街のお米屋さんが見据えるオンライン戦略と、浸透するAmazon Pay | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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物流・決済・業務
2017/08/28

街のお米屋さんが見据えるオンライン戦略と、浸透するAmazon Pay

内房線の君津駅から車を走らせること10分。閑散とした住宅街に、少し目を引く白い大きな蔵の形をした建物が見えてきた。その建物こそが今回紹介する石川商店だ。

「こめ」と大書きされたすだれをくぐり店内に入ると、お米と雑穀の専門店ということだけあって、お米の他、調味料や珈琲豆など幅広い商品が並んでいる。この石川商店では「安心安全なコメづくり」をモットーに、すべて国内産の最高品質のお米・雑穀を提供することにこだわり、百貨店などへの卸業や通販も行うなど、従来の「街のお米屋さん」の枠組みにとらわれない革新的な販売戦略を展開している。

 

石川商店では、2008年にカラーミーショップを活用してECサイトをリニューアル。さらに、2017年2月にAmazon Payによる決済を導入後、順調に売上が伸びていることや、Amazon Payの利便性をSNSでユーザーに丁寧な説明をしたことなどが評価され、今年5月に都内で行われたカラーミーショップ大賞2017の授賞式Amazon Pay賞を受賞した。

▲アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 事業部長 井野川 拓也 氏と石川商店 石川 紘史 氏

今回は、石川商店に導入されている決済サービス「Amazon Pay」を提供しているアマゾンジャパン合同会社の協力でインタビューを実施。お米屋さんならではのオンライン戦略やAmazon Payの導入に至った経緯、売上アップという成果を得た背景を紹介していく。

 

 

小売から卸し事業、そしてEC展開へ

 

街のお米屋さんの若旦那、という肩書きからイメージされる風貌とは大きくかけ離れているのは、専務取締役でECサイト責任者である石川絋史氏。店内でお話しをしていなければ、その理路整然とした語り口もあいまって、大手企業の辣腕事業部長のような印象を持つ人も多いのではないだろうか。

1972年に君津市で、いわゆる普通の街のお米屋さんとして始まった石川商店。当時は街中に多くの小売店があったが、スーパーマーケットやコンビニなどの出現で淘汰が始まる。石川商店にとっても他人事ではなく、スーパーなどで気軽にお米が買えるようになり、現在も代表を務める絋史氏のお父様である善雄氏が強い危機感を覚えていたという。そこから街のお米屋さんとしての枠にとらわれずに事業展開することを決意。1990年代に「健康博」や「FOODEX JAPAN」などの様々な展覧会に出展を開始した。さらに百貨店をはじめとする小売業者への卸業を中心として事業拡大に着手。そして、会社のホームページを開設したことをきっかけにECに進出。現在では自社サイトのほか、Amazon楽天などのECサイトでも多くの商品が販売されている。

自社ドメインサイトでEC事業を始めた当初からショッピングカートを使用していたが、2008年にカラーミーショップを活用した新サイトに大幅リニューアル。石川商店のこだわりを最大限反映できるECサイトにするため、その後、2度のサイト改修を経て現在のサイトとなっている。

 

 

石川商店のEC事業の成功の歩み

 

EC事業を展開する同業者が少ない中、早い段階からEC事業に進出した石川商店だが、当初から集客面ではあまり苦労しなかったという。というのも、今や全国的に知名度の高い「五穀米」の商標登録を持っているのが、この石川商店だからだ。

石川商店は創業から頑なに国内産100%の品質を守り続けており、「五穀米」は、1989年に日本で初めての雑穀ブレンド商品として作られた、今や筋金入りのオリジナルブランドといえよう。ここのところの「雑穀ブーム」でも、多くは海外の原料を用いたものが多い中、未だに国内産を貫き通しているという強烈な強みを持っている。

さらに、石川絋史氏は持ち前の探究心から、独学でECやマーケティングの知識を身につけたという。その結果、今やECを専門としている企業担当者に比べても遜色のないレベルでECサイトに関する知見を持ち、それをサイト運営に反映している。昨今のコンテンツマーケティングの重要性の高まりにも早い段階で対応。石川絋史氏自らが更新を行うブログFacebookTwitterなどのSNSによる活発な情報発信により、多くのファンやフォロワーを獲得している。そのコンテンツは、商品紹介だけでなく、お米や雑穀にまつわる豆知識から石川氏の日常生活までありとあらゆる情報を発信しており、ユーザーに親近感を持ってもらえるよう考慮しているそうだ。

▲石川商店のTwitterアカウントである「Dr.五穀米の粒やき」

現在の石川商店のECサイトは、ナチュラルなベージュを基調とした温かみのある雰囲気が特長。商品紹介ページでは、それぞれのお米や雑穀が育てられた環境や、その味覚の特徴を詳しく記述。お米や雑穀に関する専門知識がない人でも、自分の好みにあった商品を見つけられるように考えていると石川絋史氏はいう。また、「お米屋さんのブログ」や「お客様の声」など、実際に石川商店に関わる人々の生の声を多くのせており、地域やユーザーとのつながりを深く感じられるサイトとなっている。また、「雑穀レシピ」のページでは、石川商店のお米や雑穀を使ったレシピを毎週更新しており、ユーザーが継続的にアクセスしたくなるきっかけを作っている。

このように、ECサイトの各コンテンツで幅広いターゲットにアプローチを続けているほか、「五穀米」のネームバリューでのメディア露出も増えてきており、様々なルートで潜在顧客との接点を増やしているのだ。

 

 

満を持してのAmazon Pay導入

 

石川商店はFacebookをはじめとするSNSの活用やECサイトのリニューアルなど、米穀業界には珍しくWebマーケティングの最新トレンドを次々と取り入れてきた。そうした石川商店がECサイトの運営において長らく悩んでいたことがあった。それは、商品の閲覧から購入完了に至るまでのページ遷移先の多さ、入力する項目の多さである。購入を決断してから住所や名前、電話番号を1から入力するのは非常に手間がかかり、結果的にカゴ落ちしてしまっているのではないかという懸念だ。そういった点から、Amazonアカウントを用いて簡単に決済を行うAmazon Payの存在には以前より気づいていて注目もしていたが、当時はカラーミーショップがAmazon Payに未対応だったため、導入できずにいた。2017年2月よりカラーミーショップがAmazon Payに対応することを、2016年12月の発表で知り、導入セミナーに参加。すぐに手続きを行い、2017年2月1日のサービス稼働開始日にAmazon Payを導入した。

▲石川商店の決済画面におけるAmazon Payへの導線

実際にAmazon Payを導入すると、初日から約半数の決済がAmazon Payで行われるという予想以上の効果が出た。もともと石川商店は顧客の年齢層が高めということもあり、Amazon Pay導入前は代引き決済がクレジット決済を上回って最も使用される決済方法だった。導入後も代引き決済が最も利用されている決済方法だが、それでも全体の約3割のユーザーがAmazon Payでの決済を利用しており、決済にまつわる利便性は大きく向上した。Amazon Payの導入によって、顧客は決済情報を登録する手間を省くことができ、購入までのページ遷移数が劇的に少なくなった。たった2クリックで決済が完了するAmazon Payが、以前からの悩みであったページ遷移の多さを解消したのだ。そして、Amazon Pay導入のメリットは利便性だけではない。Amazonという絶大な認知度と信頼のある企業ブランドによって、新規ユーザーでも安心して購入できるようになったことも大きなメリットだ。しかし一方でAmazon PayがAmazonポイントと連携できれば、ユーザーはよりAmazon Payを使いやすくなるのではないか、と石川絋史氏は改善点も口にしていた。

現在、ダイエット番組を中心としたTVや雑誌などのマスメディアでの露出の影響により、巷では「麦ブーム」が起こっており、Amazon Pay導入の成果だけではないが、Amazon Pay導入後の石川商店の売上は前年の倍以上のペースで、順調に推移している。街のお米屋さんに導入されたAmazon Payは、このように驚異的な成果を生み出しているようだ。

 

 

街のお米屋さんの視線の先はいつしか海外に

 

お米という市場は爆発的に成長することはない、と冷静な口調で話す石川絋史氏。日本は、今後も人口の減少が見込まれ、パスタやパンなどの影響でお米市場は間違いなく縮小傾向にあるという。そのため、石川商店では、近い将来に向け海外展開を検討しているという。現時点では輸送面、決済面で解決しなければならない壁が多く、海外への商品展開を行なうことができていない。しかし、海外の展覧会などには積極的に出展しており、EUが主管となり開催されたヨーロッパ最大の食品品評会(iTQi)で、2010年に石川商店の雑穀商品は「優秀味覚賞」を受賞している。

海外では、日本のお米や雑穀は高品質であるという認識が普及。主に欧米などで問題となっている肥満・健康への対策として米穀の需要が高まっていることからも、石川商店では近年中にアジアやアメリカへの本格的な輸出事業をスタートさせたいとの意向を持っている。現在、海外進出への足がかりとしてECサイトの多言語化対応に取り掛かり始めているそうだ。

 

街のお米屋さんとして始まった石川商店の事業だが、現在では実店鋪に加え、卸売、ECサイトと多岐にわたっており、さらには海外進出を目指すなど、常に新たな試みを続けて拡大している。しかしながら、石川商店と接点を持ってくれたユーザーに高品質な米穀を提供し続けることにおいては絶対に妥協しないと石川絋史氏は語気を強めていた。ユーザーとの繋がりを深め、信頼を得て、時間をかけて良い口コミを増やしていくことこそが、顧客満足度を高めていくことに繋がると考えている。

40年以上続く伝統を守りながら、ECを活用した革新的な今後の事業展開が楽しみでならない。

 

 

石川商店にも導入されているAmazon Payとは

 

Amazon Payとは、Amazonのアカウントに登録されている住所情報とクレジットカード情報を使用して、Amazon以外のサイトで支払いができるID決済サービス。Amazon Payが注目されている理由は決済だけでなく、Amazonのアカウント情報を利用することで個別のサイトの会員登録を行わずに購買が完了するからである。*今やオンラインユーザーの大部分はAmazonのアカウントを保有していると言っても過言ではない。そのような高い浸透率を誇るAmazonのIDを用いることで、独自ドメイン店舗の最大のハードルであった会員登録を一気にスキップできるため、購入者にとってもEC事業者にとっても非常に助かるサービスといえる。

実際に購入者はAmazonのアカウントを持っていれば、Amazon Payの利用によって最短2クリックで購入を完了できる。さらに自社ECサイトに導入すれば、決済サービスの信頼性の向上、決済情報入力の簡略化が実現できるだけでなく、購入者の同意を得られればAmazon上に登録した会員情報も利用することが出来るため、新規顧客獲得、コンバージョンアップ、リピート率向上などの効果も期待できるのだ。

Amazon Payは2015年5月に「Amazonログイン&ペイメント」としてサービスを開始、2017年2月にAmazon Payにリニューアルし、現在までに、数千のECサイトで導入されている。

※仕様はそれぞれのサイトや利用しているカートプロバイダによって異なります。