2月17日に、カナダのオタワを拠点とするグローバルeコマースプラットフォームであるShopifyは、2月17日に2020年第4四半期(10〜12月)の決算を発表、その売上高は前年同期比94%増となった。また、マーチャントソリューション(Shopifyが、サブスクリプションソリューションに加えて提供する決済や配送などのソリューション)売上は117%増。
11月末からクリスマスにかけてのホリデーシーズン中のShopifyの売上高は、50億ドルを超え、2020年通年の収益は、前年比86%増となった。一方で、実店舗小売大手Walmartの決算報告は、期待外れとなっている。
消費者行動の大きな変化
注目度の高いeコマースイネイブラーであるShopifyにとって、新型コロナウイルスのパンデミックによる消費者行動の大きな変化を考慮すると、これらの結果は、印象的だが驚くことではない。アメリカのデジタル事業変革企業Publicis Sapientの調査で、昨年の夏には、消費者のほぼ4分の3が通常よりも多くオンラインで買い物をしたことがわかった(この傾向は今後も続くと思われる。調査対象者の48%が、今後もオンラインショッピングを継続する予定であると回答)。
また、74%が、今まで購入したことがない小売事業者から商品を購入しており、ブランドがeコマース体験を通して新規顧客を獲得する機会が生じていることが同調査結果から示されている。
Shopifyの取り組み
2020年、Shopifyは、加盟店向けのデジタル化を推進する多数の取り組みを開始した。2020年の第2四半期には、無料トライアル期間を14日から90日に延長した。また、全プランにギフトカード機能を組み込み、オンラインで購入し指定の場所で受け取れる(バイオンライン・カーブサイドピックアップ)やローカル配送も導入した。
さらに、無料のオールインワンのモバイルショッピングアシスタント機能「Shop」もローンチした。
一方でWalmartは低迷
Shopifyの躍進とは対照的なのがWalmartだ。Walmartは、第4四半期の収益報告がWall Street(ウォールストリート)の予想を下回り、2月18日の時間外取引での株価が下落した。
Walmartは、アメリカだけで5,000店舗近くある従来型の大規模小売店である。もちろん、eコマースも行っているが、第4四半期の成長率は期待外れとなった(新型コロナウイルスパンデミック発生以来で最小の伸びとなる69%増)。
これは、パンデミック中に実店舗の運営に必要な消毒、清掃、スタッフへのボーナスなどの追加費用が発生したことに起因している。
なぜ留意するべきか
現在、そしてこれからしばらくの間、デジタルファーストコマースへのニーズが確実に継続するだろう。消費者は、コロナ前には店頭で購入していた製品をオンラインで購入し、配送してもらうことに慣れてきている。そのため、新型コロナウイルスが収束し安全な店舗での買い物が可能となっても、パンデミック前の習慣に戻るかどうかは疑わしい。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/18公開の記事を翻訳・補足したものです。