株式会社デジタルインファクト株式会社CARTA HOLDINGSと共同でリテールメディア広告市場に関する調査を実施した。

 

 

 リテールメディア広告市場調査実施の背景

 

大手EC事業者における広告ビジネスは2010年代後半以降本格化し、近年その売上成長率は、デジタル広告市場全体の成長率を大きく上回る水準で推移している。また、大手店舗事業者においては、小売事業のDX化を推進する組織整備、広告事業者との連携など、商流の拡大に向けた取り組みも行っている。このような状況下で、売企業を通して商品を販売するメーカーを中心とする広告主企業(以降「メーカー企業」と呼ぶ)においては、自社がターゲットと想定する顧客層への確実なアプローチをすることが出来るデジタル広告商品に対するニーズはますます高まりつつある。

そこで本調査では、広告主によるリテールメディア広告に対する広告支出の総額を、リテールメディア広告市場規模とし、2022年までの推計および2023年から2027年までの予測を実施した。

 

 

調査結果

 

デジタル広告配信におけるクッキーレス化が進展するなか、大手EC事業者が提供するターゲティング精度の高いリテールメディア広告は、多くの広告主からのデジタル広告需要を取り込み、2023年はデジタル広告全体を大きく上回る水準で増加した。

これを背景に、2023年のリテールメディア広告市場は3,625億円、前年比122%となる見通しで、内訳としては、EC事業者が3,405億円、店舗事業者が220億円と予測されている。今後は、大手EC事業者が提供するリテールメディア広告への広告主からの高い水準の需要の継続と、店舗事業者が提供するリテールメディア広告への需要の急増を受け、市場は高い水準で成長を持続し、2027年には2023年比約2.6倍の9,332億円規模に拡大すると考えられる。

 

 

一方、店舗事業者のリテールメディア広告市場においては、大手GMS企業が小売事業のDX化の一環としてリテールメディア事業への注力を進めており、広告商品の拡販に向けた環境整備が整いつつある。また、大手コンビニエンスストアチェーン企業においても、リテールメディア事業部門の組織体制の整備、あるいはデジタルサイネージ等の設備投資が進み、今後の大きな事業成長に向けた準備が開始されている。

このような中で、店舗事業者におけるリテールメディア広告市場は、2023年は220億円、前年比163%と昨年を大きく上回る見通しとなっている。今後は、リテールメディア事業を支えるテクノロジーの進展が、多くの店舗事業者の参入支援を促し、広告主からの確実な需要の高まりのもと、2027年には2023年比約6.3倍の1,390億円に達すると予測される。