Amazonは、ホテルチェーンMarriott Internationalと提携し、各地のMarriott ホテルで、AmazonのデジタルアシスタントのAlexaを宿泊客用に提供すると発表した。

Amazon Echoデバイスは、Marriott HotelsWestin Hotels & ResortsAutograph Collection Hotelsを含む、グループ内の一部のホテルに設置される予定。Amazonがホスピタリティの世界に進出する。

 

この新しい展開の実現のために、AmazonはAlexa for Hospitalityを開発。これはホテルやバケーションレンタル、その他ホスピタリティを提供する施設での利用に特化したデジタルアシスタントソフトウェアである。

Marriott International の顧客体験革新担当副社長Jennifer Hsieh氏は、「Marriottは、ゲストのために革新的な技術を採用してきた長い歴史を持ち、いち早くAlexa for Hospitalityを導入できたことを嬉しく思う」と語った。「多くのゲストが自宅で利用している音声テクノロジーを、旅行中も便利に使ってもらいたい」。

 

宿泊客は、Alexa for Hospitalityにホテルの情報を尋ねたり、ホテルにゲスト向けサービスをリクエストしたり、部屋で音楽を流したりできる。また、通常のAlexaスキルに加えて、客室の照明や温度、ブラインドを調整し、テレビを操作することも可能だ。

また、宿泊客は自分のAmazonアカウントに一時的にログインして、Amazon MusicSpotifyPandoraなどの音楽ストリーミングサービスの個人アカウントへアクセスすることもできる。Alexa for Hospitalityは、部屋をチェックアウトすると自動的にログアウトする。

 

Amazonの副社長Daniel Rausch氏は「顧客は、Alexaに話しかけるだけで簡単に情報を入手したり、エンターテインメントを楽しんだり、繋がっているデバイスをコントロールできるという便利さを実感する。そして私たちは、顧客が望むいかなる場所においてもAlexa経験を提供したいと考えている。Alexa for Hospitalityは宿泊客に、ホテルでの滞在をまるで自宅にいるような気分にさせ、ホテル側には、ゲストの滞在を思い出に残るものとさせるための新しい方法を提供するだろう」と述べた。

 

Alexa for Hospitalityは、ホテルなどのホスピタリティ施設運営社が既に導入しているDigiValet(インド)、Intelity(米国)、Nuvola(米国)、Volara(米国)などのホテル関連テクノロジーに接続できるスキルを構築し、共に機能するように設計されている。宿泊客によるリクエストは、適切なホテルのプロパティ管理システムに送られるので、既存のソフトウェアを後付けしたりアップグレードしたりする必要性が減る、もしくはなくなる。

 

Marriottは、AppleのSiriを含む、客室で利用するためのさまざまなデジタルアシスタント技術を試してきたと言われているが、今回のAmazonとの提携は、同社がはっきりとした意思決定を下したことを示唆している。Alexa for Hospitalityは、Charlotte Marriott City CentreMarriott Irvine Spectrumなど少数のホテルから展開予定。Marriottはゲストのフィードバックや利用状況を評価し、今後のAlexa for Hospitalityの導入拡大や提供する機能の追加について判断する予定だ。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の6/19公開の記事を翻訳・補足したものです。