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【2023年版】越境EC関連データ総まとめ14選

【2023年版】越境EC関連データ総まとめ14選

越境EC
2023/07/05

越境EC関連データ総まとめ14選(2023年版)

 

コロナ禍を経て、その成長は次第に緩やかになっているものの、ここ10年近く拡大基調が続いている越境EC。越境ECとは、その名の通り消費者が国境を越えて海外のサイトから商品を買うことの総称を指すが、サイトの多言語化や決済方法のボーダレス化などが進み、多くのユーザーが利用を進めている。その結果、越境EC市場のなかでも特に日本においては中国人やアメリカ人などの消費者向けに商品を売る事業が伸びている。そこで今回は、その越境ECについて、各所において公表されている市場規模、消費動向、中国越境EC市場、意識調査などのデータをまとめて紹介していく。

 

 

市場規模・売上高データ5選

 

各国の越境EC市場規模データや、市場の動向・実態、成長予測など、越境EC市場に関する様々なデータが発表されている。

 

経済産業省

経済産業省は、年1回電子商取引に関する市場調査(最新版2023/8/31公開)を発表している。

 

経済産業省によるEC市場の調査は、1998年から毎年行われており、日本をはじめ米国や中国を中心としたEC市場規模や越境EC動向などについて、広くとりまとめている。

最新の2022年度版の調査では、日本人がBtoC越境ECにおいて米国・中国から購入する総市場規模は3,954億円であった。逆に米国・中国がBtoC越境ECで日本から購入する総市場規模は3兆5,625億円と約9倍も多くなっている。そのうち中国が2兆2,569億円、米国が1兆3,056億円となっており、中国からの購入が特に大きいことが分かる。

また、同レポートでは2025年までの越境EC市場規模予測や今後のトレンドについても触れられている。

 

ジェトロ(日本貿易振興機構) 

EC市場に関して様々な調査を行なっているジェトロ(日本貿易振興機構)が公開した特集記事(2022/3/10公開)では、日本企業向けに実施した調査をもとに、ECの利用状況や海外販路拡大に関する現状の報告や今後の予測を行っている。日本企業の海外向けEC販売について、現段階では利益・メリットの実感などが明らかになっていない企業も多いというが、今後の事業拡大や高まる需要によってより確実になっていくのではないかと述べている。さらに、別の特集記事では日本において大企業より中小企業の方が海外向けのECサイト利用に積極的であると明らかにしている。

 

 Shopee

Shopeeの公開した越境EC市場規模。米国・中国・東南アジアを解説(2023/3/30公開)では、2025年までの越境EC市場規模の予測についてまとめられている。記事によると、規模・若年層割合・デジタルブームの3つの点から今後のEC市場の成長には東南アジアが必要不可欠な場であるとのことだ。

 

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫の発表した越境ECに関するアンケート調査結果[※PDFへの直接リンクとなります]では、2021年の7月~8月にかけて行われたアンケート調査を元に、中小企業における越境ECの売上や課題を明らかにしている。

特に、売上状況分析の有無や広告・宣伝の有無に関する調査結果から、これらを積極的に行うことが越境ECを軌道にのせるための重要な取り組みの1つと述べている。さらに、コロナ禍でマイナスの影響をうけたと回答した企業も多いものの、徐々に回復の兆しが見られることから、今後も越境EC市場が伸長すると予想している。

 

セカイコネクト

STUDIOセカイコネクトでは小売調査レポート[※閲覧には登録が必要]が公開されている。このレポートでは、東南アジア各国を対象として、百貨店や美容専門店など項目別に売り場の詳細や店舗数などを公開している。また、対象となる国と日本の市場を比較している点から、今後海外展開を視野に入れる企業や、海外事業に従事しており情報収集をしたい場合に便利なサイトである。

 

 

消費動向データ 3選

 

越境EC市場が拡大している中で、どのような商品が売れているのかなど、消費者の動向についてまとめたデータが発表されている。

 

トランスコスモス

トランスコスモス株式会社世界8都市オンラインショッピング利用動向調査2022(2022/3/3)を発表している。

このレポートでは東京を含む8都市におけるサステナブル消費やオンラインショッピングへの意識などを分析している。また、日本の商品への関心についても分析しており、上海・バンコク・ジャカルタなどアジア圏からの根強い人気がうかがえる。

 

ジーリーメディアグループ

台湾・香港人向けの訪日観光情報サイトとして多大なユーザー数を有している「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を運営している株式会社ジーリーメディアグループが、台湾人・香港人3,275名を対象にweb上でECサイトでの買い物に関する調査(2017/10/17公開)を行い、結果を報告している。

調査では、50%以上の人が、日本旅行で手に入らないような「日本国内の通販商品」、「特定の地域限定の物産」であれば越境ECサイトで買いたいと答えていることがわかった。

 

BEENOS

企業の越境EC展開を支援する株式会社BEENOSグループが自社の購買データを元に算出した越境EC世界ヒットランキング2021では、世界的に日本のエンタメ・ファッション分野が人気であることが明らかになっている。また、コロナ禍で価値観の見直しが行われたことで、現金以外の資産となり得るモノの価値が高まり、「トレーディングカード」や「アクセサリー・時計」の需要上昇についても述べられている。

 

 

中国越境EC市場関連データ 4選

 

日本において越境ECというと中国向けを想起するケースが大部分を占めるほどその市場の存在感は大きい。そのため、中国越境EC市場に特化したレポートも多く公表されている。

 

富士経済

株式会社富士経済は、中国向け越境EC市場を中心に調査を行い、中国向け越境EC市場の実態と今後 2016(2017/2/9公開)を発表している。商品、受注形態、販売エリアの市場動向を分析するとともに、中国の越境ECの市場規模は年々拡大しており、その傾向が続いていくと今後の方向性を予想している。

 

バイドゥ(百度)

中国で検索エンジンやデータマーケティングサービスを提供するバイドゥは、訪日中国人の検索動向ランキング(2017/12/26公開)を発表している。

このレポートによると都市別ランキングでは「北海道」がランク外に落ちるものの、温泉ランキングではトップ3を北海道の温泉が占めるなど、キーワードによる興味がスモールワードに推移していることが明らかになっている。

 

インテージ

市場調査・マーケティングリサーチ等を行う株式会社インテージが発表したレポート(2019/11/11公開)では、中国越境ECの将来性や、中国国内で人気な日本の製品についてのデータを発表している。

このレポートでは中国の2大越境ECプラットフォームで売り上げ割合を多く占める日本の商品が美容やマタニティ・ベビー用品であることから中国人の消費動向の分析を行っている。

 

ヴァリューズ

データ分析サービスなどを提供するヴァリューズ社は中国での調査パネルを利用して中国人がどのような「きっかけ」でどのような「商品」を、どのような「プラットフォーム」で、日本の商品を購入しているのかの調査を実施。そのレポートの一部をeコマースコンバージョンラボ上で発表(2018/03/26公開)している。

 

 

意識調査関連データ 2選

 

越境ECについて消費者や国内EC出店者がどのような意識を持っているかについても調査レポートが公表されている。

 

ジェトロ(日本貿易振興機構) 

ジェトロは越境EC市場規模の大きい中国の消費者の、各国の製品等への意識調査も行なっている。中国の消費者の日本製品等意識調査(2018/12/05公開)では、中国人消費者が購入したいと思う製品・サービスの設問で、全9カ国の選択肢の中、日本はすべてのジャンルで3位以内に入っており、また、デジタルカメラ、化粧品・美容、漫画・アニメの部門では首位であったことがわかった。

 

eBay

企業の越境EC展開を支援するeBay Japan、越境ECに関する実態調査結果(2023/3/14公開)を発表した。ここでは、出店者の業務形態・英語力・やりがい・2022年後半の円安による影響・越境ECビジネスにおける課題の5項目についての結果を公開している。

5項目のうち、特に越境ECビジネスにおける課題について「国際送料」を挙げる出店者が全体の56.3%を占める結果となった。国際送料が半数以上から課題とされたのは、コロナ禍で国際宅配便がメインの発送方法になったことや、円安の影響による送料の値上がりが原因であると述べられている。

また、その他の課題として初心者は「出品方法のリサーチ」、ベテランは「発送方法」が挙げられており、出店歴に応じて課題が移り変わることも明らかになっている。

 

 

越境EC関連データから見るとまだまだ拡大基調は変わらず

 

2017~2023年の越境EC関連データについてピックアップしてきたが、どのデータを参照しても越境EC市場が年々拡大していることが分かる。そして、その拡大路線は今後もまだ続いていくとの予想が大半を占めている。ただし、各国の消費者も越境ECに少しずつ慣れ始めてきており、徐々に販売のためのテクニックや方法をしっかり考えて行かないと成果を生み出すのは難しくなっているのかもしれない。

今後は、既に多くの企業が参入している中国や米国の市場より比較的競合が少なく、日本商品への関心も高い東南アジア市場が越境EC発展のカギとなりそうだ。