定への協力を求めている。

出典:IABの「2024 Digital Video Ad Spend & Strategy Report (2024年度デジタル動画広告費と戦略レポート)」


関心を持つ理由

デジタル動画は、エンゲージされた視聴者に大規模なリーチを求める広告主にとって、当分の間、主要なチャネルであり続けるだろう。その人気の原動力は、消費者がさまざまな形式のコンテンツを入手できる方法の多さにある。そのため、短編、長編、クリエイター主導型、没入型のコンテンツフォーマットが非常に増えている。これはマーケターにとって仕事が増えることを意味する一方で、複数の消費者層、マインドセット、興味に対応することもできる。

 

調査方法

このデータは、15分間の匿名オンラインアンケートに対する364人からの回答に基づくものである。 すべての回答者は、以下に該当する。

●デジタル動画における広告費の推奨、指定、承認に携わっている

●2023年に少なくとも100万ドルの広告費を支出した

●代理店に勤務またはブランド・マーケターの下で働いている


この調査は2024年2月15日から3月1日にかけて実施された。
レポート全文ここからダウンロード(IABの会員登録が必要)


※当記事は米国メディア「Martech」の7/16公開の記事を翻訳・補足したものです。