IT分野を中心とした調査・助言を行う英国のGartnerの調査によると、今年のマーケティング予算に占めるテクノロジーの割合は23.8%で、2023年の25.4%から減少。一方、ペイドメディアは25.6%から27.9%に急増した。

 

Gartnerの2024年版CMO Spend Survey(CMO支出調査)によると、マーケティング予算に占めるマーケティングテクノロジーの割合は、2023年の約25.4%から今年は23.8%に低下した。スタッフや代理店への支出も減少したが、ペイドメディアは増加し、昨年の25.6%から2024年には27.9%となった。

 

「マーテック投資の落ち込みは、テクノロジーに対する意欲の鈍化を示すものではなく、IT部門など他の企業リーダーがより主導権を握るようになり、マーテックに対するCMO(最高マーケティング責任者)の影響力が低下していることを反映している」と、Gartner Marketing Practiceのアナリスト副社長兼リサーチ・チーフであるEwan McIntyre氏は、リリースの中で述べている。
「その一方で、CMOは収益拡大を図るため、メディアへの支出を明らかに優先している」と続けた。

 

また、人材派遣への投資も大幅に減少した。

 


気になる理由
 

Gartnerは、テクノロジーと労働力の削減にもかかわらず、AIの利用可能性によって生産性が向上する可能性を示唆している。
「予算の削減は、マーケティングリーダーが以前と同じツールを使って仕事をしている場合にのみ問題となる。CMOがAIを導入した今では、それは当てはまらない」とMcIntyre氏は述べている。
そして、「生成AIは、リソースに制約があるにもかかわらず、生産性の向上を実現している」と続けた。

減少するマーテック予算から、AIを活用したソリューションへの投資が行われることは、一般的でないように思える。ただし、CMOたちは、安価(または無料)でありながら投資に見合った結果をもたらすAIリソースに焦点を当てている可能性がある。

 

デジタルがペイドメディアをリード 

2023年の54.9%から今年は57.1%と、デジタルがペイドメディアの大半を占めた。上位チャネルは、検索(13.6%)、ソーシャル広告(12.2%)、デジタル・ディスプレイ広告(10.7%)。オフラインチャネルでは、イベント・マーケティング(17.1%)、スポンサーシップ(16.4%)、テレビ(16%)が上位を占めた。

 

これは、マーケティング予算全体が2023年の9.1%から、企業全体の売上高の平均7.7%に減少する中で起こった。わずか4年前には、マーケティング予算は売上高の平均11%だった。

 

引用:Gartner(2024年5月)

 

方法論

この調査は、2024年2月から3月にかけて実施された。調査の回答者は、10の異なる業界、企業規模、売上高にわたる北米および北欧・西欧のCMOおよびマーケティングリーダー395名で、回答者の大多数が、年間売上高の中央値が53億ドル以上であると回答している。

 

※当記事は米国メディア「Martech」の5/13公開の記事を翻訳・補足したものです。