サイト表示速度からリンクスパムまで、2022年に向けて失われたトラフィックを回復する方法を紹介する

Googleのアップデートとアルゴリズムの変更に対応しながら、トラフィック減少の具体的な原因を診断するのは困難である。昨年を通して、Googleは、より積極的に検索アルゴリズムを変更し、より限定的に焦点を絞ったさまざまな改善を伴った3つのコアアップデートを実行した。さらに複雑なのは、これらのアップデートの多くは重複し、同じ日付内で実行されたため、ウェブマスターにとって、どのアップデートがトラフィックやランキングの低下を引き起こしたのかを理解することはより難しくなっていることだ。

 

もしSEOトラフィックが減少しているならば、理由として考えられる3つの原因を確認し、2022年に向けて、ランキング低下を逆転させる方法について検討してみよう。

 

1.ページエクスペリエンス、サイト速度、およびコアウェブバイタル

GoogleのPage Experience Updateの第一フェーズは、今年の夏に3か月間にわたって実施され、9月上旬に終了した。このアップデートによって、Googleが示すコアウェブバイタル(ユーザーが最初のアクションを行った際にブラウザが反応するまでに要した時間)の要件を満たし、モバイルデバイス上で安全かつ高速で読み込まれるページが評価される。これまでのところ、検索への影響に大きな変化は見られないが、今回のアップデートによって、競争の激しい分野において、多くのウェブサイトのモバイルトラフィックが減少している。さらに、Googleは、2022年の第1四半期に同様のアップデートをデスクトップ検索結果に導入することを発表した。これにより、将来のアップデートを先取りしつつ、既存のサイトのパフォーマンスを向上させる機会が提供されることになる。今年の夏の終わりにモバイルSEOトラフィックが減少し、新しい要件を満たしていない場合は、サイトのページエクスペリエンスとコアウェブバイタルの指標の改善のために時間を費やす価値があるかもしれない。

 

どこから手をつけるべきか。最近Googleは、PageSpeed Insightsと Lighthouseツールを更新した。これらのツールは、サイトの速度低下の具体的な原因をより明確に理解し、コアウェブバイタルの障害を特定するために有効である。Search Consoleは、Webサイトのパフォーマンスに関するより詳細なインサイトを提供し、WebPageTest.orgは、開発者が状況をより深く調べる際に役立つ。

 

今回のアップデートは、主にページレベルのものであることを認識することが重要であり、ウェブマスターは、URLレベルでの診断を行う必要がある。大規模なWebサイトの場合、この作業に多大な時間を要するため、Googleが今回のアップデートについて事前通知を行った可能性がある。より迅速に診断するためには、まずテンプレートやページタイプレベルでウェブサイトのページを分析し、そのページタイプやテンプレートのすべてのページに適用できる可能性のある解決策を見つけることだ。

 

さらに一歩進んで、AWS(Amazonが提供するクラウドサービスの総称)やCloudflare(コンテンツデリバリーネットワークやインターネットセキュリティサービスを提供する米国企業)などのクラウドホスティングサービスを、自社ウェブサイトに利用するのもよいだろう。これらのソリューションには、速度とセキュリティの最適化が組み込まれているため、デスクトップやモバイルデバイスでのサイトの読み込みの高速化が可能だ。また、複雑な技術プロジェクトを、自社や社内開発者にとってより親しみやすいものにしてくれる専門家を雇うという選択肢もあるだろう。

 

2.本物であることと、ユーザーにサービスを提供すること

Googleの検索品質ガイドラインの最新バージョンでは、特にYMYL業界(金融、ヘルスケア、eコマースなど)に関連するコンテンツ品質のガイダンスが改善されている。コンテンツの品質は、コアアップデート全体において一貫して、ウェブサイトのパフォーマンスを示す重要な指標である。そのため、Googleが推奨するベストプラクティスを常に把握し、特に競合他社との比較においてユーザーのニーズをより満たすコンテンツを作成することは有効である。6月、7月、11月にSEOの可視性を失った場合は、コアアルゴリズムのアップデートが原因である可能性があり、コンテンツの質の低下やユーザーエクスペリエンスの低下が原因である可能性がある。

 

サイトのコンテンツを分析する際には、自問することが重要である。

 

  • 自社ウェブサイトのコンテンツは、その分野の専門家によって作成されており、著者プロフィールとバイラインでそれを証明しているだろうか?これは、YMYLカテゴリでE-A-T(Expertise/専門性、Authoritativeness/権威性、Trustworthiness/信頼性の3つの概念の略)を伝えるために特に重要だが、必要のない場合(一般的なニュースやレビュー、チケットのWebサイトなど)もある。
  • バイアスを排除し、ストーリーの両サイドを提示しているだろうか?製品の長所、短所、および代替案は?オプションAとオプションBの違いは?ほとんどの場合、ユーザーに最高のサービスを提供し、Googleにコンテンツをランク付けしてもらうためには、目前のトピックの全体像を描くことが重要だ。
  • ランキングを上げるために最小限の単語数に抑えようとする時代は終わったのだ。代わりに、ユーザーの立場に立ち、インテントに焦点を合わせる。たとえば、「Nike Sneakers」を検索するユーザーが必要としているのは、500語で説明されたブランドの歴史ではなく、サイズや色、価格のフィルターを備えたカテゴリページである。
  • ページに過剰な広告ユニット、特に折り返しの上にある広告、インタースティシャル、ポップアップ、またはオーバーレイなどがないか?可能であれば、広告はコンテンツの邪魔をするのではなく、コンテンツを補完するものでなければならない。
  • コンテンツは消費しやすいか?包括的な情報は素晴らしいが、長い段落をリスト、箇条書き、表などにフォーマットすることで、ユーザーが内容をよりよく理解するのに役立つ(GoogleでSERP機能をキャプチャするのにも有効だ)。
  • メディアオブジェクト(動画、画像)またはリファレンス(信頼できる引用への外部リンク)がコンテンツ内に組み込まれているだろうか?これは必ずしも必要ではないが、信頼できる機関としての地位をさらに高め、より多くのSEOトラフィックを獲得するのに役立つ。

 

3.リンクスパムとゲストブログ投稿

質が高く関連性の高いバックリンクは、サイトのランキングを決定する重要な指標であり、自然なリンクを取得することは、依然としてSEOの最も難しい分野の1つである。Googleには、不自然なリンクに対して措置を講じてきた長い歴史があり、2021年も引き続き、Googleがウェブマスター・ガイドラインに違反していると思われるリンクをフィルタリングしていることがわかっている。

 

Googleは、7月に最新の「リンクスパム」アップデートを実施した。これは特に、ゲストブログ投稿からのリンク、アフィリエイトリンク、スポンサーコンテンツ内のリンクを対象としている。なぜこのような分野からのリンクのフィルタリングに重点を置いているのだろうか?これらのリンク戦略は驚くほど巧みにスケーリングしているが、多くの場合、低価値で低労力のものだ。そして、簡単に検出可能な不自然なリンクパターンを形成し、長期的なリスクをもたらす。このアップデートは、我々が何年にもわたり何度も見てきたことを思い起こさせる。リンク構築アプローチがあまりにも人気になると、Googleは最終的には対策を講じる。驚くことではないが、Googleはこれらの基準に当てはまるリンクをアルゴリズムで除外している。

 

7月下旬にランキングが低下し、バックリンクプロファイルに上記タイプのリンクが含まれている可能性がある場合は、かつてランキングに貢献していたリンクの一部が価値を失っているかもしれない。まだバックリンクの監査と否認を行っていない場合には、それらを実施することが適切であるかもしれないが、慎重に進めることだ。Googleでさえ、そのリンクを避妊すべきか明確でない場合には、リンク否認によってより多くのダメージが生じることを認めている。これには、「有毒な」リンクをすばやく特定する目的でソフトウェアを利用することも含まれる。自動化されたソリューションは、このような重要なランキング要素に関して、人間によるレビューの代わりにはなれない。

 

では、失われたリンクエクイティ(公平性)を取り戻すために何ができるだろうか?自然なリンクの取得は、SEO戦略において最も効果的な手法となり得ることを覚えておくことが重要だ。信頼できるウェブサイトや業界誌、メディアからの自然なリンクを獲得することで、安全で効果的、かつ長期的な効果が得られる。このようなリンクを定期的に取得できるかどうかは、コンテンツとそのオーディエンスの品質に依存する。そのため、最善のアプローチは、アウトリーチ戦略とコンテンツプランおよびエディトリアルカレンダーを組み合わせたものである。

 

まとめ

2021年は、多くの人々にとって厳しい年となった。この期間にトラフィックが失われたことには多くの原因が考えられるが、2022年に向けて、SEOの取り組みにより注力するチャンスでもある。技術、コンテンツ、リンク、速度、UXの各要素を考慮した総合的なSEO対策アプローチをとることで、ランキングを回復し、今後のGoogleアップデートで悪影響を受けるリスクを軽減する体制を整えることができるだろう。

 

※当記事は英国メディア「MarTech」の11/30公開の記事を翻訳・補足したものです。