2020年、スウェーデン発祥で世界的に有名な家具販売店のIKEA(本社オランダ)は、オンラインでの存在感を高めることに成功した。50億人以上が同社のオンラインチャネルを訪問し、オンライン売上は73%増加。現在、ほとんどの実店舗が営業しているにもかかわらず、IKEAの総売上高の26%をオンラインが占めている。

 

IKEAは、2020年9月から2021年8月末までの2021会計年度の統計を発表した。プレスリリースによると、総売上高は419億ユーロに達したという。これは、396億ユーロを達成した前年度と比較して、5.8%の成長となる。

 

オンラインでの存在感を重視

2020年12月、IKEAは名高いカタログの印刷中止を決定した。Inter Ikea GroupのCEOであるJon Abrahamsson Ring氏は、「紙のカタログを廃止することで、オムニチャネルのビジョンの実現に時間とリソースを集中させることができる」と述べた。

 

「現在は、オムニチャネルビジョンを実現するために時間とリソースを集中させることができるようになっている」

 

コロナの影響で、多くの実店舗は閉鎖され、IKEAはオンラインでの存在感強化に重点を置く必要があった。そして今年、オンラインチャネルに50億人以上の訪問者を迎えた。オンラインの売上は73%増加した。今では多くの実店舗が営業を再開しているにも関わらず、オンライン売上は総売上高の26%を占める。

 

仕入れの課題

大幅な成長を遂げた同社だが、この1年間には苦しい時期もあった。店舗や倉庫の在庫を維持するのは困難であった。いまだに在庫数の大幅な減少から完全には回復しておらず、この状態は2022年まで続くと予想している。

 

それでも、IKEAは拡大を続けている。2021年には、実店舗初進出のメキシコとスロベニアを含む新規45店舗がオープンした。また、2020年9月にはフィリピンでフランチャイズ加盟店がIKEAのオンラインショップを開始。同国の1号店は11月にオープンする予定だ。2019年から2023年の間に、IKEAは合計17の市場に参入し、年間平均で50の新規店舗を開設する予定だという。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の10/18公開の記事を翻訳・補足したものです。