2021年、マーケティング予算は大幅に削減されたが、マーケティングテクノロジーへの支出は安定

収益に占めるマーケティング予算の割合は、2021年に「近年で最も低い水準」に落ち込んだ、とアナリスト企業のGartner社は「The State of Marketing Budgets 2021」で報告した。マーケティング予算は、およそ半分に削減され、2020年の11%から2021年には6.4%に減少した。さらに予測通り、CMO(最高マーケティング責任者)は、オフライン支出をデジタルチャネルにシフトし、純粋なデジタルへの予算が、総予算の72%以上を占めていると報告した。代理店にアウトソーシングされていた業務の29%は、社内に取り込まれた。

 

このようなマーケティング予算削減は、すべての業界で見られた。一方で、Gartner社は、デジタルエンゲージメントの重要性が増す中、予算が単に削減されたのではなく、CMOから最高デジタル責任者に移行された可能性があると指摘している。

 

1年前、Gartner社は「CMO Spend Survey 2020-2021(CMO支出調査2020-2021)」に基づき、他の機能が削減されたとしても、マーケティングテクノロジーへの支出が増えるだろうと予測していた。実際、マーケティングテクノロジーが全体的な予算に占める割合は、安定していた(0.4%の増加は力強い成長とはいえない)。

 

マーケティングテクノロジーに関するブログ、Chief Martecの著者であるScott Brinker氏は、このニュースを非常に前向きに捉えている。Gartner社の調査結果が、CMOが、マーケティングテクノロジーとオペレーションの重要性を認識していることを、自らの予算をもって表明していると彼は述べた。「注目すべきは、広義での“マーテック”が予算に占める割合が26.6%と最も大きく、ペイドメディア(25.1%)と人件費(25%)がそれに続いていることである。とはいえ、全体的なマーケティング予算が縮小していることを考慮すると、今年もマーテック予算が圧迫されたことは間違いない。おそらく、マーテック分野の指針を強化するのは良いことだろう」。

 

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驚くべきことに、アナリティクス予算は、マーケティングプログラムとオペレーション全体の予算配分では4位となった。

調査対象となったのは、北米と欧州の回答者400人。

 

注目する理由

今年、CMOは大きく困難な課題に直面している。予算全体に、大幅な削減の圧力がかかっているにもかかわらず、依然として、さらに重要性を増しつつあるデジタルチャネルとそれを支えるマーケティングテクノロジーに、十分な予算を割り当てる必要があるからだ。

これは、減少するリソースの再配分を意味する。オフライン広告枠を提供する外部の代理店やサイト運営者にとっては、悪いニュースである。

もちろん、少ないコストでより多くのことができることを示すCMOは、CFO(最高財務責任者)を満足させているだろう。CFOは、マーケティングだけでなく、出張旅費や不動産関連の予算も削減する覚悟ができているということだ。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の9/2公開の記事を翻訳・補足したものです。