売上を伸ばすには、商品画像だけでなく、製品ページ全体を通してより細かくわかりやすい説明を掲載することが必要。
Amazonの一部の消費者製品カテゴリは、とても魅力的ではあるものの、1ブランドのeコマースの業績を左右するほどブランドの売上を支配しているわけではない。ファッションカテゴリもその1つである。2017年の米国内アパレルの総売上高の27.4%は、オンライン販売が占めている。しかし、ファッションカテゴリのオンライン販売シェアの拡大の大部分をけん引しているのは、(Amazonというわけではなく)米国の子ども向けアパレルThe Children’s Placeのような多くのニッチ小売業者や、米国のアンダーウェアブランドMeUndiesのようなD2C(自社で企画製造し、自社運営のECサイトで販売するビジネスモデル。Direct to Consumer)企業である。Amazonももちろん、ファッションカテゴリのシェア拡大を目指し、様々な取り組みを行っている。2018年には、Prime Wardrobeという服や靴、バッグ、時計などを取り寄せて試着し、気に入った商品だけ購入できるサービスの改善と拡大に重点を置いた投資を行ったとともに、Amazon自社製衣料品ブランドの幅を広げた。
しかし、ファッションマーケティング担当者は、Amazon上で最も売れているアパレル商品のページコンテンツは、他のカテゴリで最も売れている製品よりも充実していることに気が付いた。アパレルeコマース業界は、Amazon上でもそれ以外でも競争が激化している。Amazon上のあらゆるカテゴリにおいて現在業績が優秀なバーティカル(ニッチ)ブランドからは、競争の激化に伴いどのように彼らのマーケットプレイスを変化させているのかを学ぶことができるだろう。
この分析の根拠となるデータは、米国のECプラットフォームSalsifyからリリースされた最新のベンチマークレポートからのものだ。レポートでは、2018年5月1日から8月1日までのAmazon上で展開している8万9千のアパレル製品ページを調査。特定の分析結果を明確に導き出すために、「男性」または「女性」の二次的カテゴリと具体的な価格増加に基づいて分類している。各「価格/性別」のセグメント毎に、人気の高い商品(売上高の上位10%にある商品)と人気の低い商品(売上高下位10%にある商品)のページにおける画像点数や商品説明の長さなどについて、その平均指標を割り出した。
様々な使い道をもたらす「A Plus」。売り上げの良いセラーほど頻繁に使用
主な注目点の一つは、どの性別や価格セグメントでも人気が高い商品ページの18%~36%では、AmazonのA Plusコンテンツ(商品紹介機能)を使用しているということである。売上が悪い商品ページでの使用率は、どのセグメントでも4.4%を超えることはなく、多くは1%未満である。ファッションブランドがA Plusを活用することの重要性は、ファッションカテゴリのトップセラー商品のA Plus使用率が、同等価格帯の電気製品のそれよりはるかに高いことからわかるだろう。
一方、A Plusコンテンツを閲覧する際、消費者は時間をかけてページのかなり下の方までスクロールし、商品についてより深く検討しているという点を覚えておかなければならない。売れている商品ページのA Plusコンテンツ使用率が非常に高いということは、(購入検討時の)よりリッチで内容が濃いエクスペリエンスが、消費者のオンライン衣料品購入のきっかけとなっているということを示している。
評価の星の数よりもレビューの内容が重要
消費者は、いかなる商品の購入をする際にも、「モルモット」にされることを望まない。洋服も例外ではない。特に、実店舗と比べてオンラインでは、偽造品や商品ページに掲載されたものとは異なる商品を受け取る可能性が存在する。それゆえに、消費者は信頼性を重要視し、オンライン販売に対する期待はどんどん高まっているのだ。Amazonで売れ行きの良いファッション商品の平均レビュー数は、225.9~613.2件の間である。対して、人気のない商品の平均レビュー数は48.1件を超えず、高額商品では一桁台にとどまる。
売上を良くするために、ブランドは「レビュー数を増やすこと」に注力する必要がある。高い平均レビュー数を除いて、全体的な星の評価は平均4.0前後であっても、多くの数のレビューを獲得していなければ競合他社から抜きん出ることはできない。最も売れているファッション製品の平均評価は4.1~4.2の間だったが、人気のない製品の評価も3.7~4.0とそれほど差はなかった。
多くの画像を掲載することでAmazonでの売上が増加
これまで調査した6つのカテゴリのうち、ファッションは、1枚以上の画像を掲載している高価格帯商品ページが最も多いカテゴリである。つまりブランドは、画面をスクロールしないとすべて見尽くせないほどの多くの商品画像を掲載しなければ、競合他社を上回ることができないのだ。
オンラインでアパレルを購入する際、消費者は男女ともに、ページをスクロールしてより詳細な商品説明項目までをも参考にしているという。Amazon上の売上の良いファッション商品ページは一般的に、画像や簡単な説明書きによって消費者にフィット感や素材感などの詳細を伝えている。そこからスクロールしなければ閲覧できない(下部の)画面領域には、売上に結びつけるためのキャッチコピーと、AmazonのA Plusコンテンツを表示している。
Amazon上で展開しているブランドにとって、消費者の期待を上回り、コンバージョン率と市場での地位を維持することは、非常に価値のあることだ。3年前ですら、レビューやコンテンツの数などにおける消費者のAmazonへの期待は、今日とはかけ離れたものであった。遅れているブランドは、商品画像だけでなく、昨今のアパレルカテゴリの商品のようにページ全体を通じてより充実したコンテンツを提供するような、熟考された手法を検討すべきである。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/7公開の記事を翻訳・補足したものです。