イギリスのオンラインショッピング利用者の多くは、配達の速さよりも無料配達を希望しているという。多くの小売業者は、ユーザーが配達の速さと無料配達を同様に重視していると考えているが、実際には86%のユーザーは無料配達の方が配達の速さよりも大切だと考えているのだ。

 

購買意欲を最も上げる配送オプションは「無料配達」

イギリスの配達プラットフォーム「Temando」が毎年公表するEC業界の配達状況に関する報告書では、1,300人のオンラインショッピング利用者を対象として、購買意欲を上げる配送オプションについて調査。約58%のユーザーは無料配達であれば商品を多く注文すると答え、返品料無料(43%)や翌日配達(33%)を大きく上回った。

 

▲購買意欲を上げる配送オプション

 

いまだに25%のEC事業者は無料配達サービスを提供せず

この調査では、27%の小売業者は購入額に関わらずに無料配達サービスを提供しており、32%は独自に設定した最低購入金額を超えた時にのみ、配達料を無料にしていることもわかった。新規顧客のみを対象にして無料配達サービスを提供する小売業者も11%あるが、25%のEC事業者はプロモーションツールとして無料配達サービスを導入していない。

さらに、54%のオンラインショッピング利用者は無料配達サービスがなければ購入を断念し、無料配達サービスを提供する他のEC事業者で商品を購入した経験があると回答している。

無料配達サービスがあれば購買意欲が増すと回答しているオンラインショッピング利用者が約58%もいることを考えると、無料配達サービスは効果的なプロモーションツールとしてもっと活用されてもおかしくない。

 

EC事業者が多様な配送オプションを提供する必要性

Temandoの共同創立者兼CEOであるCarl Hartmann氏は、「小売業者はたった1つの配送オプションを提供するのではなく、ユーザーのライフスタイルにあう新たな配送手段を考える必要がある。都市部では即日配達、郊外に住む忙しい家族には時間指定配達といったオプションを追加することが考えられるのではないだろうか。」と述べている。

 

日本でも無料配達のニーズは配達スピードよりも高い

配達スピードよりも無料配達を強く希望する傾向は日本と共通している。ニールセンが2017年6月に実施した「オンラインショッピングにおける配送に対する意識調査」では、「一定金額以上購入すると、送料が無料になる」と「早く届かなくても良いので、送料が無料になる」の2つが重視されていた。「とにかく早く届く」を重視している人は40%にとどまり、過半数に満たなかった。ユーザーは、配送スピードよりも、無料配送であることを求めているのだ。

 

<参考>

【日本】EC利用者は、配送の速さより送料を無料にすることを求めている

 

配達の速さと無料配達を同程度に求められていると考えるEC事業者が多い中で、英国でも日本でも実際にユーザーが一番に希望し、購買意欲を大きく左右するのは無料配達であるとの結果が出ている。しかしこのような消費者に対して要望を聞く形のアンケートを鵜呑みにすることは注意も必要だ。消費者への送料を無料にするということは事業者が送料を負担している、ということを意味しており、実際に発生している配達料金をEC事業者が持つのが当然という風潮を加速しかねない危うさも併せ持つ。消費者のニーズをどのように解釈して施策に反映していくべきかはしっかり考えていきたいところだ。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News Europe」の8/4公開の記事を翻訳・補足したものです。