マーテックへの投資を成功させたいだろうか?ここにマーテックスタック導入のためのシンプルなアプローチを紹介しよう。

 

我々は皆、独立したコンサルタントやギグワーカーになるために、あるいはもっと重要な何かを始めるために、新たな道を踏み出した人を知っている。また、我々の多くは、ドットコムブームの時代に就職していたような有望な(あるいはあまり有望ではない)スタートアップ企業の一員でもあった。

 

いずれにせよ、これらのベンチャー企業が失敗した主な理由は、ほぼすべての場合において、以下の通りであったことに同意してもらえることだろう。

 

・資金がない

・雇用を誤っている

・計画力がない

・実行力が極端にない

 

こうした失敗は、私が起業したときにも起こった。素晴らしい計画と優れたチームがありながら、資金不足のためにビジネスが成功する可能性は消え去ってしまったのだ。

 

もしこれに心当たりがあるのであれば、あなたはマーケティングテクノロジースタックを構築しようとしたときに同様の苦労を経験した多くのマーケターの一人であるかもしれない。直面するかもしれない障害に対する解決策を急いで見つけようとして、売りつけられたものを慌てて購入してしまうのだ。

 

これはマジックではなく、マーテックだ

マーテックソリューションの最適な選択、導入や使用、あるいは既存のエコシステムへの統合について、現実的な計画がない場合に問題が生じ始める。さらに、ポイントソリューションやプラットフォームの立ち上げ、運用、維持に必要な人員が分からず、またそれらのリソースに対する正式なトレーニングがないという点も問題となる。そして数か月後、購入した素晴らしいマーテックが、あなたが必要とするもの、あるいは期待したものを提供できない場合、あなたはそれをベンダーやチームのせいにするのだ。

 

Sundial Capital Research(投資や市場調査を行う米国企業)の最高情報責任者(CIO)であるEric Brown科学博士は次のように語っている。

 

「100社ほどのマーテックベンダーが、必要とすることを実行するプラットフォームを販売している。あなたは時間をかけて綿密な選定作業を行うだろうか、それとも『現在』のニーズと予算に合った最初のものを見つけたら『購入』ボタンを押すだろうか?私の経験では、人々は後者を選択し、最初に目にした、必要なことを実行してくれるものを選ぶ。彼らは、そのプラットフォームがより広範な組織のエコシステムにどのように統合されるか、そしてそのソリューションが『明日』の問題を解決するのかについてほとんどあるいは全く考えることなく、『今』抱えている問題の解決策を見出す」。

 

秘策

何も知らないマーケターに自社商品を押し付けようとする多くのベンダーを非難するのは簡単だが、現実的な解決策もある。常に機能するマーテックスタックを選択、導入し、投資に対するリターンをも得るための秘策があるのだ。

 

B2Bマーテックの支出は、2021年末までに66億ドルに達し、2024年には85億ドルを超えると予想されている。また、別の調査によると、2021年の全世界におけるマーテック産業全体の規模は約3,450億ドルと推定されるという。明らかに、最新のマーケティング問題に対する解決策を提案するベンダーには事欠かない。そしてもちろん、それは課題の一部でもある。つまり、選択肢があまりにも多すぎるのだ。

 

計画を立てることから始まる

最初のステップは、顧客をつなげ、コンバージョンし、維持するために必要と思われるマーケティングテクノロジーについてしっかりとした計画を立てることだ。これは、他のツールやプラットフォームではなく、計画である。したがって、小切手帳を片付け、マーテックベンダーとの予定をキャンセルしておこう。

 

しっかりとした計画を立てるには、ビジネス、マーケティング、カスタマーエクスペリエンス、テクノロジーに関する短期的・長期的な目標を文書化し、それらを連携させる必要がある。この作業は、適切なメンバーを集めて数時間のホワイトボードセッションを行うのと同じくらい簡単なことだろう。最低でも、マーケティング、IT、営業の責任者とその中心的役割を担うメンバーが必要だ。人数は6、7人を超えないようにしよう。他の人を含める場合は、このプロセスに測定可能な価値を提供する人でなければならない。

 

連携が必要

ワーキンググループが決まったら、問題と望ましい結果を明確にしよう。それは「解決策」ではないことに注意してほしい。「望ましい結果」だ。特定のマーテックツールやプラットフォームを選択、導入、統合、使用した結果としての課題と期待されることを文書化することで、目標がより明確になる。

 

他のビジネスユニットから利害関係者を集め、ビジネスを推進するメンバーやプロセス、そして見込み客や顧客向けに作成し、自身でも使用するコンテンツについて議論し、文書化するのだ。その間に、マーケティングとテクノロジーのリソースによる小規模で集中的なチームは、デプロイメント(展開)、統合、利用の有効性を含め、現行のマーケティングテクノロジースタックについて全面的な監査を実施する必要がある。

 

マーテックの成功に向けた戦略とロードマップの策定

チームは、マーテックスタックのすべてのコンポーネントに関する総所有コスト(TCO:機器やソフトウェア、システムなどの入手、導入から使用終了、廃棄に至るまでにかかる費用の総額)とともに、あらゆる乖離を文書化し、確認する必要がある。この分析により、マーテックスタックのフットプリントを増やす(または減らす)決定に対する予測利益が得られる。

 

また、これはファーストパーティデータを収集・保存するすべてのプラットフォーム、サービス、ツールの一覧を作成し、その構造、定性的な精度、エンゲージメントを深めてコンバージョンを促進するためのツールとしての有用性を判断する絶好の機会でもある。

 

この時点で、このジャーニーを始める前よりも多くのデータとインサイトを得ることで、マーテックの成功に向けた戦略とロードマップを効果的に策定することができる。この作業には、適切なリソースの決定、適切な予算の策定、そして適切な実行計画の策定が含まれる。

 

複雑だが、不可能ではない

マーテックスタックの構築は複雑な作業だ。ここでは、マーテックスタックの導入や最適化を成功させるための簡略化されたアプローチを伝えようとしてきたが、やり方は人それぞれ異なるかもしれない。リーダーの中には、自分でやることを選択する人もいれば、マーテックのプロを雇って指導してもらいたいという人もいるだろう。

 

マーテックへの投資で成功(とROI)を確実に手に入れるためには、マーテックソリューションを最適に選択、導入、統合、使用するための計画が必要だ。さらに、現実的な予算、気を引き締めて物事を成し遂げられる経験豊富なチーム、そしてマーテック戦略を活性化するための実行計画も必要だろう。あなたの状況に合ったアプローチが何であれ、ここで紹介したアプローチは組織の大小にかかわらず有効なものであり、あなたにとっても役立つだろう。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の9/23公開の記事を翻訳・補足したものです。