エルメスは10月23日、Wechat購読号で「期間限定店」を開き、Appleと連携して作ったウォッチApple Watch Hermès Series 3の中国国内での発売を開始した。

Wechat購読号は、Facebookの企業ページのような機能を持つWechatの情報発信用のアカウントのこと。この商品は「クラシック・スカーフに敬意を払う」というテーマで、ウォッチはスカーフの柄をつけている。販売価格は1万元(約18万円)。支払方法はWechat Payである。エルメスの期間限定店のプロモーション動画は約12秒で、Wechat購読号での文もシンプルである。ページの中、購入リンクが付いている。24日までページビューは14,000回を記録した。

ボストンコンサルティング調査によると、現在ECビジネスは高級ブランド品市場に占める割合がわずか7%。2020年、この値は12%まで増加する見込み。証券会社Sanford C.Bernsteinによると、ブランド品ECは今後成長スピードが2倍増となり、2019年、オンライン流通総額は全世界で270億ユーロに達する見込み。また、エルメスが公開したIRレポートによると、2017年上半期、エルメスの利益率は34.3%に達し、エルメスの売上の上昇率よりもオンライン売上の上昇率の方が高くなっている。今年末、エルメスは新しいオンラインサイトの提供を中国で開始する見込み。既に今年夏頃、カナダで新しいサイトを公開し、アメリカも10月に開始、その後、ヨーロッパとアジアに進出する予定だ。エルメスのCEO Axel Dumasが新サイトは消費者により良いショッピング体験を与えると述べている。また、2017年上半期、日本以外のアジア地域の売上が14%も増加したため、エルメスは今後アジア市場に注力するつもりだ。

しかし、エルメスはオンライン施策では他の高級ブランドよりも遅れている。昨年、Diorは中国の旧暦7月7日バレンタインデーに、Wechatでバッグを販売し、高い評判を得た。その結果、今年、Chloe、Givenchy、Tod’s、Valentinoなどの高級ブランドメーカーも相次いで同種の施策を行った。エルメスは今回、Wechatで販売価格のやや低いApple Watchを選んだことはEC市場に対して依然として慎重になっているという見方もできる。今後、エルメスにとって、オンランでどのように高級ブランド品の独特の世界観を担保できるかが問題となっている。

 

※当記事は中国メディア「Ebrun」の10/24公開の記事を翻訳・補足したものです。