2020年の全世界での広告費は、コロナの影響により634億ドル減少。これは前年比10.2%減で総額5,573億ドルとなる。

 

世界の100市場からのデータを基にした、英国のマーケティング企業WARC最新予測では、同社が今年5月の予測数値から8.1%減の下方修正をしている。また、米大統領選挙による支出49億ドルを除外すると、減少額は11%減の680億ドルとなる。

 

広告業界が総じて苦戦を強いられているにもかかわらず、オンライン広告市場はパンデミック渦であっても比較的軽症で済んでいる。このオンライン広告市場は、今年の総支出額の54.4%を占めており、わずか0.3%減の3,033億ドル。しかしながら、2000年以来はじめてのマイナス成長を記録した。

 

オンライン動画は、多岐にわたるオンライン広告市場の中でもWARCの最新予測で上方修正された唯一の広告フォーマットであり、7.9 %増の527億ドルで、2021年にはさらに12.8 %増が見込まれている。

しかし、2020年で最強のパフォーマンスを示したのは、ソーシャルフォーマットであり、9.3 %増の983億ドルとなった。またソーシャルメディアは、2021年にはオンライン動画の成長に匹敵すると予測されている。

従来型メディアの雲行きはかなり怪しく、2020年の広告市場の下落の大部分を占めており、支出額は19.7%減(620億ドル減)で2,539億ドルだ。

 

リニアTVはかつてない予算削減を余儀なくされ、299億ドル(16.1%減)を下回った。映画の15億ドルの減少は46.5%減というかなりの落ち込み幅である。他にもOOH広告(野外広告や交通広告など)は113億ドル(27.3%減)、新聞は98億ドル(25.5%減)、雑誌は40億ドル(25.4%減)、ラジオは59億ドル(18.4%減)下落した。従来型メディアの全分野で、WARCの過去40年にわたるマーケット調査史上最悪のパフォーマンスとなった。

 

WARCによる今後の予測では、世界の広告市場が完全に回復するまでには少なくとも2年はかかるとのこと。2021年の6.7 %増予測は、2020年の減少の59%を穴埋めするに過ぎない。広告市場が2019年のピーク時の総額6,206億ドルに匹敵するためには、2022年には4.4 %の増加が必須である。

 

「2020年は、広告経済において過去40年間のマーケット調査史上最も厳しい年となった。eコマースやソーシャルプロパティなどの一部のプラットホームは、比較的ダメージが少ない状態で今年を切り抜けたが、メディア業界の大半は、厳しい深刻な影響を被った」と、 WARCのデータコンテンツ責任者James McDonald氏は言う。

「早急な回復の兆しは見えていない。来年は、広告業界のほとんどのエリアで成長が期待されているが、これは2021年に信頼性があるというよりは、激動の2020年を反映したものだろう。来年に向けて失業率が増加し消費需要を押し下げると予測される。そして、消費者や企業の間では、ワクチンプログラムへの期待が楽観的見方を後押ししているが、それは今後2年に及ぶ回復への道のりの通過点に過ぎないだろう」。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の11/30の記事を翻訳・補足したものです。