今やローカル検索行動は複数のプラットフォームにまたがっており、消費者は実用的な情報を見つけるために検証のループをたどっている。
長年にわたり、ローカル検索は主にGoogleの圧倒的な存在感によって形作られながら、おおむね一定の流れをたどってきた。つまり、消費者は検索を行い、検索結果を評価し、その中から1つを選び、コンバージョンに至る、という流れだ。
しかし、そのモデルは通用しなくなっている。
米国に本社を置くローカルマーケティング企業のSOCiが米国消費者1,000人以上を対象に実施した、今年で3年目を迎える年次調査「2026年版ローカル・ディスカバリー・インデックス(2026 Local Discovery Index)」によると、消費者はもはや単純で直線的なファネルをたどってはいない。むしろ消費者の行動は、ループをたどっているように見える。あるチャネルで企業を見つけ、別のチャネルで裏付けとなる情報を探し、さらに別のチャネルを使って最終的な判断を下す。こうした一連の行動は、多くの場合、ほんの数分以内に完結する。
この分断を最も如実に物語っているのが、AI検索の台頭である。直近30日以内にローカルビジネス(地域の店舗やサービス事業者など)を探すためにAIツールを利用した消費者の割合は、2025年の9%から2026年の52%へと、1年で約6倍に増加した。
しかし、このデータからは、検索マーケターが留意すべき点も浮かび上がっている。それは、利用状況と信頼度が相反しているということだ。消費者はAIに依存すればするほど、検索やSNSなど他の情報源でダブルチェックしている。そのため、複数のチャネルにまたがるブランド情報の一貫性がこれまで以上に重要になってくる。
ローカルビジネス検索は「ファネル」ではなく「ループ」である
この調査の中心的な発見は、カスタマージャーニーの仕組みを見直す必要があるということだ。消費者は次のように行動している。
・複数のチャネルを横断して地元のビジネスを発見する
- 83%が検索を使用
- 55%がSNSを使用
- 52%がAIを使用
・購入・利用決定前の検証方法
- 99%がレビューを読む
- 43%がSNSで事前にその企業について調べる
・複数のシグナルを組み合わせて判断する
- 72%がレビューに返信する企業を好意的に評価する
- 63%が自分が知りたい質問に回答しなかった企業を利用しなかった

特に重視しなければならない単一の入口もなければ、チャネル間の秩序立った引き継ぎを管理する必要もない。
消費者は、AIが生成した回答を通じてブランドを知ると、最近のレビューで競合他社と比較し、Instagramで見た動画をもとに判断を下すことがある。このような一連のプロセスは、どのような順序で進んでもおかしくない。私たちはこれを「検証ループ」と呼んでいる。あるチャネルで得られた情報を、決定を下す前に他のチャネルの情報と照合して確認する行動である。
このループが存在するのは、完全かつ信頼できる単一のチャネルがないためである。AIは回答が速いが、時に間違える。レビューは信頼性は高いが、消費者が必要とする情報すべてが含まれているとは限らない。検索は網羅的だが、情報がフィルタリングされているわけではない。消費者は、これら複数の情報源を照合することで、その不足を補っている。
注目すべきは、その経路が複雑になるほど、ラストタッチアトリビューション(コンバージョンに至る直前の最後の接点に100%の評価を割り振るマーケティングの成果測定モデル)で説明できる割合が低くなるという点だ。
ローカル検索におけるAIの導入は転換点に達している
3年分のデータから、次のような傾向がはっきりと見て取れる。
・2024年には、ローカルビジネスを探すためにAIを活用する消費者はほとんどいなかった。
・2025年初頭までに、約19%がAI検索を試したことがあった。
・2026年までには、60%がAIを情報発見チャネルとして頻繁に活用し、52%がローカルビジネスの情報収集にAIを活用している。

左:過去30日間にAIを使ってローカルビジネスを検索した消費者の割合
右:AIの利用状況は1年前と比べてどう変化したか
AIの利用状況は、人口層全体で均一ではない。これは、人口統計学的にセグメントを分ける際に重要な点である。
AIを日常的に利用している消費者の割合は、年収5万ドル未満では47%であるのに対し、年収10万ドル以上では76%に上昇している。
世代別に見ると、ミレニアル世代の利用率が63%と最も高く、Z世代(49%)やX世代(48%)を上回っており、ベビーブーマー世代(米国では1946年から1964年生まれ)は11%と大きく後れをとっている。情報収集にAIを使用する可能性が最も高いのは、金銭的な余裕のあるミレニアル世代だ。 消費者はAIを自ら積極的に利用しようとしている(57%がChatGPTを利用し、51%がGeminiを利用)ほか、すでに利用しているツール内で受動的にAIに触れる機会もある。具体的には、51%がGoogleの検索結果の上部に表示されたAIによる回答を目にしたことがあり、35%がGoogleの「AIモード」をクリックした経験がある。また、約3分の1は、Metaのプラットフォームや地図アプリでAI生成コンテンツを目にしたことがある。
ローカル消費者は概して、AIの回答を信用していない
AIの利用は急増しているが、信頼度は高まっていない。
AI利用者のうち、67%が少なくとも1回はローカルビジネスについて、「間違った情報を提供されたことがある」と回答し、30%は「その誤情報によって実際に不都合が生じた」と回答している。過去1年間でAIへの信頼が高まったと答えた消費者はわずか27%であり、これは73%が信頼度の向上を感じていないということを意味する。また、23%は信頼が低下したと回答している。
そのギャップが検証を促進している。AIツールがあるビジネスを推奨した場合、消費者の81%はまず何らかの確認作業を行ってから次のステップに進む。たとえば、レビューのチェック(33%)、そのビジネスのSNSの確認(20%)、検索(16%)、複数の情報源のチェック(12%)などである。AIの推奨を見て、すぐに連絡を取る人はわずか19%にすぎない。
AIの回答で上位に表示されることは必要条件ではあるが、それだけでは不十分だ。AIが生成した回答に表示されても、レビューが乏しい、あるいはSNSが更新されていない企業は、次の段階で顧客を失うリスクがある。AI上の可視性と評判は、別々の問題ではなく、ビジネスを評価する一連のプロセスの異なる段階である。
ソーシャルプラットフォームが検索エンジンとして機能
今や相当数の消費者が、ソーシャルプラットフォームを検索エンジンのように使用している。SNSを利用してローカルビジネスを探す人の割合は、2024年の17%から2026年には55%に上昇し、43%の人が訪問前にその場所の雰囲気を事前に確認するためにSNSを利用している。ソーシャル検索を利用するユーザーの間では、Facebook(73%)とYouTube(69%)が上位を占め、Instagram(67%)やTikTok(50%)が続いている。

ローカルビジネス発見の場となるSNS
注目すべきは、利用率の高いプラットフォームは最新のものではなく、歴史が長く、リーチが広いものだという点だ。YouTubeが2位となったことは、その場所の雰囲気を伝える動画や、サービス提供者が専門性を示す動画に対する確かな需要があることを示唆している。TikTokはソーシャル検索利用者の半数に利用されているものの、ユーザーは若年層に偏っている。Z世代がFacebookよりも好んで利用している唯一のプラットフォームがこのTikTokである。
SNSはコンバージョンにもつながっている。59%が、SNSの投稿や動画がきっかけでローカルビジネスの顧客になったと回答している。この割合はミレニアル世代では70%に上昇し、X世代(54%)やZ世代(52%)でも半数を超えている一方、ベビーブーマー世代では22%にとどまっている。
レビューは依然として判断の関門。返信が結果を変える
AIやSNSによって発見のエコシステムは拡大したが、候補を絞り込む際のフィルターとしての役割を果たしているのは依然としてレビューだ。レビューは、いわばローカル版のReddit(掲示板)であり、ユーザー間で容易に利用できる最大の口コミ情報源である。
消費者の99%は、初めて店舗を訪れる前に、「少なくとも何度か」は口コミを確認しており、68%は「常に」、あるいは「たいてい」口コミを確認している。それは当然だ。評判は単なるランキングの指標ではなく、むしろ候補として残るかどうかの関門に近いものだからだ。
変わったのは、消費者が単に星の数だけでなく、エンゲージメントを高く評価するようになったという点だ。72%が、レビューに返信するビジネスを選ぶ傾向が強く、これは2025年の65%から増加している。また、65%の人が、否定的なレビューに対して有益な回答があれば、そのビジネスを再び利用する可能性が高いと回答しており、87%はその返信を受けて、レビューを肯定的なものに書き直すことを検討すると答えている。
評判に対する感度は、所得と連動している。レビューを「常に読む」、あるいは「ほとんどの場合読む」と回答した割合は、年収5万ドル未満の層では63%だが、年収10万ドル以上の層では76%へと上昇する。また、レビューに返信してくれる企業を好む割合も、同じ所得層の比較で62%から80%へと上昇している。高価値の顧客ほど、評判を重視する傾向が強い。
業界によってカスタマージャーニーは異なる
消費者がどこから情報収集を始めるか、そして選択の決め手が何かは、いずれも業界によって違いがある。
今回調査したすべてのカテゴリで「検索」が最も利用されているが、2位はカテゴリによって異なる。
・AIから探し始める人が最も多いのは、ヘルスケア分野(21%)と食料品分野(19%)だ。
・SNSは、意外にも金融サービス(20%)で多く利用されている。
・地図アプリは燃料・自動車関連(25%)の検索において最も一般的な入り口となっている。これは、こうした検索が必要に迫られて行われることが多く、場所に強く結び付いていることを考えれば、納得できる結果である。

カテゴリ別検索開始チャネル
意思決定の基準もカテゴリごとに異なる。
・レビューや口コミは、飲食店(41%)から医療・ヘルスケア(38%)に至るまで、8カテゴリ中5つで意志決定の最重要要素となっている。
・ビジュアルコンテンツが住宅探し(43%)における最大の意思決定要因である。一方、食料品(37%)やガソリン(36%)の検索では、営業時間や立地といった実用的な情報が最も重視されている。
・金融サービス業界では、ブランドの信頼性が最も重要視されている(34%)。
画一的な可視化向上戦略では、各カテゴリの重視する要素に対応できない
検索マーケターへの提言
基本的に、こうしたシグナルを把握しておくことは、マーケティング戦略を現代の消費者の行動に合わせていく上で重要だ。これを完璧に測定できる調査など存在しないが、本調査の報告書「ローカル・ディスカバリー・インデックス」で見られる傾向は、実際の施策に反映するのに十分な説得力を持っている。
・ジャーニーを理解する:
現在の消費者は検索からAI、SNSへと行き来して情報収集しているため、ブランドは主要なすべてのチャネルで存在感を示さなければならない。
・AIに対する信頼のギャップを解消する:
検索およびSNSにおいて、AIによる回答を補強する、正確かつ一貫性のあるシグナルを確立する。
・ローカルチャネルとしてSNSを捉える:
消費者が求めているのは、全国規模や地域規模のマーケティングではなく、消費者の関心を惹き、情報を提供してくれる、地域に根差したSNS上の存在感である。
・評判は、ローカルレビューを1件ずつ積み重ねて築かれていく:
ローカルビジネスに寄せられたレビューは、AIによる可視性や消費者の選択に影響を与え、それに返信することでコンバージョン率が向上する。
・業界ごとの文脈によって、対応策も変わる:
医療機関を受診するかどうかを決める要素は、食料品の買い出しや住宅の内見を決める要素とは異なる。全業種の平均値よりも、カテゴリごとのベンチマークを重視すべきである。
調査方法
SOCiは、「2026年版ローカル・ディスカバリー・インデックス」の調査として、1,000人以上の米国消費者を対象にアンケートを実施した。年齢(中央値39歳)、性別(男女ほぼ50対50)、世帯収入(中央値約8万1,600ドル)について、米国の人口構成を反映するよう結果に重み付けを行っている。回答者に対し、検索、SNS、AI、地図、レビューなどを通じて、ローカルビジネスをどのように発見し、評価し、選択しているかについて質問した。2024年および2025年の数値は、以前「消費者行動指数(Consumer Behavior Index)」として公表されていた過去2回の年次報告書に基づいている。数値は小数点以下を四捨五入している。