ニールセンが世界64カ国で実施した調査によると、わずか8%の消費者のみが好みのブランドを支持していると答えており、世界的にみて消費者のブランドロイヤルティが低くなっていることが明らかとなった。(英字のインフォグラフィックはこちら

 

新興市場における収入増加により、新製品購入の際に新たなブランドを試すリスクが減少しており、世界全域では、42%の消費者が新たなブランドを積極的に試してみたいと答えた。また49%が使用したことのある製品を使い続けたいとしたものの、新たなブランドを試してみる可能性もあると答えた。

 

地域別に見ていくと、特徴としては、アジア地域の消費者が47%と最も高いブランド変更への意向をみせており、アフリカ・中東が45%、中南米が42%と続いている。一方、北米やヨーロッパの消費者は、それぞれ36%、33%と他地域と比較すると意向が低いことも明らかになった。

 

では、ブランドロイヤルティが低下したきっかけは何なのだろうか。

こうした傾向は製品選択とコスト意識を拡大させた「アマゾン効果」の他にも「中国ではWeChatグループで取引や仲買をし、イギリスではスーパーマーケットと同等価格でノーブランドの食品を自宅まで届けるサービス」があり、様々な要因が絡んでいそうだ。

 

続いて、ブランドロイヤルティは何故低下してしまったのか。

1つ目はコストパフォーマンスを重要視するようになったため。アンケートの結果、世界全域では39%の消費者がブランド選択の際、重要なのはコストパフォーマンスと述べ、34%が品質のよさ、31%が利便性と回答した。コストパフォーマンスが最重要決定要因となる地域別の割合は、アフリカ・中東が44%、北米が38%、中南米が37%、ヨーロッパが35%、アジアでは、42%の消費者が品質のよさが最も重要な要因であるとし、40%がコストパフォーマンスに影響されると回答した。

 

2つ目は消費者が新たなブランドを試したいという意向が強まっているからだ。実際5年前と比較すると、世界全域の消費者の46%が一度も買ったことのないブランドを試してみたいと答え、また、北米、アジア、西欧の先進市場では、オンラインストアと実店舗が十分な在庫と豊富な選択肢および価格帯を提供してきたこで、三分の一の消費者が「新しさ」を気分転換として楽しんでいるとみられる。

 

3つ目は世界全域の四分の一近くの24%の消費者が、これまでになく幅広いレンジで製品を見直しているという点が挙げられる。これまで製品の選択肢が限られておりカテゴリー別で2~3の選択肢しかなかったアジア、中南米、アフリカ・中東では、アジア太平洋地域が50%、中南米地域が49%、アフリカ・中東地域が42%ブランド変更を行なっていることが明らかになっている。

 

ニールセン イーストゾーン コンシューマーインサイト担当 Arslan Ashraf氏は、「私たちはこのグループを『意識的に考慮する人(conscious considerers)』と呼んでいる。このグループが鍵となるのは、これまで以上に多数のブランドから選んでいるにも関わらず、過去に購入したことのあるブランドを好む傾向があるからだ。ブランド変更には更なる要因が必要だが、それでもブランドロイヤルティの低さを示していると考えられる」と述べた。

 

要因は数多くあるにしろ、今回の調査ブランドロイヤルティの低下が顕著なのは明確だ。このように世界中多数の消費者がブランドロイヤルティの低い行動に対してオープンであり、今後ブランドオーナーのリスクはより高まっていくだろう。