生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なう株式会社ネオマーケティングは、世の中の動向をいち早く把握するために、独自で調査を行い、生活者目線で見たD2Cの実態を調査した。その一部を紹介する。

 

今、消費者向けブランド業界において、D2Cという「テクノロジー×小売」を実現した新しい業態への注目度が国内外で高まっている。その背景にあるのはデジタル化や消費行動の変化である。デジタル化により顧客の詳細なデータ分析・顧客とのダイレクトな対話が可能となった。また、機能的価値より情緒的価値(ブランドが創出する世界観やストーリー)を重視する流れがあるなかで、独自の世界観でもってユニークな体験を生み出し、大企業を驚かせるスタートアップが出てきている。

そこで今回、全国の男女1000人を対象にオンラインショッピングでの購買行動やブランドへの意識を調査した。

 

まず、オンライン通販での商品購入経験を聞いたところ、購入経験者が86%に対し、未経験者が14%となり、9割に近い人がオンラインにて商品を購入したことがあるという結果となった。20201112190741_1

 

利用したことのある通販サイトを聞いたところ、94.2%の人が楽天やAmazon等のショッピングモール系の通販サイトを利用したことがある一方で、メーカー・ブランド直販サイトは約40%という結果となった。20201118190826_2

 

メーカー直販サイトでオンラインショッピングをしていて不満に思った点を聞いたところ、「送料が高い」が53.0%と半数を超えて最も高い結果となった。複数ブランドでの買い物を1つの窓口で行えるショッピングモール系サイトに対し、それぞれの直販サイトでネックになりそうな「登録などが面倒」は18.7%となった。

上位の選択肢を総括すると、サイトを見ても商品をよく理解できない・サイト情報に不備があり戸惑いが生じているといえる。20201112185821_4

また、メーカー直販のオンラインショッピングで望むこと・改善点を聞いたところ、サポート体制を充実させてほしいという声や、直販サイトの利便性について改善を求める声が多く見受けられた。

 

これまでに経験した購買行動として、あてはまるものを聞いたところ、「商品自体の質は微妙だがそのブランドが好きで商品を購入したことがある」が19.3%と最も高く、次いで「ブランドが発信するコンテンツに興味をもったことで、商品を購入したことがある」は17.7%となった。

優れたD2Cブランドは商品そのものの品質よりも、ブランドの世界観のレイヤーで顧客と繋がることを重要視している。そのなかで消費者は、「このブランドの提案するライフスタイルが自分とフィットしているか」「ストーリーやその語り口は自分のセンスとマッチするか」を意識すると考えられている。20201112185821_5これからのブランドは、ものづくりを大事にしつつも、その商品が人の心に響くか、思わず誰かに共有したくなるかといった観点で、ブランドの世界観の構築を考えるべきではないだろうか

 

ファンであるブランドの商品をオンラインで購入する際の行動について聞いたところ、「だいたい直販を選ぶ」「その他サイトと値段に差が無いのであれば直販を選ぶ」と回答した人が全体で55.9%となり、ショッピングモール系サイトを優先する人の22.2%を上回り、価格差がなければ直販で購入するという方が半数以上もいるという結果になった。20201112185821_any_item1「だいたい直販を選ぶ」・「その他サイトと値段に差が無いのであれば直販を選ぶ」理由を聞いたところ、「アフターケアや保証がしっかりしていそうだから」等、アフターサービスについて期待する意見が多数見受けられた。

しかし、メーカー直販の改善点を見ると、「交換返品が面倒」・「発送時など、タイミングごとにこまめに連絡がほしい」といった保証や連絡不足等サービス体制に関する意見が上がっているため、直販に期待するサービスと現実のサービスには乖離があると考えられる。

そのほか、直販特有の梱包の独自性やサンプル等特典に期待する声やブランドへの愛着によるメーカーへの貢献を期待する意見、安全・安心という感覚があるといった意見もあった。

 

今回の調査で、価格差がなければ、ショッピングモール系サイトよりもD2Cを過半数の人が選ぶことがわかった。しかし、直販に期待するサービスと現実のサービスに乖離があり、ブランドのサイトやサポートに課題があることもわかった。