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3大ECモール徹底比較 Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング

3大ECモール徹底比較 Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング

トレンド
2023/12/01

3大ECモール徹底比較 Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング

 

多くの消費者が日々利用し、日本のEC市場にしっかりと根付いてきた、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの3大モール。利用はしたことあるが、いざ自分がそこに出店しようと思った場合、手続きや初期費用などの情報はある程度調べたら分かるものの、複雑でそれぞれの特徴や気を付けるべき点などが分かりにくい部分も多い。そこで、今回は代表的なECモールであるAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングを取り上げ、それぞれの機能や料金を比較しつつ、それらを利用するにあたり知っておきたい特徴や注意点について解説していく。

 

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ECモールを活用するメリットとデメリット

 

前提として、3つのECモール全てに当てはまるメリットとデメリットを紹介する。3モールとも知名度が高く出品者も多いサイトであることから、自社のECサイトを設ける場合と比べ初期費用や効果の面で優れている点があるが、その反面、注意しなければならない点が存在する。

 

ECモールのメリットは主に3点挙げられる。

 

集客力

大手のECモールはユーザーの認知度も高く、それらのモールを気に入っているユーザーも多く抱えているため、そもそもそれらのモールに行ってから検索するユーザーも多い。また、Googleなどの検索エンジンで商品を検索した場合でも、大手のECモールは上位に表示されるケースが多いため、ユーザーの目にとまる機会は必然的に増加する。そのため、自社のECサイトと比較して圧倒的に集客力が高い。もちろんそれぞれのECモール内での類似商品との競争はあるものの、それでも、集客力は非常に高い。

 

信頼性

ECサイトで商品を購入する際に消費者は、商品の品質や決済、個人情報の取り扱いなどの面で、サイトの信頼性を重視することが多い。多くのECモールは出店時に審査があり、大手ECモールの審査基準をクリアして出品しているショップは、消費者の信頼を得やすくなる。また何かトラブルが合った場合にも、ECモール側がある程度リスクを緩和してくれるのでは、と言う消費者の意識もあり、モールでの購入は多くの消費者は安心している。知名度の低い企業のECサイトでの購入と比較した場合、その信頼性はとても高く、購入まで結びつきやすくなる。

 

サポート

自らECサイトを開設する場合、独自のアカウントの取得、サーバーの選定やサイト構築などが必要となる。しかし、ECモールに出店する場合は、既に準備されているアカウント申請のルールに沿って出店の手続きを行い、テンプレートに沿って情報を入力すれば、出品を済ませることが出来ることが多い。また、売上向上のための相談を、担当者とすることができるECモールもある。そのため、ECモールを活用する場合、自社のECサイトを開設する場合と比較すると、それらの有人無人を問わないサポートによって、サイトの維持管理や運営が容易になる。

 

一方、ECモールのデメリットは主に4点挙げられる。

 

オリジナリティ

ECモールでは、商品紹介などの主要ページのデザインが固定されており、決められた項目を入力する形で出品することが多く、自社のECサイトを構築する場合と比較して販売を始めることが容易である。その反面、出品者のカスタマイズできる範囲は小さくなりがちで、オリジナリティを出しにくい。そのため、ECモールでは、リピーターやファンの獲得も難しく、コンセプトや世界観をユーザーに伝え、他社との差別化やブランディングを行うことが重要になるビジネスには、ECモールよりも自社のECサイトの方が適していることがある。

 

顧客情報

自社のECサイトで商品を販売する場合、過去の購入者のユーザー情報を活用してマーケティングを行うことが一般的であり、リピーターを獲得する上で必須の施策となる。しかし、ECモールに商品を出品する場合、出品者が購入者の詳細な情報を取得し、利用することができない場合がある。そのため、ECモールでは、顧客情報を踏まえたマーケティングを行い、リピーターを獲得することが難しい。

 

価格競争

ECモールには、同一カテゴリーの商品や出品者が多く存在する。また、価格や機能、購入者の評価などがわかりやすく表示されているケースがほとんどだ。そのため、価格競争が起こりやすく、類似する商品と比べて魅力的な価格を設定しなければ、商品が売れなくなってしまう。これは自社のECサイトで商品を販売する際には起こりにくく、価格を下げることが難しい事業者は、大規模なECモールでは不利になる。

 

費用

ECモールを利用する場合、システム開発などにかかる初期費用は抑えられるが、サイトを利用するための料金や販売手数料を支払う必要がある。また、売上が大きくなるほど、それらの負担が大きくなるサイトもある。一方、自社のECサイトを開設する場合、アカウントの取得、サーバーの選定やサイト構築などで初期費用がECモールよりも多く発生するものの、以降の売上は全て自社のものとなる。そのため、ECモールへの出品と自社サイトの開設にかかる費用を比較する場合、長期的な視点で費用を見積もる必要がある。

 

 

ECモールの2種類の型(タイプ)

 

ECモールには、テナント型とマーケットプレイス型の二つの型(タイプ)があり、それぞれ特徴がある。

テナント型は、モール内に自らの店舗のサイトを開くことができる形式だ。百貨店をイメージしてもらえればいいだろう。店舗毎にオリジナリティを出すことが出来るため、消費者から見ると出品者がどの店舗か認知しやすい。楽天市場とYahoo!ショッピングがこれに該当する。

マーケットプレイス型は、ECモール内に店舗の存在感はほぼなく、商品がひたすら陳列されている形態だ。スーパーマーケットやドラッグストアをイメージしてもらえればいいだろう。マーケットプレイス型では、プラットフォームに商品を登録し出品したり、運営者に販売自体を委託する形態をとる。出品者の存在感が薄くなる反面、販売を始めることは比較的ハードルは低い。Amazonがこれに該当する。

 

 

それでは、日本国内の3大ECモールについて、機能や料金などを比較し、出品者にとってのメリットやデメリット、特徴を見ていきたい。これまでに紹介したECモール全体の長所や短所、テナント型とマーケットプレイス型の特徴がそのまま当てはまる場合もあれば、欠点を解消する試みがなされていることもある。

 

 

Amazonの特徴

 

Amazonは現時点で日本国内最大の流通額を誇るECモールとなっている。またグローバルで見ても、世界最大の流通額を誇っている、世界中で最も知名度の高いECモールと言って良いだろう。マーケットプレイス型のため、出品が容易でなとが特徴である一方、独自の商品管理を行っており、他の同一・類似商品の出品者との競争が非常に熾烈になる。そのため、多くの商品を展開し、低価格で販売できる店舗などにオススメだ。

 

基本情報

Amazonは、マーケットプレイス型のECモールであり、国内での流通総額が約6兆7,937億円、出店数が約30万店、利用者数が約4,729万人となっている。Amazonに出品する場合、毎月100~4,900円の固定料金と、売上に対して約8~15%の販売手数料がかかる。

 

Amazonに関連する調査データ

Amazonと楽天とYahoo!ショッピングの利用率利用頻度についての調査、同じくECとアプリの利用率についての調査、Amazon Prime感謝祭のユーザー動向、Amazonの出品にかかるコストの調査、ユーザーのAmazonでの検索についての調査もそれぞれ参考にされたい。

 

出店方法

Amazonは、商品の出品の手続きが他のサイトと比べ容易である。「商品詳細ページ」の各項目の配置やデザインはほぼ決められており、出品者向けページで、出品者は商品のタイトル、画像、バリエーション、仕様、詳細説明などを登録するだけでOKだ。また、すでに他の出品者が同一の商品を登録している場合、既存の出品情報を利用することになっている。さらに、他の二つのECモールでは、本人確認や資格確認に加え、商品ページや配送等の表示が正しく作成されているかの審査を受けなければ販売を開始することができないが、Amazonは本人確認と資格確認のみが課されることになっている。そのため、商品を出品するために必要な手続きは、他のサイトと比較してハードルが低い。

 

カスタマイズ性

一方で商品詳細ページをカスタマイズすることは難しく、商品情報のページは他のECモールよりシンプルになる。また、同一の商品であれば同一の出品情報を使用するため、店舗や出品者の特徴は認識されにくくなる。そのため、Amazonでは、同一の商品を取り扱っている事業者間では、出品者毎の個性を出すことが難しく、価格や配送スピードなどでのみ差が付くことになる。実際に、出品者向けページでも、売上を伸ばすために他の出品者に負けない価格を設定することが推奨されている。また、ベストセラーやおすすめのマークも商品ごとに付与されるため、それらのマークが付与されたとしても、同一の商品を出品している店舗と価格や配送スピードで競合することになる。そのため、Amazonに出品する場合は、価格などの競争で他の出品者に対抗できる状態であることが必須となる。

 

サポート

Amazonは米国を中心として全世界で販売網を構築しているため、日本の出品者も海外のユーザーに商品を提供することができる。出品者向けページによれば、他のECモールよりも積極的に海外販売を推奨しており、一つの出品者アカウントで各国のAmazonのサイトで販売できることや、海外への発送をAmazonに委託することで、業務を効率化できる。それゆえ、Amazonは、他のECモールと比べ、海外のユーザーに対して商品を販売するためのサポートは手厚い。

 

販促方法

出品者向けページによれば、ユーサーはAmazonプライムのマークのついた商品、すなわち配送スピードの速い商品を好んで購入する傾向があるため、Amazonプライムのマークを取得することを推奨している。マークを取得するためには、Amazonの配送を委託できるサービス(フルフィルメントby Amazon:FBA)を利用するか、厳しい条件を満たすように自社で配送を行う必要がある。Amazon出品大学(公式の販促方法の紹介)によれば、追跡可能率94%以上、期日内配送率96%以上、出荷前キャンセル率1%未満などの条件が課される。Amazonに配送を委託するサービスを選択すれば、厳格な要件に沿って配送作業を行う手間を省きつつ、Amazon プライムを利用している多くのユーザーに商品を購入してもらうことができる。そのため、Amazonに出品する場合、FBAを活用しつつ、Amazonプライムマークを取得することで、効率よく売上を伸ばすことも可能である。

 

コスト

Amazonの販売手数料は、品目ごとに、概ね8~15%の割合で設定されている。例えば、AV機器や携帯電話、カメラ、パソコン、周辺機器、医薬品、化粧品、スポーツ用品、カー用品、おもちゃ、家電は手数料が8または10%となっており、本、DVD、PCソフト、ゲーム、家具、文房具は15%となっている。そのため、Amazonを利用する場合、他社と同等の手数料となる商品もあればやや割高になる商品もあるため、自らにとって有利な手数料となる品目に絞って出品することで、手数料を抑えることも可能である。

 

このように、Amazonは出品が容易であり、Amazonの配送サービスを利用しつつ、世界規模の市場にアプローチすることができる一方、価格や配送スピードでユーザーに訴求する必要があるため、海外を含め大規模に展開したい店舗や、他に商品を卸していないメーカー、更に効率的な運営を目指している店舗などにオススメだ。

 

 

楽天市場の特徴

 

楽天市場は、長らく日本のEC市場を牽引してきたECモールで、2019年までは国内で最大の流通規模を誇っていた。Amazon等と比較すると、日本らしい作りになっており、店舗のオリジナリティを出しやすいこと、出品者へのサポートが手厚いことが強みである。そのため、ブランディングを大切にしたい店舗などにオススメだ。

 

基本情報

楽天市場は、テナント型のECモールであり、国内での流通総額が5兆6,301億円、出店数が約5万7千店、利用者数が約5,104万人となっている。楽天市場に出店する場合、毎月19,500~100,000円の固定料金と、売上に対して合計で約6~11%の手数料がかかる。

 

楽天市場の最新情報はこちら

楽天とAmazonとYahoo!ショッピングの利用率利用頻度についての調査、同じくECとアプリの利用率についての調査、楽天市場のヒット商品について、楽天市場の配送や決済に関する取り組みについてもそれぞれ参考にされたい。

 

出店方法

楽天に出店する場合、出店のための手続きは他のモールと比較してややハードルが高い。

まず、出店の申込みの際に、個人事業主であれば、実印での押印と印鑑証明書の提出に加え、実店舗の写真を提出することが要求される。法人事業主に対し、登記事項証明書の提出が求められている点は他のECモールと同様であるが、個人事業主が実店舗を構えていなければ出店できない使用になっているのは、楽天市場のみである。そのため、楽天市場の出店審査は他のモールより厳しいが、その分、楽天市場に出店している事業者の信頼性は高いと言える。

また、商品や店舗のページ作成や配送等の事項の表示について、販売開始前に審査を受けなければならない。そのため、Amazonと比較した場合、販売開始までに行わなければならない作業が多く、時間もかかる。ただし、販売開始前の段階からコンサルタントによるアドバイスを受けることができるため、EC初心者でも挑戦することは可能だ。

 

カスタマイズ性

楽天市場は、出店案内において、他のECモールと比べ店舗のファンやリピーターを作りやすいことを強調している。また、商品の紹介ページとは別に店舗のページを作成することもでき、ページ設定の自由度も高い。商品を紹介するページでは、記載する情報の量や項目、ページのデザインを調整できる。また、無料サービス「楽天GOLD」を使用すると、HTMLを使用して店舗のページを、より自由度高く作成できる。これらの機能により工夫を凝らしたページを作成すれば、顧客に出品者を認識させることができるため、店舗のブランディングがある程度可能になっている。その他にも、楽天市場は、メールマガジンやクーポンの配信、SNSの連携などの機能によりユーザーに訴求することができる。

 

サポート

楽天市場は、他のECモールと比べ、EC初心者に対するサポート体制が充実している。公式サイトの紹介ページによれば、開店準備時にアドバイスを行うコンサルタントの他、出店後も一つの店舗につき一人の「ECコンサルタント」がつく。店舗の売上によって、コンサルタントが行うサポートは変化するものの、情報提供や販売戦略の提案などを依頼することが可能である。また、各地の支社において、対面での相談にも対応している。なお、店舗運営に役立つ動画コンテンツの提供やウェビナー、電話、メールでの問い合わせなどのサービスは他社も行っているものの、販売促進のための企画提案や対面での相談に対応しているのは、三つのECモールのうち楽天市場のみである。そのため、楽天市場ではEC初心者であっても、売上の向上を狙うことができる。

また、楽天は、新事業「楽天スーパーロジスティクス」として、楽天市場の商品の配送を代行するサービスを行っている。配送を委託することで、出店者において配送の費用や手間を省くことができるほか、配送スピードの基準を満たした店舗に付与されるマークを自動的に取得できるので、競争力の向上が期待できる。

 

販促方法

楽天は、IDやポイントを自社のさまざまなサービスで利用できる仕組みを構築しており、それらのユーザーが楽天市場を訪れることも多い。楽天経済圏の紹介では、楽天カードや楽天銀行、楽天モバイルで貯めたポイントを楽天市場での買い物に利用することを推奨している。また、「楽天ママ割」により、子どものいる家庭向けのポイント付与なども行っている。さらに、「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」などのイベントでポイントを貯めることも推奨。これらのキャンペーンに合わせてポイント付与率の変更や割引、ポイントの追加付与の対象となるような価格設定(1,000円以上)、検索で上位に表示させるような配送等の設定を行うと、売上を伸ばしやすい。それゆえ、楽天グループの他のサービスやセールの利用によりでお得に買い物をしたいユーザー、とりわけ主婦、主夫のユーザーが楽天市場を利用することが多く、楽天市場では、そのようなユーザーへの訴求が成功する可能性が高い。

 

コスト

他の二つのECモールより出店時にかかる費用が高くなる点は、注意が必要である。出店プラン・費用の紹介によれば、初期費用や、売上高に関わらず徴収される費用(月額出店料)が存在する。初期費用は他社には存在せず、固定の月額費用も他社より高額である。ただし、月額出店料の額と販売手数料の割合は、プランによって異なるため、売上等の規模に合わせて最適なプランを選択できるようになっている。また、販売手数料と決済手数料の割合は、それらを設定しているECモールと比較すると、低くなっている。そのため、楽天市場では、販売を始める際にかかる費用に注意する必要がある。

 

それゆえ、商品のこだわりや店舗のブランディングを大切にしたい方、あるいは、楽天のさまざまなサービスのユーザーに訴求することで売上を伸ばし、出店費用を負担できる見込みのある方には、楽天市場がオススメだ。

 

 

Yahoo!ショッピングの特徴

 

Yahoo!ショッピングは、日本最大のポータルサイトであるYahoo!Japanのサイト内に存在するECモールだ。国内では楽天市場よりも後発のため、流通総額なども楽天市場の後塵を拝している。Yahoo!ショッピングの特徴は、出店費用を抑えつつも、売上を伸ばすためのサポートを受けられることである。また、PayPayやYahoo!のユーザーを取り込むことで、顧客を増やすことも可能である。そのため、これからeコマースを軌道に乗せたい店舗などにオススメだ。

 

基本情報

Yahoo!ショッピングは、テナント型のECモールであり、国内での流通総額が1兆7,547億円、出店数が約120万店、利用者数が約2,288万人となっている。Yahoo!ショッピングに出品する場合、売上に対して合計約5~7%の販売手数料がかかる。

 

Yahoo!ショッピングの最新情報はこちら

Yahoo!ショッピングとAmazonと楽天の利用率利用頻度についての調査、同じくECとアプリの利用率についての調査、Yahoo!ショッピングとPayPayモールの合併についてもそれぞれ参考にされたい。

 

出店方法

申込み方法の紹介によれば、法人であれば登記事項証明書と納税証明書等、代表者の本人確認書類の提出が求められ、保人事業主であれば住所がわかる書類と本人確認書類の提出が求められる。実店舗が存在していなくても出店が可能であるため、楽天市場と比較すると、手続きは容易である。

ただ、出店時の審査もあり、約款やガイドラインに沿った出店を求めている。詳細な審査内容等は公表していないため、出店者においてそれらのルールをよく確認する必要がある。

 

カスタマイズ性

Yahoo!ショッピングでは、楽天市場と同様、出店時のページ設定の自由度が高い。機能紹介では、注文ボタンのないページ(カスタムページ)を自由に設計し使用することができることが示されている。店舗のトップページや商品のページのレイアウトはカスタマイズの余地が小さいが、その分初心者であっても設定は可能である。

また、Yahoo!ショッピングは、楽天市場と同様に、リピーターの獲得や関心を持ったユーザーへの訴求のための機能が充実している。Yahoo!ショッピング内の店舗のページに、外部リンクを設置できるため、顧客を自社サイトに誘導することも可能である。さらに、メールマガジンやクーポンの配信の機能も備えている。そのため、顧客の獲得、出店者がさまざまな方法で顧客を獲得、保持できるようになっている。

 

サポート

Yahoo!ショッピングは、EC初心者に対するサポートも積極的に行っている。ヘルプデスクがメールや電話での相談を受け付けているほか、売上などを分析するツール、SEO対策を代行する有料サービスなども使用できる。なお、売上がジャンルの中で10位以内であれば、担当者からの提案などを受けられることがある。

 

販促方法

Yahoo!ショッピングは、Yahoo!やPayPay、ZOZO、LINEなどを傘下に収めるZホールディングスが運営しているため、それらのサービスを利用しているユーザーに訴求するためのさまざまなキャンペーンを行っている。例えば、PayPayのIDをYahoo!ショッピングと連携させ、決済にPayPayを利用することや、PayPayポイントを貯めることができる。特に、「超PayPay祭」は積極的に広告を行っており、期間中に買い物をするユーザーも増えてきている。また、Y!モバイルなどの回線の契約者が買い物をすると、PayPayポイントを通常より多く付与するキャンペーンも行っている。そのため、Yahoo!ショッピングに出店する場合、系列会社のサービスに登録しているユーザーに訴求できるよう、時期などを考慮して広告の掲載や割引などを行うと、売上を伸ばすことができる。

また、楽天市場やAmazonと同様に、配送の品質が高い店舗や商品にマークを付与するシステム(優良配送)が存在する。配送を委託できるサービスはなく、出店者が自ら配送の手配を行う必要があるが、マークを取得することで、商品を検索結果で上位に表示させることができる。

 

コスト

Yahoo!ショッピングは、出店時の初期費用や固定費用、売上に応じた販売手数料がないことを最大のアピールポイントとしている。公式サイトに掲載されている活用事例では、ネットショップに不慣れな店舗や、現在の売上の規模からECモールに出店費用を支払うことが困難な店舗が取り上げられている。そのため、出店費用や手数料がないという特徴は、売上の変動が大きい店舗や、現状の規模が小さい店舗にとって、特に好都合だろう。

しかし、売上に応じて徴収される費用として決済手数料が存在することは、認識しておく必要がある。費用一覧によれば、Yahoo!ショッピングの決済手数料は、決済方法によって約3~4.5%となっている。ただし、PayPayの残高もしくはクレジットによる支払い、またはYahoo!ショッピング商品券による決済を使用すれば、決済手数料の割合は最も低い3%となる。そのため、PayPayやYahoo!が行うキャンペーンを活用するなど、PayPayやYahoo!のサービスのユーザーが利用しやすいようにすれば、購入者を増やし、費用も抑えられることになる。

その他、商品価格の数%の広告費を支払うことで検索結果の上位に表示させる機能も存在しており、売上上位の店舗はこれを利用していることが多い。売上上位を目指す場合は、この広告費も費用の計算に入れておく必要がある。

 

それゆえ、Yahoo!ショピングは、少ない費用で出店し、PayPayやYahoo!のキャンペーンなどを活用して顧客を増やすことができるため、現状の売上の規模が小さいものの、これからeコマースを軌道に乗せたいと思っている方にオススメだ。

 

 

それぞれのモールに向いている店舗

 

それぞれのモールの特徴について紹介してきたが、それぞれを比較した際に、どのような特徴があるのかを改めて説明していく。

ここまで紹介してきた特徴の5つの軸である、出店の容易さ、カスタマイズ性、サポート、販売促進方法、コストについてレーダーチャートで比較する。

 

※この図表もダウンロードデータに含まれます。

 

このように、3つのECモールそれぞれ、一長一短があることがわかるだろう。

 

その上で、多くのECサイトの出店や運営を支援してきている、エンパワーショップ株式会社のECコンサルタントの目線から、それぞれのECモールに向いている事業者はどのような人かを説明していく。

 

Amazonに向いている事業者

Amazonでは、手数料の割合が比較的高く、ユーザーは価格などの商品力で商品を比較しがちである。しかし、他のモールよりも国内の流通規模が大きく、海外の顧客に商品を販売できるのはAmazonのみである。

そのため、Amazonは海外を含め大規模に展開し、効率よく商品を販売したい会社に向いている。例えば、大量に商品を生産したり仕入れたりすることができる大規模なメーカーや卸売業者は、価格において優位に立つことができるので、既に他の業者が販売している場合でも、Amazonでは大きな売上を期待することができる。また、Amazonのユーザー数や流通規模の大きさのため、すでに消費者に認知されている商品やブランドは、Amazonでは高い売上を期待できる。国内外への配送をAmazonに委託できるサービスを利用すれば、在庫の管理や輸送を自社で行うコストを削減することができるため、多くの商品を販売する事業者にとって、費用を上回るメリットがある。そのため、Amazonに向いている事業者は、大量の商品をコストを削減しつつ低価格で販売できる事業者や、Amazon以外のメディアでユーザーの認知を獲得している事業者になる。

 

楽天市場に向いている事業者

楽天市場は、各種の手数料が存在し、ページ設定の自由度が高い分、紹介ページなどを作成する作業が発生する。しかし、店舗や商品のオリジナリティをアピールする機能が他のECモールより充実しており、出店者へのサポートが特に手厚いことが強みである。また、系列の会社のサービスとの併用でお得に買い物をしたいユーザーが多く訪れることも特徴だ。

そのため、現状の売上の規模が比較的小さくこれからeコマースを拡大しようとしている方や、商品を販売する際の価格を下げることが難しい方、更に出店コストを支払うことのできる資金力があり、大きな売上を目指したい事業者に向いている。

 

Yahoo!ショッピングに向いている事業者

Yahoo!ショッピングは、徴収される手数料の割合の合計が比較的低く、売上を伸ばすためのサポートも比較的充実している。また、系列の会社のサービスとの併用でお得に買い物をしたいユーザーが多く訪れることも特徴である。

そのため、現状の売上の規模が比較的小さくこれからeコマースを拡大しようとしている方や、商品を販売する際の価格を下げることが難しい方、出店費用がかからず、コストの面で優れているYahoo!ショッピングは、特に費用を抑えたい方が手探りでECを始めたい場合にお勧めしたい。